普通科のマンガ部員がマンガ学科の生徒と対決 ひたむきな姿勢に所ジョージも感心

2024.8.29 09:45

◆プロの漫画家のアドバイスに…

5月下旬、坂田さんは月例賞の『オリジナルネーム部門』に提出するための準備を始めていた。ネームとはマンガの設計図にあたるもの。ストーリーやコマ割り、絵の配置などを決めるものになるため、ネーム作りはとても重要な作業と言える。39ページの作品を作ろうとしている坂田さんだったが、現状できているのは18ページ程度。「魔術師同士の戦争のお話に一般人が巻き込まれる」という、小学校の頃から温めていたアイデアだという。

坂田さんはアドバイスを受けるため、描きかけのネームを持って山口先生の元へ。彼のネームに目を通した山口先生は、登場人物“ツクヨミ”の名前に注目。“ツクヨミ”とは日本神話に登場する天照大神(アマテラス)や須佐之男命(スサノオ)のきょうだいにあたる神・月読命(ツクヨミ)をヒントに坂田さんがキャラクターにつけていた名前だったのだが、特に神話と絡める予定はなかったという。

山口先生は「魔術の世界に日本神話を絡めてくるのかな」「魔術と月は関わりが強いから、魔術を使うにあたっての“ムーンパワー”みたいなものを多分考えているのかな」など、次々とアイデアを膨らませていた。さらに先生は、コマ割りや構図の作り方についても指摘。マンガ学科の授業で使ったプリントなども見せつつ、丁寧にアドバイスを送っていた。

6月上旬、コマ割りに頭を悩ませている坂田さんの横で、最終ページを仕上げていたのがマンガ学科の1年生・河津さん。彼は以前、通常1人1作品提出する校内コンペに2作品提出したという猛者で、ノートには様々な作品の構想がびっしりとメモされているという、まさに“アイデアの泉”。彼も月例賞では坂田さんと同じネーム部門に提出予定だ。

さらにネーム部門にはもう1人、中学時代に漫画コンクールで入賞経験のあるトップクラスの画力を持つ1年生・桜井さんも参加を予定していた。そんななか、全てのページを先生からのアドバイスを受けて描き直していた坂田さん。一通り仕上がったものを自信をもって山口先生に見せに行くと、構図やコマ割りなどでさらなる修正案を出されていた。このアドバイスに従うと全ページ描き直すことにもなりかねない。考えこむ坂田さんに「これからもし、こうやってマンガを描いていく、人に読んでもらおうというときには、自分の描きたいことが、それがちゃんと伝わっているかどうかというのも気にしながら描いていかないといけない」「自分で直した方がいいなと思ったら、そこは手間がかかっても直した方がいいと思うし、今はそれができるとき」「“これで最高だ!”というのではないと思う」と、厳しくも愛のあるメッセージを送った山口先生。

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