『カービィ』『スマブラ』生みの親・桜井政博「激変する可能性も」 “1年先もわからないゲーム業界”で自ら向き合う課題とは?【独自インタビュー】

2025.4.1 11:45

◆《独自インタビュー》自身の“時間”をどう割り振るべきか

──『功労賞』おめでとうございます。率直なお気持ちを聞かせてください。

桜井 どうもありがとうございます。『功労賞』というと、これまでに宮本さん堀井さん、久夛良木(くたらぎ)さん(『PlayStation』生みの親)、シブサワ・コウさん(『三國志』シリーズなど)…と、やはり業界のレジェンドたちがとられていまして、どうも私は名前負けしているなと思いますが、それでもありがたく頂戴させていただきます(笑) 『功労賞』は“事を成した人”の賞だと思うんですが、私もそういう年になったんだなとつくづく感じますね。

──受賞の連絡を受けた時はどうでしたか?

桜井 何かの間違いかなぁと(笑) 審査してほしいとか、そういう話かなと思いました。自分は、反省することもいっぱいあると思うんですよね。全てが間違いだと言ってもいいくらいかもしれません。そういうエラーとか達成みたいなものを繰り返しながら今に至るので、そしてこれからもおそらくそれは変わらないと思いますから、たまたま賞をいただいたかもしれないけれども、それは自分がものすごく良いことをしたと思うことなく過ごしたいと思います。

『功労賞』授与時スピーチの様子

──同じ受賞者として参列された宮本さんや堀井さんと、お話はできましたか?

桜井 控え室で、少しだけ話をすることができました。いやぁやっぱりそれぞれ久しぶりだから、うれしかったですね。ゲーム業界では最高のレジェンドと言えるお2人ですから、とても恐縮することしかりです。(宮本さんの)『ニンテンドーミュージアム』は、開業前にご招待いただいてたっぷりと楽しみました。本当に楽しいところで一日中いられますね、あそこは。見ていない方はぜひ行くことをお勧めします。

桜井 また、昔の『ドラクエⅢ』(1988年2月10日 発売)が社会現象になった頃…実はヨドバシカメラの早朝に並んでたんです、友達と一緒に(笑) 最近、何十周年ということでその行列が色々な映像で出ているのですが、その中の1人に自分がいるんだと思うとなかなか感慨深いものがありますね。

──今回の授賞式で、特に注目したゲーム業界以外の方は?

桜井 やっぱり、山崎監督はいいですね。ちょうど同じ席だったんです、宮本さんと山崎監督と。楽しくお話しさせていただきました。正直、今回のAMDアワード大賞については『ゴジラ-1.0』だろうなぁと思っていました。相応しいと思います。特に『Netflix シリーズ 地面師たち』が『AMD理事長賞』をいただいた後だったので、『地面師たち』でないのなら…と!

──“イチ視聴者”として『ゴジラ-1.0』はいかがでしたか?

桜井 よくこれを作ったなぁと思いました。「よく作ったな」と思う時点ですでにイチ視聴者ではないのかもしれませんが(笑) 予算もそんなに潤沢ではなかったでしょうし、色々なところの理解がないとなかなか難しい作品だと思うんですよね。それをよく、ああも表現したなぁと思いました。

山崎貴 監督(左) 『大賞/総務大臣賞』授与の様子

──他作品・他クリエイターからの刺激はどのようにして受けていますか?

桜井 いやぁもうなんでもやりますからね。大型タイトルをやっている時には絞りますが、小さい規模のタイトルをやっている時には触ることもありますね。なんでも、良いものを作った人は尊敬したり、たまには仲良くなったりしますし、それは今後も、インディーズも大型タイトルも全く見境なく色々なものに触れて、刺激を受け続けたいと思っています。

──YouTubeチャンネル『桜井政博のゲーム作るには』のように、今後ゲーム作り以外の計画は?

桜井 今のところ全く考えてないですね。“これから何もしない”ということを宣言しているわけではなくて、ゲーム業界…本当に1年後がわからなくなってきました。それだけではなく、チャンネル制作を通じて、何かを貢献しようとするのにはそれだけで時間がかかるということもわかった気がします。

桜井 例えば、どこかに寄付をするとか何かの開発支援をするということでも、結構自分の時間を使ってしまうんですね。それをどう割り振ったらいいのか、どうやったら貢献になるのか…みたいなことは、これから1つの課題として考えていかなければいけないことなのだろうと思いますが、それ以上にゲーム業界が激変する可能性もあるので、その辺についても注意しながら自分ができることをしていこうかなと思っています。

──ゲーム業界のどのようなところに変化を感じていますか?

桜井 例えば、“AIの自動生成”みたいなものって、1年前はこんなではなかったですよね。それ以外にも、制作に対するコストの不安──それが本当にリクープ(投資費用などの回収)できるのか。ゲームソフトって(昔と比べ)値段が全く変わってないですよね。(高くても)1万円切るくらいじゃないですか。なのに、内容については10倍〜100倍すごくなっていたりするという。

桜井 人もかかるし、時間もかかるし、反面、残業とかはできないことになっていて非常に苦しい状態にあると思います。いや、苦しい状態が何年か続いていると言ってもいいですね。だからこそ、今出ているソフトに本当に感謝をしているんですけれども、いつまでもこうではないだろうという予感もあります。今はもう、1本のソフトを作ることに精一杯なので、そこに全力を尽くしています。

《桜井政博》
1970年、東京生まれ。ゲームデザイナー/ディレクター。2003年に独立。その後、有限会社ソラを設立。代表作は『星のカービィ』『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズなど。幅の広さと奥深さを両立させたゲームデザインに定評がある。2022年に開設したYouTubeチャンネル『桜井政博のゲーム作るには』では、ゲーム制作に興味がある人も、プレイするだけの人も楽しく学べる動画を300本近く公開。多岐に及ぶゲーム制作のノウハウを無償提供し、海外を含むゲーム業界全体の底上げに貢献した。

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