長野県伊那市で奇跡の復活を果たした幻の品種『入野谷在来そば』 確率2%にかけた名人の執念と風味を守るためのこだわり
2024.11.2 19:00一方で、その粒の小ささから、かつては絶滅の危機にひんしたという入野谷在来。戦争によって食糧不足になった際に、大粒で収量の多いものが優先的に育てられるようになり、戦後数十年にわたって日の目を見ることはなかったそうだ。そんな『入野谷在来そば』の存在を知り、絶滅に待ったをかけたのが、ほかでもない名人の山根さん。復活への挑戦がスタートした。
調査の結果、県内の農業試験場に900粒だけ種が保管されていることを突き止めた名人。奇跡的に譲り受けた300粒の種について、試験場の職員は“こんな古い種、芽が出ないかも”と、発芽に懐疑的だったという。それでも300粒のうち、6粒に芽が出たことで『入野谷在来』は奇跡の復活を果たし、6年で出荷にこぎつけたという。
現在では年間で4トンもの収穫量を誇る『入野谷在来』だが、今でも育てる場所には細心の注意が払われているそうで、近くで他の品種が育てられ味が混ざってしまうことがないよう、山奥の畑で栽培が続けられている。機械を使わない製法に、宮川は「そりゃもう大変ですね」とコメント。途方もない苦労の結実こそが、極上食材『入野谷在来そば』になるのだった。
写真提供:(C)日テレ
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