『北斗の拳』を手がけた原哲夫が“天才現る!”とうなった高校生の漫画作品に、高橋ユウ「生きる希望をもらえる…」と感動
2025.3.28 11:00
3月26日放送の『1億人の大質問!?笑ってコラえて! 2時間SP』では、漫画家を目指す高校生に密着する企画がついに完結。見事読み切りでの漫画誌デビューの権利を勝ち取った高校生も現れた。
国内の公立高校では全国初となる『マンガ学科』が設置された熊本県立高森高等学校。ここに通いながら漫画家としてデビューを目指す高校生に密着する『1年たったらこうなりましたの旅・漫画家編』も今回が最終回。番組でこれまで取り上げてきた生徒たちを中心に、1年間の奮闘ぶりを振り返った。
『マンガ学科』の特徴の1つが、現役のプロ漫画家やマンガ誌編集者たちが講師となり、生徒たちに直接指導したりアドバイスを送ること。その中の1人が漫画家・山口育孝(やすたか)先生。『学研まんがでよくわかるシリーズ』などの作者としても知られており、毎日のように生徒たちを指導し、見守っていた。
そんな山口先生がその才能に目をつけた生徒が、2年生の荒木さん。昨年4月の密着開始直後に行われた1年生と2年生の顔合わせとなる遠足では「全員ライバルなので絶対負けません」と全方位に向けて宣戦布告をし、度肝を抜いた彼は、同級生からも「しっかり頑張ってるから」と一目置かれる存在。6月上旬に発表されたマンガ賞では、応募者中トップとなる優秀賞を受賞し、デビューに向けて次のステップへと移行していた。また、荒木さんがライバル視している沖縄出身の2年生・與儀(よぎ)さんも同じマンガ賞のストーリー部門で未来賞を受賞し、担当編集者が付いて次回作への構想を練るようになっていた。
2024年の春から講師を務めるようになった山口先生だが、夏を迎えるころにはすっかり生徒たちと打ち解け、多くの生徒たちが山口先生を訪ねるようになっていた。夏休み前、荒木さんは1本のネーム(マンガの構成をまとめた設計図的なもの)をもって山口先生のもとへ。12月締め切りの『コミックゼノン漫画大賞』に新作を応募するため、アドバイスをもらいに来たのだ。人間関係に悩む女の子が海の中で出会ったカメたちとの交流によって、生きるヒントと大切なものを守りたいという気持ちを見出していく、というストーリー。これまで荒木さんが描いてきた作品はいずれも荒木さん自身のこれまでの経験や心境が色濃く反映されていた。ネームに目を通した山口先生は「僕はすごく良い作品だと思う」「海の中のシーンは荒木くんの独壇場なのでこれ以上何も言うことはない」と荒木さんのネームを高く評価していた。
しかし夏休み中、荒木さんはネームを書き直すことに。だが、直したものをもう1人の講師である漫画家の富沢順先生に見てもらうと、先生は「前のヤツの方がわかりやすかった」という。主人公のキャラクターが内気だった子から活発な子に変わったり、特訓を積んでサメと対決するシーンがあったりと、最初に描いたものから大きく変わっていたが、荒木さん自身は「どっちも気に入ってます」と言う。とはいうものの、どこかで釈然としない違和感をスタッフも、荒木さん自身も抱いていた。
その違和感の正体を見破ったのが山口先生。「主人公の心の中を映したような見開きが欲しかった」という。山口先生が荒木さんの才能に目をつけた最初の作品でも、躍動する巨大なカジキを描いた見開きページが特徴的だった。当時荒木さんも、まずこの見開きが描きたくて、そこに合わせてストーリーを作ったと語っていた。そのような見開きページが、直したネームの中に無いということは、本当に描きたいものが描けていないのではないか、と山口先生は考えたのだ。「いま心がちょっと傷ついている人とか、人間関係で悩んでいる人とかに刺さるような話を描きたい」という荒木さんに山口先生は「本当に自分の描きたいものは、残して!」とエールを送った。