“チョコレートの神様”マラリアに5回もかかり九死に一生を得た26歳女性が作る絶品チョコにヒロミも感動

2025.2.10 11:10

田口さんは1998年の岡山県生まれ。大学教授を父に持つ。チョコレートが好きになったのは、3~4歳の頃、曾祖父からもらった金色の包み紙のチョコレートがきっかけだったという。中学生の頃、ガーナのカカオ農家に関する本を読み興味が増し、その後、難関私立の国際基督教大学に入学するが、「そもそも私は何のために大学に行くんだっけ?というのを入学式で考え始めて、自分が好きなことって何だろうって初めて考えさせられて過去のこと色々考えた結果、私はカカオについて色々調べていた時期もあったし、そこに没頭してみるのもいいんじゃないか」そう思った田口さんは、アルバイトで貯めた20万円を持って大学1年の夏に単身ガーナへ。宿泊先も決まっていない2か月間のノープランの旅に出かけたのだそう。

ガーナへ渡った時の話をしてくれる田口さん(左)

田口さんがたどり着いたのが、空港から北に位置するアマンフロム村。「カカオ農園の地域は、全然海外の人がいないようなエリアだったので、みんなびっくりしていて。“宇宙人が来た”とかウワサされていたらしいですね」。

さらに田口さんは訪れた村で、ある衝撃を受ける。「チョコレートが好きで来たんだ」と言っても、冷めた反応をされたのだという。聞くと、カカオ農家の大半が、“チョコレート”というワードは知っていても、製品となったチョコレートを見たことも食べたこともなかったのだ。

そこで、本物のチョコレートを食べてほしいと、YouTubeを見ながらなんとか自力でチョコレートを作り、みんなに振る舞った田口さん。「これおいしいっていってくれて。自分が何十年作ったものってこんな味なんだ!チョコレートってこれなんだ!っていうので、すごい村中の人たちが喜んでくれて」と、当時の事を思い返す田口さん。最初の2か月間で村人と仲良くなり、なんと家まで建ててもらったという。

単身ガーナへ渡り、チョコレートの味を現地の人に広めた田口さん

しかし楽しい時間ばかりではない。田口さんは現地でマラリアに5回も罹患(りかん)したのだという。2023年には全世界で約60万人が命を落としているというマラリア。田口さんも、何日間も生死をさまようような時期があったのだそう。薬を届けてくれた人にお金を払って薬をもらい、九死に一生を得たというが、その際、「お札を持つ手が震えてしまって。私が今このお金がなかったら、ここで死んでいたかもしれない」「カカオ農家さんはこういう生活をしているのか」と感じ、「何とか力になりたい」と思ったのだという。

厳しい現状を目の当たりにした田口さんは2018年、大学1年生の時に大学を中退し、ガーナのカカオ農家を支援するプロジェクトを開始した。大学中退後、田口さんはさっそく本格的にカカオ農家のために行動を開始。2020年、ガーナにチョコレート工場を作るべく、日本でクラウドファンディングを実施。支援者からおよそ430万円を集め、翌年の11月からチョコレート工場の建設にとりかかり、2022年、遂に工場が完成。チョコレート作りは村の女性にお願いすることで、雇用を生み出した。

そんな田口さんには今、大きな夢がある。

現在ガーナで作られるカカオは、カカオ省という政府機関が、品質に関係なく重さで買い取り、安く海外に輸出されている。そのため、収穫量を増やさない限りカカオ農家の収入は増えない。そこで田口さんは、重さで買い取るのではなく、質でカカオの値段を決めるようカカオ省に働きかけている。そうすれば、カカオの質が上がるだけでなく、農家の収入を増やすことにつながると考えたのだ。

さらに、ガーナで栽培したカカオ豆を日本へ輸出。茨城県にあるベーグル工場の一角を間借りして、田口さんを中心とした6人で、大ヒット商品『MAAHA CHOCOLATE』を作っているのだ。

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