3人組ニュー・バンド『Dios』単独インタビュー「どんなときでも立ち返れる“城”をつくりたかった」
2022.6.30 22:007月1日放送の『バズリズム02』に出演する3人組バンド『Dios』(ディオス)。先日、1stアルバム『CASTLE』をリリースしたばかりの彼らに、アルバムのみどころや楽曲制作のこだわりについて話を聞きました。
■バンド結成は互いにオファー
――Diosを結成した理由は?
たなか 僕は元々『ぼくのりりっくのぼうよみ』という名前で別の活動をしていたんですけど、それが一度終わって。もう一回音楽をやりたいけど、ソロでやっても同じことの焼き直しになっちゃうと思っていて、面白い音楽の新しい形はないかなとぼんやり過ごしていたら、たまたまギタリストのIchika Nitoに遭遇して、人柄も合うし、ギターも面白いので“一緒にやりませんか?”って言おうとしたら……
Ichika Nito 僕も同じタイミングで、たなかとバンドをしたいなと思っていて、二人いっせーので「バンドしようぜ」って感じで。
たなか そうだね。楽なカップルって感じだったね(笑)。駆け引きみたいな概念がなんにもなかった。
Ichika Nito 一切なかった(笑)。
たなか ボーカル(たなか)とギター(Ichika Nito)がそろったけど、アコースティックな感じというのも違うので、アレンジメントを全部やってくれる良い人いないかなと探していたとき、『ぼくりり』の頃から一緒に仕事していたササノマリイに声をかけて、ギターとボーカル以外全部担当で入ってもらったという感じです。
――バンドでのそれぞれの役割は?
Ichika Nito たなかは歌と歌詞、メロディー。僕はギターとベースとかハープとかアナログ弦楽器全般。それ以外の部分は全部ササノマリイが担っています。
■曲作りはすべてオンラインで完結
――楽曲制作はどのようにしていますか?
Ichika Nito 基本的にはオンラインで全部やっています。
たなか 曲の制作のときはオンラインでほぼ完結していて、ライブは実際に音を合わせないとできないので、そのときはスタジオに入ります。
Ichika Nito それでもできる限りはオンラインでデータを持ち寄って、パスし合って完成させるという感じでやってますね。
ササノマリイ どんな形でライブやるかというのはオンラインで話し合って、それをどうやってやるかという演奏は集まってやります。
Ichika Nito さすがにリハーサルとかは会ってやるんですけど、曲を作るっていう過程はほとんどオンラインです。
たなか いわゆるバンドがやるような「せーので音出してやってみようぜ」というのもやってみたんですけど、全然ピンと来なかったよね。
Ichika Nito あんまりしっくり来なかったね。
たなか 「二人待ってるし、早くしなきゃ」という謎の焦りがあって、良く作用しなかったよね。
Ichika Nito みんなソロクリエーターなので、家にこもって自分の精一杯を注ぎ込むという方が向いてるんですよ。
たなか ボーカルの歌録りとか、スタジオで録らなきゃいけないというときは集まるんですけど……
Ichika Nito たぶん歌も自宅で録れるようになったら、完パケ(完成品)まで一度も集まることはないと思いますね(笑)。
ササノマリイ 会って話し合いながら作るっていうことはないです。
Ichika Nito ドラムとかベースがいないっていうのもあるんでしょうね。ドラムがいたら集まってやらざるを得ないと思うんですけど。環境の強制力がないっていうのもあります。
――打ち込み(DTM)で作曲することが多いですか?
