今年3本目の舞台に挑む柳美稀 『SHINE SHOW! シャイン・ショウ!』のオファーが来たことで「自信を持ってもいいのかな」

2023.8.18 16:00

7年前、テレビ戦隊シリーズ『動物戦隊ジュウオウジャー』でサメの化身“ジュウオウシャーク セラ”としてデビューした柳美稀が、8月18日(金)から上演される舞台『SHINE SHOW!』に出演する。本作は、とある複合オフィスビルで行われるカラオケ大会で、さまざまな思いを抱える“サラリーマン出場者”と、トラブルをかいくぐって奮闘する運営スタッフとが織りなすコメディだ。主演の元宝塚歌劇団宙組トップスター・朝夏まなとが、初共演のシンガーソングライター・中川晃教や、歌唱力の豊かなキャストと共につくり上げる音楽劇でもある。そこに中川の恋人役として抜擢(ばってき)されたのが柳美稀だ。最近舞台への出演が増えている柳に、『SHINE SHOW!』から得たものや自身の目標について聞いた。(インタビュー前編はこちら

さまざまなジャンルの舞台が続き 「急にポポポポって階段を上っているような感じ」 

――まずは、舞台『SHINE SHOW!』への出演のきっかけを教えてください。

昨年、出演させていただいたミュージカル『世界でいちばん美しい~鎌倉物語~』に、『SHINE SHOW!』の関係者の方が見に来てくださったのをきっかけにお話をいただきました。

――すごいですね。その時のお気持ちは?

えーっ! ほんとですか!?って、すごくうれしかったんですけど、言葉にするのは難しい複雑な気持ちもありました。

――なぜですか?

『世界でいちばん美しい~鎌倉物語~』は私にとって初のミュージカルだったこともあって不安がいっぱいでした。もちろん全力で演じていて、いいものを見せるぞ、きっとお客様に何かを持って帰っていただけているはずだって思いながらやってはいたんですけど、心のどこかに「大丈夫だったかな」っていう思いがあって。周りの方から大丈夫だよって言われても、自分の中で確信が持てなかったんです。

でも、作品を観ていただいて次のお仕事をもらえるということは、良かったんだなって。ちょっと自信を持っていいのかなって、自信につながりました。

――昨年から舞台が続いていますよね。今年に入ってからもDisGOONie Presents Vol.12 舞台『玉蜻~新説・八犬伝』、劇団マカリスター第9回公演『なんだコイツ』と続き、『SHINE SHOW!』で舞台は3作品目です。

そうなんです。それもいろんなジャンルに出させていただいているので、急にポポポポって階段を上っているような感じがして、うれしいです。

考え過ぎのキャラクターに共感して最後には笑顔に 「それに尽きる作品です!」 

――『SHINE SHOW!』開演まであと2週間と迫っていますが、お稽古はいかがですか?

楽しいです。稽古中ずーっと笑っています(笑)。
お話のカラオケ大会に出場するほとんどの役柄が、私には「それ、考え過ぎだよー」って思えて。失礼ながら、その様子が笑っちゃう感じなんです。それをさらにコミカルな掛け合いを通じて解決していくので、見ていて面白いです。ついつい笑顔になっちゃっていますね。

――ご自分も出演しているのに?

もちろん、自分の出番ではない時に席で観ていて、です!自分の出番となると、皆さんに付いて行くので必死です(笑)。舞台って、例えば人と話すシーンで「ここは前を向いてしゃべってほしい」と演出されるんですが、そこには敢えて目線を外す理由があるんです。1つ1つの行動全部に疑問を抱いて、「それはなぜ?なぜ!?」って頭をフル回転させています。

――「なぜ?」は解決するのですか?

