2万人以上と食事した“人脈活動”の達人・古河久人　「内向型」が50歳から最高の人間関係を築き上げた“幹事力”とは

――食事会の中でこんな立ち回りをしてほしいと思うような行動はありますか？

私はできるだけ会に参加してる方の紹介は、その方がやっていることをちゃんと伝えるようにしています。それについて学んだのは（漫画家の）弘兼憲史さんがきっかけです。僕は弘兼さんの食事会に呼ばれたとき、誰とも話ができずにポツンとしていたんですよ。そしたら弘兼さんが僕のおかげで、『獺祭（だっさい） 島耕作』ができたという話と、予約が取れない店に誘ってくれるという2つの紹介してくれました。すると、ずっと静かにポツンとしてた人間が、突然会の中で1番の人気者になったということがあります。なので、メンバー同士の紹介の仕方がうまい人や、一緒になって盛り上げてくれる人がいると本当にうれしいですね。

――人脈を通じて知り合えて良かったなという方を教えてください。

（漫画家の）わたせせいぞうさんは、私が会社で上役と対立して、もう辞めようかと思ったときに、わたせさんが描かれていたショートコミックスで、僕を出してくれて、その漫画の中で「上司もちゃんと見てるから、しっかり仕事に励めば、成功するよ」ということが描いてありました。そのおかげで私は会社を辞めずに、役員にもなれたので、非常にありがたくて、印象に残るつながりです。

その他、俳優さんや演奏家の方っていうのは、集中力の凄まじさはすごいなと思います。好奇心も旺盛で、1秒で切り替えるというか、スッと入っていけるというのは、中々自分にはないところなので、すごいなと思いました。

――幹事をすることが少なくなっている若い世代の方が、人脈を作るうえで、1歩踏み出せる何か取っかかりになるようなことがあれば教えてください。

これから人脈作りを始めていきたい方に申し上げたいのは、仲の良い方3人でもいいので、食事をしながら、どんなことが好きなのか、どんな人とつながりたいかを話すことは大事だと思います。そこで3人がそれぞれ誰か1人の方を連れてくるだけでも、付き合いが倍になります。幹事をやってると、その楽しさを皆さんにも分かっていただけると思います。食事は皆さんするので、せっかく人と食事をするんだったら、ちょっと工夫するだけでもっと楽しい食事会になるはずです。

――直接会ってコミュニケーションをとることと、SNSを通じてのつながり、その2つのバランスをうまく保つ方法を教えてください。

SNSはすごく便利で、（自分の中で）考えてから連絡ができて、情報提供もできるという意味でメリットがたくさんあります。その一方で気をつけないといけないと思うのは、自分が送った意味とは、違う意味に捉えられてしまい、相手を傷つけてしまう可能性があるということです。面と向かって話していると相手の表情も分かるし、話すことで補っていける部分もあるので、非常に難しいところです。そういう意味ではリアルとSNSを適度にミックスすることは重要だなと思います。

――この本は恋愛の駆け引きにも使えるかなと思ったんですが、いかがですか？

対人関係ですから、どういう風に親しくなっていくかは付随するものがあるのかもしれないですね（笑）相手の情報をできるだけ収集して、何が好きとか、お互い共通項があると距離が縮まって、運命的出会いと思っちゃう可能性もあるかもしれないですからね。食事術から、恋愛術に2作目は変えましょうか（笑）

――全国の色々なお店を知る古河さんが、ここの食事はおいしいと思う都道府県はどこですか？

富山ですかね。僕は本当に富山が大好きで、地元の人は「こんなのたくさんあって食べないよ」というものが安くておいしいです。

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〈古河久人PROFILE〉
KIZUNA PRODUCER。連日開催する食事会・勉強会を通じて「人と人をつなげて」出会いを演出する「スーパーコネクター」。1959年生まれ。広島県出身。東京大学経済学部卒業。1981年住友生命保険相互会社に入社、主に管理部門に従事、執行役常務を経て2021年退社。

40代から“人と人をつなぐこと”の楽しさを知り、人脈活動（人活）を開始。自他ともに認める“内向型人間”にもかかわらず、“食”を介することで政財界、学界、文化界、芸能界、スポーツ界と「各界につながっていない人はいない」といわれるほどの人脈を築く。一緒に食事をした人の数は25年間で累計2万人。年間800人と会食を行い、月平均5~10回開催する食事会はいつも数日で満席に。本書が初めての著作となる。

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