カズレーザー 一人称「俺」でセクハラ判定? 複雑なハラスメント時代を生き抜く、“加害者にならない”ための境界線とは

2024.10.30 11:15
カズレーザーの写真

カズレーザーがMCを務める『カズレーザーと学ぶ。』が29日に放送された。好評だった以前の放送回を受け、再び令和のハラスメント問題を特集した今回。講師として引き続き登場した、中央大学法学部長・遠藤研一郎氏と弁護士・小野章子氏は、実際の例を挙げつつ、職場でのハラスメント、そして加害者にならないための境界線について解説した。

昨今、急速に対応が進む一方で、種類も増え続けているハラスメント。パワハラ、セクハラ以外にも、LINE等のチャットで送る文面に「。」をつけると威圧感を与えるというマルハラや、野球の大谷選手に関連し、「大谷選手見てないの?」「大谷選手を見習え」などの発言による、“大谷ハラスメント”なるものも存在するという。

しかし遠藤氏によれば、法律上で定められているハラスメントは、現状4つだけセクシュアル・ハラスメント、妊娠・出産のハラスメント、育児・介護休業に関するハラスメント、パワー・ハラスメントの4種だという。ただし、それらのタイプに当てはまらなくとも、度が過ぎれば違法とされることもあると小野氏はいう。複雑なハラスメント事情を解明すべく、さまざまな職場での事例が紹介された。

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(左)中央大学 法学部長 遠藤研一郎
(右)文京湯島法律事務所 代表弁護士 小野章子

小野氏が紹介したのは、職場の男性上司を、女性社員が訴えた事例。連日上司が自分の方を向いて顔を凝視してきた、話しかける際には椅子を至近距離まで移動させて近づいてきた、また女性を指導している際の言動で、「俺じゃダメかな」「俺の前ではそういうことを言ってもいいけど」など、男性としての優越性や親密さを匂わせるような発言をした、などの点を、セクハラとして訴えを起こした。

しかし、裁判所は「セクハラには当たらない」と判断し、訴えは棄却された。女性を見つめるなどの行為は証拠上、そもそも事実を認めることができないとされ、セクハラ認定には至らなかった。小野氏によれば、ハラスメントに関する裁判では証拠が大事だという。ハラスメントに当たるような行為があった場合、直後に人に相談をするなど、相談記録を残しておくと、証拠になることがあると解説した。

また今回のケースでは、上司側の発言も問題となっていた。小野氏によれば、ハラスメントに認定されるかは、文脈によるという。この件の場合、男性上司は、「俺じゃダメかな」という言葉を自分が指導者としてダメかなという文脈で、「俺の前ではそういうことを言ってもいいけど」という言葉は、会社に対してグレーな物言いをする女性に対し、職場外でそのような発言をしないようにとたしなめる文脈として使っており、問題ないとされた。

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文京湯島法律事務所 代表弁護士 小野章子
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