自分で解決できないところは演出の方や、他の方に聞いたりします。特に稽古場の席がお隣のサムさん(石坂勇)にはよくお聞きしますね。逆に「何であんなふうにしたの?」って聞かれることもあります。

稽古場は初めの頃から和気あいあいとしているので、プライベートなことからお芝居のことまで、いっぱい話させてもらっています。

――『SHINE SHOW!』はどんなところが魅力だと思いますか。

さっきの「考え過ぎだよー」って見えるところが、見に来てくださる方が共感するところなのかなって思うんです。日々の中で考え過ぎちゃって、どうしようって沈みこんじゃう人もいらっしゃると思うんですけど、舞台のキャラクターの誰かに共感が生まれて、自分は考え過ぎだったのかもって思えて、最終的には劇場を出る時に「面白かった!」って笑顔になれる。それに尽きる作品だと思います!

「これから、変わった役がしたいです」 “●●と言えば柳美稀”の確立を目指して

――単刀直入にうかがいます。舞台は好きですか?

うーん。“好き”っていうのは、すごく自信があるっていうふうに思えるので、今の自分はそこまでじゃないから、好きというより“楽しい”です。
皆でつくり上げるので、共演者の方やスタッフの方と濃密な時間を長く過ごせるし、やりがいがめちゃくちゃあります。「ふうっ!」っていう達成感が、あり過ぎなぐらいあります!でも同時に舞台は難しいです。

――テレビやドラマでたくさん演じてこられたのに難しい?

舞台は映像と違ってカットがないのが難しいです。映像は、もちろん気持ちを続けてお芝居をするのが難しい所ではありますが、映っていないシーンは視聴者の想像にお任せすることもあります。舞台は出ずっぱりの時もあって、誰かがしゃべっている時に身振り手ぶりで伝えないといけないけれど、それが本当に難しくて。自分の体って意外と動かないんだって実感しています。

――舞台俳優としての課題と闘い中ですね。

そうですね。でも稽古が終わってドアを開けたら、「さっ、ラーメンでも食べて帰ろう」ってあまり引っ張りはしないんですよ。ラーメン好きなので、ラーメンで切り替えですね。なので最近は、飼っている犬とランニングもしています。ラーメン食べた分、ラーメンに入れたニンニクの分、消費しないと(笑)。

――では最後に。2014年にモデルとしてデビューしてからもうすぐ10年ですが、これからの目標を教えてください。

『柳美稀』というものを確立したいです。
私、変わった役が特に好きです。好きと言うかやりたいんです。例えば『ホリデイラブ』で松本まりかさんがすごく嫌われる役を演じられていましたよね。あと “悪役と言えば、菜々緒さん”とか。例えは悪いかもしれないですが、「男女の仲をぐちゃぐちゃにする役なら柳美稀」みたいな、そういう「●●と言えば」で名前を挙げてもらえる俳優になりたいです。

【柳 美稀 Profile】
1997年8月24日生まれ、愛知県出身。B型。
2016年、テレビ朝日の戦隊シリーズ『動物戦隊ジュウオウジャー』のシャーク/セラ役としてドラマ初出演。その後、俳優として活躍の場を広げる。
近年の主な出演作は、映画:『刀剣乱舞-黎明-』、『ハニーレモンソーダ』、『賭ケグルイ』シリーズ、舞台:ミュージカル『世界でいちばん美しい~鎌倉物語~』、Disgoonie presents Vol12『玉蜻~新説・八犬伝』、劇団マカリスター『なんだコイツ』(W主演)など舞台作品に積極的に挑んでいる。
また、11月からは日本テレビ開局70年記念舞台『西遊記』への出演が控えている。

【公演情報】
舞台『SHINE SHOW!』
日程:2023年8月18日(金)~9月4日(月)
会場:日比谷 シアタークリエ(東京都千代田区)

出演:朝夏まなと、小越勇輝、花乃まりあ、木内健人、石坂勇、増本尚、柳美稀、栗原沙也加、西村直人、久ヶ沢徹 / 中川晃教
作:冨坂友(アガリスクエンターテイメント)
演出:山田和也
製作:東宝

写真:©entax

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