〈最終回〉アニメ『ザ・ファブル』ヒナコから明へ…“最後のお願い”とは? SNS「切ない」「美しい幕引き」
2024.10.2 17:15◆ヒナコから明へ…『ひとつだけ、お願いがあります』
鈴木が姿を消したのを最後に、明を取り巻く環境はようやく日常を取り戻した。途中、宇津帆たちとやり合う際に使った白のレクサスを“自分の血がシートについてしまったから”という理由で引き取ったり、真黒組の若頭・海老原が大事にしていたハコスカをクロが間違えてスクラップにしてしまったりと色々あったが──…、オクトパスでは社長の田高田がある妙案を思いついていた。
「おまえら──、クリスマスは用事あるのか?」。帰りがけの明と岬に声をかける。実は最近、“この2人、ええ雰囲気やなぁ”と感じており、チャンスをうかがっていたのだ。そんなこととはつゆ知らず、予定を聞かれた明は「ジャッカルの録画まとめて見ようかと」、岬は「夜、バイトでも入れようかなとは…」と興味なさげ。
だが、「じゃあ今年はみんなでわーっとクリスマス会をやろう──。貝くん(貝沼)のことやらで事務所もなんか暗かったし、パァーッとな!」と提案されると、「じゃあ、ヨウコちゃんも誘おうよ!」と岬も乗り気に。どこか嬉(うれ)しそうに明と話す様子を見て、田高田はほくそ笑むのだった。
「(クリスマス会か…。佐藤はイマイチよく分からんが…ミサキは佐藤にまんざらでもないような──…。
この機会に2人をひっつけてやろう──。いいカップルになるぞォ〜)」
その夜、街の灯りが落ち着いて星空がよく見える頃──明は1枚の手紙にそっと火をつけた。宇津帆の戦いに決着がついた日、もう二度と会えないと感じた佐羽ヒナコからのものだった──。「『車イスのあの子から』って、鈴木さんから預かりまして──」と、クロが手渡してくれたのだ。『この手紙は燃やしてください』。彼女の手紙は、そんな書き出しだった──。
『この手紙は燃やしてください。
あの後、警察に行く前、鈴木に少し時間をもらいコレを書いています。
佐藤は4年前の事故で私を気にかけてくれたようですが──
私は感謝しています。心から──。
そもそも私自身過保護で育ち、反抗期のままに家出をしたのが始まりです──…。
世間知らずの身から出たサビなのです──。
誤解が誤解を生む生活の中で──佐藤を恨んだことがあったのも事実ですが、
すべてを知った今、私は佐藤に感謝の気持ちでいっぱいです──。
あの事故の日も、佐藤が来なければ私は16歳で売春婦として売られていました──。
思い出したくない事、たくさんありますが、それは自分の責任です。
ひとつだけお願いがあります。
半年もあれば、私は自力で歩いています。きっとそうなります。
祈るのではなくイメージ──血管の血の流れ、神経から筋肉へと──。
半年後──きっと夏頃ですね。歩いてる私を少しだけ想像してほしいのです。
佐藤の想像と私の現実が重なった時、またあなたに会えた気がする自分を楽しみに──…。
佐藤の記憶に少しでも残る私は──しっかりと立っている自分でありたいのです──。
さようなら。お元気で──。
──ヒナコ』
やがて七輪の中の火が消えた頃、明はひとり、空を見上げた──。