宮崎吾朗監督デビュー作『ゲド戦記』 企画に反対していた宮﨑駿がつい口を滑らせたアドバイスとは?

2025.3.7 11:00

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3月7日は2006年に公開され、宮崎吾朗監督のデビュー作としても話題を呼んだ『ゲド戦記』が登場。本作は、世界三大ファンタジー小説のひとつで、宮﨑駿氏も愛読しているという“ゲド戦記”を原作としてアニメーション映画化されている。

舞台になっているのは、本来人間界にいないはずの竜が出現し、異変が起こりつつある世界。心に深い闇を抱えた少年・アレンが、異変の源を探る大賢人のハイタカや、謎の少女・テルーと出会い、成長していく姿を描く物語だ。

本作で注目してほしいことの1つに、背景美術を“絵画”として描いている点がある。宮崎吾朗監督が目指したのは、写真のようなディティールを描き込んだ緻密なリアルさよりも、油絵やテンペラ画のような筆のタッチや、大胆な色づかいからなる絵画としての豊かさを追求した背景。

実は、試行錯誤を重ねるさなか、『ゲド戦記』の企画に反対していた宮﨑駿監督が、スタッフとの雑談の中で、「『ゲド戦記』にはクロード・ロラン(フランス古典主義絵画の巨匠)の世界観が似合う」と、つい口を滑らせてしまったのだとか。それを聞き逃さなかったスタッフが、すぐにクロード・ロランの画集を入手し、さらには、終末観の漂う中近世の西欧の絵画を手がかりに、写実性に囚われないドラマティックで豊かな背景美術を作り出していったのだという。

ぬけるような青空が宮﨑駿監督の特徴ならば、『ゲド戦記』の空の特徴は、登場人物たちの心の有様が映っているかのような雲の微妙なニュアンス。空の表情で、登場する人物の心理などを表現することを多用しているのだ。ぜひ、絵画のような背景にも注目して、本作を楽しんでもらいたい。

そのほか、『ゲド戦記』では、岡田准一や菅原文太、田中裕子ら声の出演陣の名演も聞きごたえたっぷり。スタジオジブリが贈る壮大なファンタジー作品をお楽しみに。

【ストーリー】
「魔法」が日常的に存在する多島海世界「アースシー」。そこでは人間の住む世界に現れるはずのない竜が突然現れて共食いを始め、魔法使いが魔法の力を失うなど、異常事態が次々に起こっていた。その原因を探って旅を続けていた「大賢人」と呼ばれる魔法使い・ゲド、通称ハイタカ(菅原文太)は、ある日、エンラッドの国王(小林薫)である父を刺し、国を捨てて放浪していた王子・アレン(岡田准一)と出会う。アレンは、正体不明の「影」に追われていた。 ハイタカと共に旅をすることになったアレンは、都城ホート・タウンに到着。しかしその街もかつての輝きを失い、麻薬や人買いが横行していた。そんな街角で人狩りのウサギ(香川照之)の襲撃を受けていた少女・テルー(手嶌葵)を助けようとしたアレンは、ウサギに襲われ囚われの身に。ハイタカは奴隷として売り払われそうになっていたアレンを救出。そしてハイタカの昔なじみの巫女(みこ)・テナー(風吹ジュン)の家を訪れたアレンは、テルーと再会する。
テナーの家で畑仕事などを手伝う中で、少しずつ人間らしさを取り戻していくアレン。そんなアレンにテルーも少しずつ心を開き始めるが、アレンが自ら生み出し彼に付きまとう「影」への恐怖は、彼の心をむしばんでいく。そんな中ハイタカは、世界の均衡が崩れかけている元凶が魔法使いのクモ(田中裕子)であることを察知。過去のある出来事からハイタカを恨み続けているクモは、アレンの心の中の「影」への恐怖を利用してハイタカを倒そうと決意するのだが…!?

『ゲド戦記』(2006)
原作:アーシュラ・K. ル=グウィン
原案:宮﨑駿
脚本:宮崎吾朗、丹羽圭子
監督:宮崎吾朗
プロデューサー:鈴木敏夫
音楽:寺嶋民哉
主題歌:手嶌葵
声の出演:岡田准一、手嶌葵、田中裕子、香川照之、風吹ジュン、内藤剛志、倍賞美津子、夏川結衣、小林薫、菅原文太

画像提供:(C)日テレ

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