明石家さんま 芸人がアイドルのただの引き立て役だった時代 「お前はスターになる男だろ」と背中を押してくれた人物とは
2024.12.5 11:20そんな中、芸人の地位を上げるためにがむしゃらに頑張ったさんまだが、クイズ番組でアイドルを差し置いて正解を連発すると、視聴者からクレームが入ったといい、スタッフからは「視聴者にとっては、“芸人=バカ”なの。それを大人しく演じとけばいいんだよ」と叱咤(しった)。番組収録中は、カメラは皆アイドルを撮っているため、芸人は別撮りされることも多々あったという。当時を回想し、“悔しかったし、虚しかった”と表情を曇らせたさんま。
さらにこの時期、もう1つ頭を悩ませることがあった。本業がまだ落語家だったさんまは、落語の仕事を振られると、「落語の仕事はもう、自信がなくて」とポツリ。そんなさんまの様子に気づいた笑福亭松之助師匠(松之助役:岩松了)が、さんまを自宅に招き、たわいもない会話を交わしていると、松之助師匠が突然「さんま、テレビは楽しいか?」と質問。さんまが「はい」と即答すると、「そうか、そうだろうな。お前、随分とテレビで見るようになったからな。でもな、もっと勉強しなきゃいかん、テレビの。まだまだ足りないんじゃないのか」と返した松之助師匠は、「だからな、お前、落語家やめろ」ときっぱり。
そして、「今はテレビの時代だ。テレビの勉強しろ」と背中を押すと、「でも師匠いいんですか?」と驚きの声を上げたさんまに対し、松之助師匠は「お前もその方がいいだろう」とさんまの胸の内を察していた様子。1拍置いて松之助師匠が、「あの言葉知ってるか?」と背後に置かれた木板の文字を指すと、さんまが「日々新風に吹かれつつ」と読み上げ、その真意について松之助師匠は「時代は変わる。日々新しい風が吹く。その新しい風にうまく吹かれなきゃいかん」と説明。
無言で木板を見つめるさんまに、松之助師匠は「気に入ったか?」と質問。そしてさんまの「はい」という返事を受けて、「じゃああの言葉、お前にやる。お前はスターになる男だ」と声を上げた松之助師匠は、さんまと見つめ合い満面の笑み。その3日後、正式に落語家をやめたさんまは、“もう俺にはテレビしかない。テレビの世界に新しい風を吹かせる”と当時の心境を吐露。