『ふてほど』で一躍注目の河合優実が映画『あんのこと』舞台あいさつに登場 来年の抱負を聞かれ「シンプルに過ごしたい」

2024.12.17 15:45

12月15日(日)の映画『あんのこと』特別上映会に河合優実が舞台あいさつに登場。大躍進の今年を振り返った。

入江悠監督が、主演に河合優実、共演に佐藤二朗、稲垣吾郎を迎え、「少女の壮絶な人生を綴(つづ)った新聞記事」を基に描いた、今年6月7日(金)に公開された衝撃の人間ドラマ『あんのこと』。国内外から高い評価を受け、公開から半年以上経っても各地で上映が続く『あんのこと』が、kino cinema 心斎橋オープニング作品として特別上映され、12月15日(日)には主演の河合優実と監督・脚本を務めた入江悠監督による舞台あいさつが行われた。

盛大な拍手に迎えられて登場した2人。今日のチケットが3分で完売したことを聞かされると河合は「チケットを3分でゲットしていただいてありがとうございます。公開からだいぶ時間が経って、また皆さんの前で『あんのこと』の話ができる機会をいただけてすごくうれしいです」とあいさつ。

入江監督も「新しい映画館の空気感がいいですね。オープニング作品に『あんのこと』を選んでいただいてありがとうございます」と感謝の思いを語り、「6月に公開された作品が年末まで上映が続いて、色んなところでお客さんにお会いできるので、今年は『あんのこと』と一緒に走った1年だった」と振り返った。

パリで開催された【KINOTAYO(キノタヨ)映画祭】観客投票によって決まる最高賞のソレイユ・ドール賞を受賞したことがMCから明かされると、場内からは大きな拍手が。入江監督は「こういう題材なので、個人的には浮かれないようにしてますが、スタッフや俳優が評価されるのはうれしい。杏という子のことを皆で一生懸命考えて丁寧に紡(つむ)いだ映画なので、それを評価していただけたのはうれしいです」と感想を話した。

受賞を受けて河合は「海外でもたくさんの方に観ていただけて、その土地の方に届いているのがうれしいです。そこに行かないと温度感はわからないので行きたかったです」と思いを語った。

劇場での舞台あいさつや海外の映画祭での反応について入江監督は、「自分の体験に引き寄せて感想を言ってくださる方が多い」と明かし、「自分の人生と重ねて観るというのは、命がけで観てくださってるんだと感じる。お客さんとお話するたびに鍛えられている気がします」と観客の感想や観客との対話が力になっていると語った。

Yahoo!検索大賞俳優部門1位を受賞するなど、大躍進の1年となった河合。『あんのこと』は河合にとってどのような存在なのか聞かれた際は、「撮影は2022年の終わりだったのでちょうど2年ぐらい経ちますが、今年の色々な動きとは全く別で、私にとって特別な経験になったし、数あるお仕事と同列には語れないような作り方だった」と今年を振り返った。

さらに、「検索大賞で1位を獲ったということは知らない人が検索してくれてるということ。私を知ってくれた人が『あんのこと』を観てくれたかもしれないし、それぞれの作品が影響し合って、次に公開されるものに良い風が吹くこともあったと思うので、今年、『あんのこと』が公開されて1人でも多くの人に観ていただけたのは、ものすごく良かったと思う」と作品への思いも語った。

一方、撮影中の河合をどのように見ていたのか問われた入江監督は「ほとんど演出していない」ことを明かし、「杏の考えていたことは僕もわからないので、河合さんにお任せした部分もあった。そういう意味では、毎日発見があった」と振り返り、「脚本はありましたが、その時に杏がどういう心境になるのかは河合さんを通して僕たちも見せてもらっていた」と河合の演技を称賛する場面も。

2日前にオープンしたばかりのkino cinema 心斎橋について聞かれ、入江監督は「前のシネマート心斎橋は韓国映画を推してて。そういう個性がミニシアターのいいところだと思う」と思いを語ると、「この映画館も観客の方が育てていくと思うので、次に来た時に変な色がついていたらいいな」と会場に笑いを誘った。

河合は「時間があればできるだけ映画館で観たいと思ってる」ことを明かし、「新しい映画館で、こんな風にスクリーンを見上げられる椅子で映画を観られて羨ましい」と劇場について語り、「ある日映画を観に行ったら、当時私がやっていたSNSのアカウントに「今日、映画館にいた人ですよね」とDMが来たんです。そこで「僕の映画に出てください」と言われて、初めて映画に出ることができたので、映画館は始まりの場所です」と映画館の思い出についても話してくれた。

また、河合が初めて映画館に行ったのは『ラストサムライ』だったそう。「2000年生まれなので2歳で、親から聞いた話だと、泣いちゃって途中で出たらしいですが、抱っこされながら観た記憶がなんとなく残ってる」と振り返ると、入江監督は「僕の育った町には映画館がなくて、映画好きのおじさんがスクリーンと映写機を持ってきて上映してくれた。その人が地元にミニシアターを作ったんですが、夢は叶(かな)うんだなと思った」と思い出を明かした。

年末も近づく中、来年の抱負を問われると河合は「具体的には何も決めてませんが、余計なものを振り払ってシンプルに過ごしたい。余計な心配や感じなくていいストレスを手放して大胆に軽やかに」と抱負を語った。

最後に、入江監督が「この映画とともに日本全国を周ってきて、色んな方が杏や登場人物のことを考えてくださった。映画監督として節目の作品になった。僕も年末年始は映画館に通って元気をもらいたいと思いますので、関西の映画館で僕を見かけたら優しく声をかけてください」とあいさつ。

河合は「『あんのこと』の公開当日はすごくドキドキしました。監督がよく、映画が公開すると自分の手元から離れていくとおっしゃいますが、初めてそういう感覚を得ました。うれしい感想や色んな反響が届いて、映画を作って人に観てもらうってこういうことなんだと実感した作品です。そこから時間が経って、皆さんの前でお話できてうれしいですし、映画館でまた公開されるので、初めてこの映画に出会う方がたくさんいてくださるとうれしいです」とあいさつすると、大きな拍手で見送られ、舞台あいさつは幕を閉じた。

映画『あんのこと』舞台あいさつ イベント
12月15日(日)15:40~16:10
kino cinema 心斎橋

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