加藤シゲアキ 「読者の“なんで?”に全部答えられなきゃいけない」小説家としての意気込みを語る
2024.12.9 07:00さらに、バワの最高傑作と言われるホテル『ヘリタンスカンダラマ』へ。1994年に建設されたこのホテルは、全長1km。経年変化を計算して設計されており、その大部分が今や周囲の森に飲まれ、外壁には植物が生い茂り、ホテル内部にも緑が侵食している。
窓のない廊下を歩きながら「スゴいよね、ジャングル。森の中だね」という加藤。自然と人工物、人と動植物。境界線を取り払った敷地内には森の住民たちの姿もあり、「サルだらけですよ」と加藤は楽し気な表情を浮かべる。幻想的なホテルの中で、加藤はこの建物が積み重ねてきた“時間”に思いをはせた。
「時間が経つことで完成するっていいなと思ってて、時間だけはこう、コントロールできないじゃないですか。誰しにも平等で、だから時間が1番価値があるものだなって思ったりするんですけど、早められないじゃないですか。たとえばワインとかも、何年物とか言われてもそれを短くすることはできないじゃないですか。再現することはできても、本当の時間にはならないから、その価値がスゴい高いわけですよね」と語った。
バワの思惑通り、今ではすっかり森におおわれ、日々刻々と、様相を変え続けているホテル。その有様を見ながら、自身の書く小説についても、「小説とかも僕の中では完成かもしれないけど、読んでもらって読者に届いて完成するっていうのもきっとあるし。終わりってないじゃないですか。常に読まれるづけることがある種完成だし。なんかそういうのも通じてんのかなあ」とコメントした。
また、手掛けた建築だけでなく、バワ自身とも、加藤は共通する点を感じているという。建築家としてのキャリアは38歳からで、それまでは弁護士として働いていたバワ。来年で38歳になる加藤は、「タレントとかアイドルって考えたら結構もう中堅。作家としてはまだまだ若い方ですし、だからその、ジェフリー・バワが建築を始める年齢が来年ですよ。僕にとっては。だからまだまだやれる」と意気込んだ。
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