カズレーザー 進むカスタマー・ハラスメント対策…一方で客側が意見を言いづらい世の中に?カスハラの境界線とは

2024.10.30 11:40
専門家の写真
(左)中央大学 法学部長 遠藤研一郎
(右)文京湯島法律事務所 代表弁護士 小野章子

続いて遠藤氏は、カスハラに関連した裁判例を紹介。とあるスーパーでの事例では、棚の整理をしていた女性店員の音が気になると、1人の客がクレームを入れたという。これに対して責任者が対応していると、客はタブレットを取り出して、そのやり取りの撮影を始めた。店では店内の撮影が禁止されていたことから、責任者は何度か警告をしたものの、客が撮影をやめることはなかったとのこと。その際、店側の責任者が「営業妨害だ」、さらに「あなたは嘲笑の的になっている」などの発言をしたため、客側が一連の対応や発言で精神的な苦痛を受けたと店側を提訴。慰謝料を請求した。

ゲストの土屋太鳳が「動画を撮り始めるとかそういうのは、ちょっと良くないのかなというふうに感じます」とコメントすると、錦鯉・長谷川雅紀も「お客さんがやっぱ悪いですよね。だって撮影禁止って言ってんのに勝手に撮影したわけですから」と、全体として店側を擁護する声が多かったものの、遠藤氏は「お店に対して慰謝料5万円の支払いが命じられました」と、この裁判例の結果を伝えた。

錦鯉の写真
お笑いコンビ・錦鯉 (左から)長谷川雅紀、渡辺隆

モンスター客に反撃したことで慰謝料の支払いが命じられたということで、驚きを隠せない一同。遠藤氏によれば、「どれくらい店員が強い口調で注意をしていいのか」がポイントとなったという。問題になったのは、店側の「嘲笑の的だ」という発言。「営業妨害」という発言に関しては、店舗の正常な運営を守るためのものであるから、違法ではなかったとした上で、そこからさらに踏み込んで発した言葉は、社会通念上の許容される範囲というのを超えていると判断されたのだという。

しかし、この結果は必ずしも客側の勝訴といえるかは、注意が必要だという遠藤氏。というのも、客側はもともと、165万円という高額の損害賠償と、店舗内での謝罪広告文の掲載を求めていたという。そこから最終的に5万円の損害賠償に留まったことから、慰謝料が支払われたとはいえ、慎重に結果を吟味する必要性があると注意した。

カズレーザーはこの裁判例を受け、「明らかにカスハラのお客さんがこういうことを言って、店側が毅然(きぜん)とした対応を取ったとして、その客が例えばマイノリティーに属するような要素を持ってたら、それに対する差別だとか、拡大したことをアピールするような世の中じゃないですか、今。だからなかなか行動に出づらいんだろうなとは思うんですよね」とコメント。また商品やサービスとは全く無関係のところで、不当に店や企業が批判される場合もあるとして、「そこもちゃんと法律で、条例なりなんなりで、守ってほしいなと思います」と、将来的な希望を語った。

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写真提供:(C)日テレ

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