奥平大兼、不安だった役作りを明かす「鳥肌が止まらなかったです」 映画『Cloud クラウド』トークイベントに登壇
2024.10.22 18:25⿊沢監督から「菅⽥将暉を超えてください」と“指⽰”されたというシーンについても⾔及。佐野が菅⽥演じる吉井のパソコンを勝⼿に触ったことが露⾒するというシーンで、⻑回しで撮影されたが、奥平は「前⽇に⿊沢さんから『菅⽥将暉を超えてください』と…。芝居を始めてまだ4年⽬の⼈間が、世界の⿊沢清監督に⾔われる――あれは⼀⽣忘れないと思います…。ビビり散らかしていましたね(苦笑)」と述懐する。
⿊沢監督が、そのように⾔った理由について、奥平は「あの辺りから、佐野の存在がより謎になくなってくるんですよね。最初はただのバイトだったのに『なんだこいつ?』っていう感じが、際⽴っていくんです」と佐野の謎がどんどん深まっていく重要なシーンだったからではないかと考察する。
そして、海外の映画祭でもどっと笑いが起きていたという、吉井と佐野のやりとりで、佐野が「アシスタントですから」と回答するセリフについて「あの回答⾃体が、聞かれた質問の答えにはなってないんですよね(笑)。でも、佐野は真⾯⽬に⾔っているんです。そこに不気味さがあるし、『何考えてるんだ︖』というのが引き⽴てられるセリフだと思います」と語る。
そして、この⽇の観客に対し奥平は、本作を⾒て「怖さ」と「笑い」のどちらを強く感じたかを質問。客席は「怖い」と感じたという⼈が多数を占めつつ、「笑い」を感じたという観客も⼀定数⾒られた。奥平は「この結果がすごいなと思います。なんで全く違うこの要素で、こんなふうに⼆分化されるのか︖そこがこの映画の⾯⽩さでもあると思います」と⿊沢監督がつくりだした独特の奇妙な世界観、鑑賞後感に⾔及していた。
ちなみに、⿊沢監督は海外メディアからの取材に対し、佐野について「悪魔(メフィスト)のような存在だと思ってもらっていい」と⾔明している。奥平はそのことについて「(現場で⿊沢監督から)直接、そう⾔われたかは覚えてない」と語りつつも「でも、演出や台本、物語の進⾏を⾒ていて、悪魔的な⽴ち位置というか、吉井を、(地獄の)渦の中に連れこもうとしている節があるのは感じていました。でも(吉井の)味⽅でもあって……」と回答。
演じる上で“悪魔”ということを意識したかを尋ねられると「全くなかったです。もちろん、佐野がどう⾒られるかは⼤事なんですけど、正直なところそれどころじゃなかったです。佐野が何をしたいのか︖吉井をどのように導くのか――︖ 佐野としての⽬的しか考えてなかったですし、⿊沢監督の演出もあって、それが結果的に悪魔の象徴のような役になったのかなと思います」とふり返った。