川崎鷹也の声質・表現力は唯一無二?『ハナミズキ』など手がける音楽家・武部聡志が絶賛「彼とその音楽を知ってほしい」
2025.1.16 12:00——武部さんは前回、薬師丸さんとその横綱クラスの名曲たちが、若い岩城さんのアレンジと、やはり若手がそろうオーケストラNIPOの演奏で、どんな化学反応が起こるのか楽しみとおっしゃっていました。今回は川崎さんと岩城さんとNIPO、若手のコラボをプロデュースすることになります。
武部 新しいムーブメントというのはいつも若い人が起こすので、当然僕らよりも後輩の若い音楽家に期待しているところが大きいです。それとやっぱり鷹也のことを知らない人に、彼とその音楽を知ってほしいという思いが今回は強いです。
武部 こんな素晴らしいボーカリストがいる、こんなにいい曲があるということを、今まで鷹也のライブを観たことがある人以外の人、クラシック好きでも僕の音楽のファンでもいいし、そういう人に川崎鷹也を体感してもらういい機会だと思っているんです。ゴージャスなオーケストラのサウンドがその入口になれば嬉しいです。
川崎 ありがとうございます。恐れ多すぎます…。これまで何度か武部さんと一緒にステージに立たせていただいていますが、僕のファンの方の中には、二人で出す音、音楽が好きと言ってくださる方も多いんです。だから今回は本当に楽しみですし、そこに(岩城)直也さんが参加してくださることでよりゴージャスに、パワフルにもなるのでそこも体感して欲しいです。
——武部さんは川崎さんのカバーEP『白』(2022)年をプロデュースし、それを携えバンドでのビルボードツアーを行ない、昨年はピアノデュオスタイルでお二人でBillboard Live TOKYOでライブを行ないました。
武部 バンドでライブをやってから、去年ピアノのデュオをやってそこで感じたのは、わずか一年でこんなに成長するんだって驚いて……完全に親目線(笑)。それだけ色々な場所で色々なお客さんの前で歌ってきたことが経験として確実にプラスになっていることを感じました。
武部 だからピアノデュオの時はどっしり感があったというか、地に足が着いた音楽家になったと感じました。若いアーティストとの共演は僕にとっても刺激的です。鷹也の勢いや音楽に対する考え方、パフォーマンスなど、全てが新鮮で学ぶことが多いんです。
川崎 ピアノデュオは、武部さんがアドリブを繰り出してくるのがすごく楽しくて。僕もアコギ1本でやるステージではアドリブをやることが多くて、お客さんの表情を見たり空気感を感じながらステージを作るので、それをビルボードライブというステージで武部さんと2人でできたことが嬉しかったです。練習してきたものを本番で披露するのではなく、その場でお客さんと一緒になって作っていくあの感覚は、武部さんと2人だったからできたと思うし、どこかヒリヒリした感じというか、緊張感が常にあったあのステージは本当に楽しかったです。
——武部さんが感じる川崎さんの一番の魅力は?
武部 出会いは2021年にテレビ番組での共演でした。その時『魔法の絨毯』や『サクラウサギ』を歌っているのを聴いて、すぐにその才能に惚れ込みました。声質や表現力が唯一無二で、日本の音楽シーンにおいて正統なポップスを後継するシンガーソングライターだと感じました。声質って本当に大事です。テクニカルな部分は後から身につけられますが、声質や表現力は生まれ持ったものです。鷹也は自分の声の魅力をよく理解し、コントロールして歌うことができるボーカリストです。
——このインタビューを見守ってくださっている岩城直也さんは、川崎さんと昨年共演しましたが、その魅力はどこにあると感じていますか?
岩城 歌声です。もちろん楽曲も素晴らしいですし、歌詞の言葉の選び方も唯一無二だと思いますがそれをどう歌うか、届けるか、表現力も素晴らしいと思います。歌が“見えてくる”感覚というか…。武部さんも川崎さんの声質をスモーキーと表現していましたが、本当にそこがスペシャルだし、その声質と、歌を届けるんだという意志みたいなもののマリアージュが忘れられないです。
川崎 お二人からそう言っていただけて光栄です。自分の声を活かしながら、常に新しい挑戦を続けていきたいです。
——先ほど三人での打合せの中でセットリストについて意見を交わしていましたが、川崎さんはご自身でどんなセットリストにしよう、したいなと思って今日の打合せに臨んだんですか?
川崎 普段の僕のライブではできない曲や、アコギ1本では成立しない曲なども挑戦したいと思いました。武部さんと岩城さんのアレンジで、その曲たちのまた違う部分が見られるのが楽しみです。カバー曲にも挑戦したいと思います。
武部 オリジナル曲はもちろん、カバー曲は鷹也の色合いをそこにどう投影できるかを考えながら選んでいます。鷹也がギターでリードする曲、オーケストラがリードする曲、僕のピアノがリードする曲、かなりバラエティーに富んだセットリストになるはずです。そういう意味では色々な川崎鷹也が楽しめるようなコンサートにしたいと思っています。
——打合せで武部さんから「『君は天然色』はやりたいね」というアイディアが出ていました。
武部 みんなでセットリストを考えていく中で、もう少し明るい曲が欲しいなと思ったのと、オーケストラでやったら素敵だろうなって思ったし、それからは鷹也が他のライブではやらない、僕か亀田誠治さんと同じステージでしか歌わないという話を聞いていたので、このコンサートでやるべきだと思いました。皆さんも大好きな曲だと思うし、岩城君もこの曲が好きだと言っていたので、これはもうやるしかないなと思って。
川崎 『君は天然色』を松本隆さんのトリビュートアルバム(『風街に連れてって!』(2021年)で歌わせていただいてから、色々なところからオファーをいただくようになって。あのアルバムは亀田誠治さんプロデュースで、武部さんが僕をおしてくれて。人生を変えてくれた曲ですね。お二人への感謝も込めて大事に歌っていきたいんです。
川崎 それが僕がカバーを歌わせていただく上でのマナーというか、『君は天然色』を歌って欲しいというリクエストが多かったのですが、お断りしてきました。武部さんと亀田さんがいるところ以外では歌わないということを大切にしてきました。
──このコンサートが川崎さんのキャリアの中でまたひとつ大きな経験になりそうです。
武部 フルオーケストラとのコンサートは、アーティストの音楽人生の中で、いいステップアップのきっかけになってほしいといつも思っています。鷹也にとっても新しい可能性を広げる機会になるはずです。
川崎 僕にとってライブはアウトプットの時間ですが、今回のコンサートはインプットの方が大きくなると思います。武部さん、岩城さん、そしてオーケストラの皆さんとの共演で得た新しい音楽の可能性を、自分のライブや楽曲制作にも活かしたいです。
──最後にこのコンサートを楽しみにしているファンの方へメッセージをお願いします。
武部 川崎鷹也の素晴らしさを、より多くの人に知ってもらいたいと思っています。鷹也の歌声とオーケストラが重なってどのように響き渡るか、とても楽しみです。クラシックファンの方も、ポップスファンの方もぜひ会場に足を運んでいただき、新しい音楽体験を味わっていただきたいです。
川崎 いつも応援してくださっているファンの皆さん、そして初めて僕の歌を聴きに来てくださる方々、このコンサートを通じて新しい音楽の世界を一緒に体験できることを楽しみにしています。武部さんと岩城さんのアレンジで、僕の楽曲がどのように生まれ変わるのか、僕自身もとてもワクワクしています。素敵な時間を一緒に過ごしましょう。