山で遭難した家族を救助せよ! 遭難場所を特定した決め手は、最新の映像通報システム

2024.11.1 09:15

田中の指示で父親の呼吸の有無を確認しようとした母親。すると呼吸をしている様子がなかったため、母親はパニックに。すぐさま田中は声をかけて落ち着かせ、「心臓マッサージをしましょう」「あなたが今、やるかやらないか、それが旦那さんの命に関わるんです」と諭し、電話越しに心臓マッサージを指示した。

一方、小島は、健太くんから滑落するまでの状況を聞き出していた。午前9時に出発したこの家族は頂上に登ってお弁当を食べた後、帰り道に迷っていた時に足を滑らせてしまったようだった。さらに滑落場所を絞り込むため「近くになにか目印はないかな?」と問いかける小島。しかし周りは木が生えているだけで手がかりになるようなものは何一つなかった。だが健太くんは「う〜ん、チッチって…聞こえる?」と、周囲で聞こえた鳥の声に向けてスマホをかざした。これに田中が「…キセキレイだ!」と反応。川の上流に多く生息するキセキレイという鳥の鳴き声だと察知した田中は「突破山の川からそう遠くない場所に要救助者がいる可能性が高い。川沿いを重点的に捜索してください!」とヘリに指示を送った。

ちょうどそのとき、母親の心臓マッサージの甲斐(かい)あって父親は息を吹き返していた。田中は安静にさせるよう指示を出しつつ、後ろから聞こえていた風の音が気になっていた。レーダーも確認すると、どうやら雨雲が接近中のようだ。日没も近づき、救助までのタイムリミットが迫っていた。

田中は周囲を飛んでいるヘリの音が聞こえないか母親に問いかける。しかし母親の様子がおかしい。健太くんもそれに気づき「お母さん!」と駆け寄り「お、お母さんが震えてる…」と状況を伝えてくれた。心臓マッサージで大量に汗をかいたところに、雨雲の接近などで気温が急に低下し、低体温症を発症していたのだ。ついに涙ぐみ始めてしまった健太くんに田中が「健太くん、大丈夫。一緒にお父さんとお母さんを助けよう。今、お母さんの体を温められる物はない?」と、電話越しに優しく声をかけた。この呼びかけに勇気を得たのか、健太くんはリュックサックの中身を懸命に探し、レジャーシートが入っていたことを思い出した。「レジャーシート!すごいぞ健太くん!」と田中がほめるほどのファインプレイ。レジャーシートで母親の体をくるみ、どうにか持ちこたえることはできそうだ。

だが、依然として捜索隊は健太くんたちを発見できていなかった。地上で探す山岳救助隊も、ヘリで探す部隊も、川の上流付近ということ以外、手がかりすらつかめていない状況。日没までも5分を切り、家族の体力も限界に近付いている。この状況を打破する方法を田中は必死に考え、1つの方法を思いついた。

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