ササノマリイ そうですね。ギターのデータをもらって、そこから僕が肉付けしていきます。それを聞いてもらって、そこの段階でまた歌がのったり、ギターが足されたりっていう制作を繰り返していきます。バンドっていう形だけど、トラックメイキングという形に近いのかな。
■自分たちの“城”を築き上げたアルバムが完成
――1stアルバム『CASTLE』について
たなか 僕らにとっての“城”を作りたかったんですよね。どんなタイミングであっても立ち返ってこれる堅牢な城を作りたくて、それが1個作れたかなと思います。聴く人にとっても帰るべき場所のひとつとして機能してくれたら嬉しい。音楽の持つ、瞬間的に場所や空間を生み出す力ってすごいと思っていて、聴いてくれる人の中に“城”が建つとうれしいです。
Ichika Nito 全曲で世界が違うし、『Dios』3人が出せるものを全部詰め込んで「今、僕たちはこういうことができるんだぞ」というのをそれぞれの曲で景色を見せているアルバムだと思うので、ぜひ楽しんでいただきたいです。
――『CASTLE』を制作する上で苦労したことは?
ササノマリイ 苦労はいっぱいあったと思います。作らなきゃいけない期間だったり、擦り合わせをどうやるかだったり、大変だったとは思うんですけど、楽しかったです。ものを作るという上での当たり前にある大変さはあるけど、それを持って有り余る獲得した経験とできあがったものが大きい。絆とかね(笑)。
Ichika Nito 少年ジャンプみたいな(笑)。
たなか おお、急に濃いのきたわ(笑)。
Ichika Nito 『Dios』は活動が始まるまでに1年半くらいの期間があったんです。その温めていたスパンに「早く曲を出したい」というフラストレーションがあり、色んなデモを作っていたし、アルバム制作に入るまでも曲を作っていて、できることがたくさんあったんです。だから、アルバムにどの曲を選ぶか吟味することに苦労したと思います。
――これまでに影響を受けたアーティストは?
たなか ポエトリーリーディングというマイナーなジャンルの小林大吾という方なんですけど、その人の言葉の使い方や遊び方がすごく美しくて、そこに影響を受けているかもしれないですね。単語選びとか。
Ichika Nito ビル・エヴァンスが大好きで、そこからジャズにのめり込んで、あとはアイアン・メイデンとかヘビーメタルにもひかれ、ジャズとメタルに偏った影響を受けていますね。
ササノマリイ 僕は3人挙げたいんですけど、新居昭乃さんという方と、bermei.inazawa(ベルメイ・イナザワ)さんという方と……あともう1人誰だっけ(笑)。
Ichika Nito じゃあ2人でいいんじゃないですか(笑)。
ササノマリイ 新居昭乃さんは小学生のときに初めて曲を聴いて、衝撃というか、ほぼ恋でした。何かのアニメのエンディング曲で、アニメは見たことなかったけど、ずっとそのエンディング曲だけを毎週聴いていました。
たなか アニメは見てないの?でもエンディングはテレビで見てたんでしょ?じゃあ20分くらい前から見たらいいじゃん!
Ichika Nito 難儀な性格してるなぁ(笑)。
――今後の目標は?
たなか “城”という拠点になる場所ができて、自分たちの内側をしっかり固めたので、ここからはガンガン外の世界にアプローチしていきたいです。
――ファンの方へメッセージをお願いします
ササノマリイ いつも聴いてくれて見てくれて、本当にありがとうございます。これから新しい『Dios』としての表情が出てくると思うので、楽しみにしていてください。
【Diosプロフィール】
『ぼくのりりっくのぼうよみ(通称ぼくりり)』として音楽活動を行っていた“たなか”。YouTube登録者数200万人越えの今、最も注目すべき世界的ギタリスト“Ichika Nito”。ボカロやオンライン・ゲーム界隈ともリンクし、『ぼくりり』過去作も手掛けたトラックメイカー/シンガーソングライター“ササノマリイ”の3人が 2021年に結成したニュー・バンド。それぞれの類いまれなる個性が集まり、各々のルーツを合わせ生かした楽曲を世に放ち続けて注目を浴びている。バンド名は、たなかの好きな漫画『ジョジョの奇妙な冒険 Part7 スティール・ボール・ラン』の登場人物・Dioと、ギリシャ神話における陶酔や酩酊を司る神・ディオニュソスをかけて名付けられている。