『はな恋』脚本・坂元裕二「棺桶に入れるならこの作品」広瀬すず、杉咲花、清原果耶トリプル主演 映画『片思い世界』ティーチインイベント開催

2025.4.15 12:50
坂元裕二さん写真

4月13日(日)に広瀬 すず、杉咲花、清原果耶が主演の映画『片思い世界』の公開記念ティーチインイベントが開催され、今作で脚本を務めた坂元裕二が映画の舞台裏や、作品へ込めた思いを語った。

※以下、イベントの内容に本映画のネタバレを含みます

映画上映後、ステージに登壇した坂元は「最近使い始めた言葉なのに、本当は意味がよく分かっていない言葉の第1位がティーチインなんです」とあいさつし、ドッと沸いた会場内。広瀬すず、杉咲花、清原果耶が演じる3人の主人公の特別な状況は本作の大切な秘密ということで、これまでの宣伝活動においては“ネタバレ厳禁”というスタンスで行われてきたが、このイベントからはそれも解禁。ということでまずは、この物語の着想のきっかけからトークをはじめることに。

「2年か3年前に親戚が亡くなりまして。その帰り道にふと思いつきました」と明かした坂元。「ただ後から思うと、これは自分が子どもの頃に考えていたお話なんじゃないかと思ったんです。僕は子どもの時に、ふとんの中でよく泣いていたんです。人が亡くなったり、祖父が建てた家が台風で飛ばされてしまったりして。自分じゃなくても、家族やおじいちゃん、おばあちゃんが死んでしまうんだと思ったんですが、それが受け入れられなくて、毎日ふとんの中で泣いてたんです」。

また、時期を同じくして、子ども図鑑などで見た天国や地獄の描写なども忘れられなかったという。「そこには閻魔(えんま)さまがいて、舌を抜かれたり、血の池に入れられたり、釜ゆでにされる、とあってものすごく怖かった。でもそれが受け入れられなくて、ふとんの中で話を考えていたんです。別の世界に行って、普通と同じように暮らしている。ご飯も食べるし、おならもするし、すべったり転んだりもする。これは4歳か5歳の頃から考えていた話だったんです」と説明すると、「身の回りの誰かが亡くなることで、人が死ぬんだということを理解する。そうしたときに人は成長すると思うんですが、それをどう受け止めていくか。それが傷になる人もいるし、成長につながる人もいると思う」と付け加えた。

本作パンフレットのインタビューで坂元は、「自分の38年の脚本家人生はこれを書くためにあったと思っている。棺桶に入れるならこの作品だと思う」と語っている。その理由について「単純にとても気に入っているということ。もちろん自分はテレビ出身の人間だから、何かを残したいというわけではなく、放送時間を過ぎたらみんな忘れればいいやと思ってやってきたんですが、本作は残ってもいいかなと思った」という。

そしてここからは映画を鑑賞したばかりの観客から質問を受け付けることに。まずは「主人公の3人は生きている人と交わらない。この物語をファンタジーにしなかった理由は?」という質問が。

それに対して、「自分は現実的な人間なので、交わったことがないんです。うちの母は“あそこに幽霊がいる”というような人間なんですが、自分自身は見たことがなくて。やはり書き手としてそこは、ウソはつけなかった。だって実際に会ったことがないから。たとえば(飼っている)犬が死んで5年くらい経つのですが、いまだに床にお菓子とかを置けないんです。床に座ってても置けないから(台などの)上に置いちゃうんですけど、それは犬と一緒に生きているから……」と説明し、さらに劇中に登場するラジオの声の主(演じるのは松田龍平)などについての考察などに触れるも、ふと我に返って「こんなに解説しちゃっていいのかな……僕の言っていることが正解だと思って書いているわけじゃない。スタッフや監督の意見なども全員違うでしょうし」と念を押すひと幕も。

1 2

クオカードプレゼントキャンペーン2024

関連記事

おすすめ記事

ジャンル