『笑コラ』が追いかけていたBMX選手がパリ五輪で金メダル！五輪を目指した兄妹の壮絶すぎる戦い

1年後、魁選手のリハビリは順調に進み、BMXに乗ってゆっくりとではあるが、爽選手と一緒にコースを走れるまでに回復していた。そして爽選手もオーストラリア代表として東京五輪出場が決定。日本人である母の実家に泊まり込んで魁選手が応援する中、爽選手は準決勝まで順調に勝ち進んだ。

しかし1人が3回走る準決勝の3レース目で、爽選手は後続の選手と交錯してクラッシュ。脳しんとうを起こしタンカで運ばれることに。この時点で爽選手の東京五輪は終わってしまった。さらに脳しんとうの影響が残ったこともあり、爽選手は五輪以降のその年のレースをすべて欠場することになってしまった。

2022年、爽選手はワールドカップでの選手番号を自身の“88”から魁選手がつけていた“77”へと変更。それは魁選手の現役引退を意味していた。「魁がBMXできなくなって、（ここからは）魁も一緒の旅だ」という決意の表れだった。

しかし決意を持って臨んだオランダでのワールドカップ3戦目で爽選手は転倒。またも脳しんとうとの診断を受けてしまった。実は脳しんとうは、2回以上起こってしまうと致死率が50%に跳ね上がるという危険性がある。東京五輪での転倒から1年以上経っていたものの、この転倒のショックは大きく、爽選手はこの頃「BMXを辞めたい」と周囲に伝えていたという。