生田絵梨花「陸で溺れるって思ったのは初めて」1stEPリリースツアー「Erika Ikuta Tour 2024 『capriccioso』」完走 ライブレポート

2024.9.27 18:45
全国ツアーを行った生田絵梨花

生田絵梨花が9月20日、神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールにて『Erika Ikuta Tour 2024 「capriccioso」』ファイナル公演を開催。オフィシャルレポートが到着した。

毎年恒例となってきた全国ツアーも、今年は7月に埼玉・愛知・大阪、8月には宮城・東京と、今回のファイナルを含めて6都市7公演まで規模を拡大。延べ1万7千人を動員するまでとなった。また2022年夏に音楽活動を始動して以来、4月には約2年越しのデビュー作として『capriccioso』を発表。今回のライブテーマ、そしてタイトルにも冠した” capriccioso”の意味は、音楽用語で気ままに、気まぐれにーーそれは言い換えれば、自身のペースで音楽活動を続けていく、といったさりげない意志表示、あるいは願いなのかもしれない。

『capriccioso』を軸として、これまで以上に自身の色を表出しながらも、世界観はあえてがちがちに決めきらず。どこか緩く、遊びの部分を残していたあたりに、いかにも彼女らしさを感じたステージの模様を振り返っていこう。

幕開けは、EPのリード曲「Laundry」から。生田が自宅で洗濯機を回しているとき、ふと思いついた鼻歌から生まれたこの名曲。トリッキーなテンポの歌い出しや、藤井風リスペクトを感じるジャジーなサウンドで、独特かつ心地よいグルーブ感を構築していくと、序盤の〈あぁもう嫌んなっちゃうよ〉では客席の方を向いて、左目を大きくウインク。ここからの夜が最高なものになると約束する。そんな合図にも思えた。

すぐに日常を忘れさせることはないーー日常と地続きで、その香りを残しつつ、肩の力が抜けるサウンドを大切にしながら、最後には加速した水が洗濯機から排水溝へとぐんっと流れていくように。演奏終盤は一気に勢いを乗せて、生田の歌の世界に引き込まれる。

全国ツアーを行った生田絵梨花

続く「I’m gonna beat you!!」も、生田自身で作詞作曲を手がけた楽曲。こちらは音源の段階からすでに、生田の歌声が身を乗り出してくる、むしろライブに近い歌い方に痺れていたのだが、生の現場ではさらに動きの躍動感も追加。ピアノソロは、前ノリで首と肩を大きく揺らす。好きな相手を前にして、身体が気持ちに追いつかないかのように歌、ピアノ、バイブスと、やることたくさんな生田が大サビにて、よい意味で打鍵に詰まりかけていたあたり、楽曲に込めた想いを体現している気がした。最後はもう耐えられんと言わんばかりに、ピアノから豪快に腕を払ったのも解釈一致でしかない。

そこから、EP収録の藤井風「ガーデン」、森山直太朗「花」を続けて歌唱。「ガーデン」では、声のエッジを柔らかくくぐもらせ、湿度の高い雰囲気に。この楽曲は高揚感への導き方が素晴らしく、前半は白昼夢を見るかのような浮遊感に包まれていたのだが、大サビ前のブリッジからは、生田がピアノから手を離し、何層にもフェイクを重ねて、力のこもった歌い方を見せる。それとは対照的に「花」では終始、笑顔よりむしろ、時代を想う表情すら見せながら、今度は声の輪郭を明瞭に聴かせて、儚げなファルセットを挟む場面も。同じ花をモチーフとしながら、たった曲でこれほどのコントラストを際立たせられるとは。

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