競技人生全てをかけて挑んだ40歳の青春“コーヒーの神様”粕谷哲さんがバリスタ世界一へ挑む
2024.12.16 07:00「自分だけが難しいことできるようにするのって簡単なんですよ。誰にも説明する必要ないし。でもこんなふうにやればめっちゃ簡単に、めっちゃおいしくなるよっていえるほうが、本当に難しいから挑戦しがいがあるよなっていう風に思いますよね」そう語る粕谷さん。粕谷さんがコーヒーを飲むきっかけになったのは、自身が28歳の時に1型糖尿病をわずらったことがきっかけ。「コーヒーに出会ってこの道に来たし、コーヒーのおかげで今の自分があるって思ってるんですけどね。だから同じようにコーヒーを通じていい思いをする人が増えたほうがいい」。かつてコーヒーに出会ったことで、歩みだすことができた。今度は誰かの心を豊かにしたいという思いが、粕谷さんを奮い立たせる。
そして迎えた大会初日。会場は東京ビッグサイト(東京都江東区)では、来場者数7万人を越える日本最大のコーヒーイベント、SCAJが開催されており、ジャパンバリスタチャンピオンシップはこのイベント1番の目玉。大会のルールは、競技中の選手に与えられる15分の間に3種類のドリンクを4人分、計12杯作らなければならず、プレゼンしながら作るので時間配分が重要になってくるという。ライバルたちが競技を終える中、遂に我らがゴッド、粕谷さんの出番が…。
タンピング(金属ホルダーにセットしたコーヒー粉を水平に固めるよう圧力をかける作業)で少しガタつきを見せた粕谷さん。しかし抽出ではエスプレッソ40gを抽出予定の中40.4グラムという完璧な抽出。そして味の宣言をしてエスプレッソは終了。続くミルクビバレッジでは、30パーセントに濃縮したラクトースフリーミルクを使用。少しコントラストがにじんだように思えた。そして最後となるシグニチャードリンクでは、実際に材料となる製品をパッケージごと置いて紹介。どれも簡単に手に入るものということから、みんなに真似して作ってほしいという思いを強く感じる粕谷さんらしいプレゼンとなる。
そして締めには「私だけでなく、この大会に参加するバリスタ一人ひとりのコーヒーにかける強い思いが新たな技術や発見を生み出すきっかけとなり、たとえ勝てなくてもそれが業界の未来を明るく照らすことにつながるのだと私は心から強く信じています。この10年間大会に関わり続けてこれたことを私は幸せにそして誇りに思います」とプレゼンをまとめ、タイムは14分47秒。しっかり15分以内に収め、コーヒー業界に関わる人全てに響くスピーチで競技を終える。
いよいよ明日の決勝に進む6人の名前が発表されるが…、残念ながら粕谷さんは決勝に進むことはできなかった。競技を終えた粕谷さんは「もちろん決勝行けなかったのは悔しいですけど、楽しかったな…この10年間」と、大会に出場した10年間を振り返る。
粕谷さんの弟子で、同じく大会に出場していた小野光バリスタは、粕谷さんの競技での締めの言葉を思い出して思わず涙。「勝ち負けだけじゃないっていうのが刺さります…。最後の最後でいろいろ…思い出しちゃって…。僕の人生変えてくれたのが粕谷さんだったので、本当に…ありがとうございました」と泣きじゃくる小野さんの肩に手を置く粕谷さん。すると小野さんは「最後って切ないなって…。来年もう1回くらい出てほしい…!」というと、粕谷さんもスタッフも笑いに包まれた。
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