チケットわずか5分で完売 Mrs. GREEN APPLE初の韓国での単独公演を開催~ライブレポ
2025.2.18 18:45曲名通り青い光に会場が包まれる中、「青と夏」の前のめりなバンドサウンドが轟(とどろ)き、客席から叫びのようなシンガロングが巻き起こる。立て続けに「ライラック」。若井のギターがさらなる興奮を呼んでくる。大森の韓国語での「いくぞ!」という声を待つまでもなく、TIGER DOMEはすっかり熱狂の坩堝(るつぼ)だ。
その後真っ赤な映像とライトに照らされた大森と若井がギターをかき鳴らす「インフェルノ」を経て、大森がはっとするような歌を歌い出す。「Soranji」だ。大森が紡(つむ)ぐ歌に、さっきまで大合唱状態だったオーディエンスがしんと静まり返って聴き入っている。決してこの曲の歌詞を理解することは簡単ではないと思うのだが、こうして日本以外で暮らす人々にそのメッセージがしっかりと届いているのを見ると、お題目ではなく「音楽が国境を超える」ということが実感できる。この曲にかぎらず、日本語の歌詞がしっかりと韓国のJAM’Sに共有され、「みんなの歌」として響き渡る――そんなシーンがこの日のライブでは次々と生まれていた。

2日目に行われた記者会見でもメンバーはJAM’Sのみんなが歌詞を覚えて歌ってくれることに感動と驚きの気持ちを表していたが、確かにそれは驚くべき光景だった。「歌」を通じて結びついた、バンドとJAM’Sの親密で揺るぎない関係は、日本だけではなくここ韓国でも確かに育まれている。
「Soranji」の重厚なムードから一転、「familie」を軽やかに披露すると、ライブは早くも終盤に突入。“ミセスに見せたい景色がある”と記されたメッセージカードが場内にたくさん掲げられた。(韓国のJAM’Sが自発的に考案した盛り上げだったよう)「私は最強」の大合唱がハイライトを描き出したのち、若井から韓国語で「残念ながら終わりの時間がきてしまいました」という言葉が伝えられ、客席からは悲鳴のような声が上がる。それでも「今日は本当に楽しい時間でした。みなさんはいかがでしたか?」という問いかけに歓声で応えるオーディエンス。それを聞いた若井は「アッサ!(よっしゃ!)」とガッツポーズである。そんな若井に続いて大森も藤澤も韓国語を交えてコミュニケーションをはかると、最後に再び若井が「寒いので一緒にダンスしよう!」と呼びかけた。そう、ここで鳴らされるのが「ダンスホール」だ。同曲は韓国で最も聴かれている曲だけに、フロアは揺れんばかりにジャンプしている。大森が笑顔を見せながらステップを踏み、若井や藤澤とじゃれ合い、力強い歌を届けると、いよいよ最後の曲。「ケセラセラ」の優しくも頼もしいサウンドとメロディがオーディエンスひとりひとりの心を掴んでいく。もちろんここでもシンガロングが美しい光景を生み出し、ライブは最高のフィナーレを迎えた。
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記念すべきミセス初の韓国単独公演。そのライブは「初」というのが信じられないほどに、JAM’Sとバンドの間の強い絆を感じさせるものだった。最初から最後まで歌い、ライトスティックを振り続けたオーディエンスの力が、間違いなくこのライブを特別なものにしていた。大森がライブ中に何度も韓国語で伝えていた「また会いましょう!」という言葉はきっとすぐに現実になるだろう。そしてそのときは今回以上の熱狂が、ここ韓国で生まれるに違いない。