寺尾聰 “心を込めた作品”16年ぶりの主演作で語る松坂桃李との絆 映画『父と僕の終わらない歌』
2025.4.25 19:45
映画『父と僕の終わらない歌』の完成披露試写会が4月23日(水)に有楽町朝日ホールで開催され、寺尾聰、松坂桃李、松坂慶子、佐藤栞里ら豪華キャスト8名が登壇。世界的な感動実話を日本に舞台を移し描いた本作への思いを語った。
2016年、イギリスでYouTube に投稿された1本の動画が、世界中を感動させた。 ドライブの車中で楽しそうに歌う父と息子。助手席に座り、抜群の歌唱力で伸びやかに歌い上げる父テッド・マクダーモットは、アルツハイマー型認知症。この動画は同じ境遇にある世界中の家族に感動と希望を与え、再生回数は6000万回以上を記録。さらにこれがきっかけとなり、父テッドは80歳にしてCDデビューを果たし、イギリス最高齢の新人歌手となった。 本作は、この奇跡の実話をもとに、日本の横須賀に生きる父と息子に置き換え、それぞれの愛と葛藤、家族や友人たちに支えられながら、アルツハイマーの父が若き日に諦めたレコードデビューの夢を、再びかなえようとするまでの感動の物語。
「心を込めて作った映画です。と、よくみんな言うんですけども、本当に心を込めて作った映画なんです。特にこの映画は、このチームワークです。こんなに素敵な仲間と一緒に映画が作れたのがこの上ない喜びです」と、晴れやかな表情で語ったのは、16年ぶりの映画主演となる寺尾聰。

出演オファーが来た際や脚本を読んだときの感想を問われた松坂桃李は「この作品が扱っているテーマというものが他人ごとではないと思いました。そして何より、寺尾さんとご一緒出来るのであればやらせていただきます!という気持ちでした。」と、出演を決めた当時の思いを振り返ると、そんな熱烈な告白を受けた寺尾も「僕はいつもシナリオを読む前に最初に、どなたが中心になって、どなたの映画になるのか?を聞くんです。その時に『松坂桃李さんです。』と名前を聞いて、だったらちょっと前向きに考えようかなというのが最初のスタートでした。年を重ねてきますと疲れも多くなるので、出来るだけ楽しい、芝居をしていてとてもいい気持ちになれる俳優さんと仕事をしたいなと。松坂桃李と親子が出来る、そして松坂慶子さんと夫婦が出来る。最高の俳優たちに囲まれてこの映画が出来たのが非常にうれしく思います。」と決め手の一つを明かした。

その言葉を聞いた桃李は「勿体ないお言葉です。寺尾さんとは何年も前に、寺尾さんが主演の作品に少しだけ参加させていただいた瞬間がありまして、そしていつかはちゃんと共演したい、がっつりとご一緒したいという思いが自分の中でありました。今回親子役という形でそれが実現できたのが何よりもうれしくて、夢のような時間でした」と語った。

同じく寺尾から熱い信頼を寄せられた松坂慶子も二人との共演を楽しんだと言い「脚本を読んで自分で想像するんですけど、実際にそのシーンの撮影になると『こういう間なんだ』『こういう風に自然に』と、演じていて感じることがとてもある。すごく楽しかったです」と明かすと、寺尾は「本当にいい家族です」と、改めて三人で作り上げた家族の雰囲気に自信をのぞかせた。


また寺尾や松坂、そして三宅裕司・石倉三郎とも共演シーンの多かった佐藤は、「本当に毎日が楽しい現場で、友達が増えたなと思えてとてもうれしいです。私自身本当に大切な、大好きな作品になったので、今日からその思いを共有できる日になるんだと思うとすごくうれしいです。」と笑顔を見せた。
そんな佐藤と夫婦でバーを営むダニエル役の副島淳は錚々たる役者陣に加わることに緊張をしていたことを明かし「この世界に自分が参加させてもらえるというのが本当に光栄でした。初日はド緊張で迎えたのですが、皆さんが温かく迎えてくださって本当に素晴らしいチームだなと。桃李さんが話しかけてくださったり、寺尾さんもシーンとは関係ない話でも盛り上げてくださって、本当に裏でもそのまま。シーンで演じているそのままの温かさが繰り広げられていたので、一日一日が僕の財産になりました。」と尊敬と感謝を込めて撮影を懐かしんだ。

オファーを受けた際、既にほかのキャストが決定していたという齋藤飛鳥は「絶対に参加したいと思える、本当に素敵な皆さんが集まっていらっしゃったので、早く完成した作品が見たい!という気持ちで撮影に参加していました」とコメント。

映画では音楽要素も大きく、寺尾の歌唱シーンも注目ポイント。三宅は「この作品は親子愛や夫婦愛もありますが、そこにこんなにうまく音楽が関わっているという本はなかなかない」と語り、寺尾自身のライブにも何度もゲスト出演するほどの仲である石倉も「寺尾聰のバンドそのものでしたよ」と太鼓判を押した。
寺尾と歌唱シーンを共にした松坂は「本当に贅沢な時間でしたね。特等席でした!」と感激。それに「デュエットが本当に楽しかったのよ~!」と当時を思い出したのか本当に楽しそうな表情を浮かべた寺尾の様子に、二人の息ぴったりな親子の雰囲気を感じさせた。

イベントの最後には、公開を心待ちにしている観客やファンに向けて、キャストから熱いメッセージが贈られた。松坂は「ようやく皆さんにお届けできるというのが本当にうれしくて仕方ないです。どう受け取るかは皆様次第なので、あとは皆様の感想でこの映画は完成すると思っていますので、感じたまま皆様の言葉で、たくさん感想の言葉を届けてくれるとうれしいです」と熱く語った。
寺尾は「楽しんで観ていただけたらなと。げらげら笑うところもあるだろうし、ちょっときゅんと来るところもあるだろうし、その全部をひっくるめて楽しんでいただけたらと思っております。ぜひよろしくお願いします」と締めくくった。


映画『父と僕の終わらない歌』は5月23日(金)より全国公開
公式HPはこちらから