中村倫也「主演だけど主演じゃない」 自身初の医者役!ドラマ『Shrink(シュリンク)』の“真ん中”にあるものとは

2024.8.8 12:00
NHK土曜ドラマ『Shrink』の主演で出演する中村倫也

中村倫也主演の土曜ドラマ『Shrink(シュリンク)―精神科医ヨワイ―』の記者発表会見が7日(水)、NHK放送センターにて行われた。本作で初の医者役に挑んだ中村は、共演の土屋太鳳、演出の中江和仁と共に登壇。10冊の“分厚い本”を手に挑んだという精神科医の役作りについて明かしながらも、自身のことを「主演ではない」と明言。原作漫画を読んで感じたという、“作品の真ん中にあるもの”を語った。

グランドジャンプ(集英社)にて連載中の同名漫画を原作とする本作は、のんびり屋だが優秀な精神科医・弱井幸之助(よわい こうのすけ / 中村倫也)と、一言多いけど思いやりに溢れた看護師・雨宮有里(あまみや ゆり / 土屋太鳳)が働く「新宿ひだまりクリニック」を主な舞台として展開。8月31日(土)より全3回にわたって放送される。

作品のメインビジュアルには『ここに来る理由なんて、「そんなこと」でいいんです。』というコピーが添えられており、“すべての人が気楽に精神科にかかれる日が来ますように…”との思いが込められたヒューマンドラマになっている。

NHK土曜ドラマ『Shrink』に出演する中村倫也と土屋太鳳
キービジュアル

◆中村「今、作る意義のあるドラマ」

会見の冒頭、あいさつを求められた中村は「自分、いつからか毎朝起きたらニュースをチェックするのが日課になってるんですが」と前置き。“本作を作ることには意義があった”と、作品に対する思いを次のように述べた。

「やっぱり連日、悲しいニュースも多いじゃないですか。なんとも言えない気持ちになることが多くて…。その中で今作は精神医療というものを題材にして、すごく今、この世の中に生み出される、作る意義のあるドラマだなと実感しております」

隣で聞いていた土屋も、「この作品は、見つめるべき大切なことに向き合う作品。見てくださる方々の心の根っこを温かくできる作品」と続く。

NHK土曜ドラマ『Shrink』に出演する中村倫也と土屋太鳳
(左から)中村倫也、土屋太鳳

また、演出を務めた中江は「僕の本当にすごく近しい友人が何年か前に精神の病にかかり…」と、本作を手がけた背景を吐露。「それこそセリフでも出てくるんですが、“あのとき知っていれば助けられたんじゃないか”とか、そういうことをずっと思っていまして。その思いが、これを作るということに決めた一番の理由です」と、静かに胸中を語りつつも、「(中村たち)2人が非常に温かい雰囲気を作ってくれたので、幅広い人に見ていただける作品になったと思います。だから、そういう苦しむ人たちに、苦しむ人がいる周りの人たちに見ていただきたいなと思っております」と、作品に込められた思いを語った。

NHK土曜ドラマ『Shrink』の演出を手掛けた中江和仁
本作の演出を担当した中江和仁(「きのう何食べた?」「大豆田とわ子と三人の元夫」ほか)

◆物語の主役は、“病と人”

中村は、完成したドラマを見た感想として「なんかね、変な言い方になるかもしれないですが、主演だけど主演じゃないドラマなんですよ」と笑顔。本作では“病”と、それに向き合う“人”が中心に描かれており、自身が原作を読んだときに大事だと感じたものがドラマでもしっかりと表現されているという。

「自分がこの企画をいただいて原作読んだときに思ったのは、やっぱりこの作品を多くの人に知ってもらいたいし、そういう上で実写化、間口を広げるのはいいことなんじゃないかと。(第1話を)見て、『あっ、病っていうものが真ん中にきてるな』っていうのは、ある種 新鮮でしたし、そこをフォーカスして欲しかったんで嬉(うれ)しかったんですよ。だから、不思議な気持ちです。名前は一番上ですけど(笑)」

NHK土曜ドラマ『Shrink』に出演する中村倫也と土屋太鳳
場を和ます中村の発言に会場からはしばしば笑いも

中村演じる弱井については、土屋も「倫也さん演じる弱井先生がリアルタイムで温かく、凛(りん)としたまなざしで包んでくれたので、“あっ、これはたくさんの心を温かくするんではないかな”と思いました」とコメント。また、撮影現場の中村自身について「とても現場の空気と作品の空気を、ふわ〜んと重ねて、溶け込んでいくように役に入っていくような方だなと思いました。患者さんのお芝居、その空気を壊さないように、その場に座って、シーチキンのおにぎりを食べてました(笑)」と、役柄に通じるような柔和な一面を明かしてくれた。

NHK土曜ドラマ『Shrink』に出演する中村倫也と夏帆
“パニック症”のシングルマザー・雪村葵(夏帆)と出会うシーン
自分に何が起きているのかも分からず混乱する葵を弱井が優しく落ち着かせる(第1話より)

◆中村「簡単に言っちゃダメ」 “10冊の分厚い本”で感じた責任の重さ

中村が演じる弱井幸之助は、のほほんとした柔らかい外見とアホ毛が特徴の精神科医。一見ふわふわとしたキャラクターに思えるが、実はハーバードの医科大学院に留学したエリート。突然医局を辞め、きめ細やかな治療を行う開業医となった異色の経歴を持つ。

実は、台本以外ではあまり活字を読まないという中村。しかし、本作では事前に10冊ほどの“分厚い本”を読んで勉強したそうで、「精神科医という役で、いろんなことが関連するので、知識を学んだり、リアリティーを言葉に乗せられるようにするためにいろんな勉強をしたんですけど、もうキリがなくて。『これ、(作中で登場する症例)3つに絞らないととても間に合わない』と思って、途中から3つに絞ったんです」と、役作りの苦労を告白。改めて精神科医という仕事の難しさ、大変さ、責任の重大さを感じたという。

NHK土曜ドラマ『Shrink』の主演で出演する中村倫也

本作まで医者役を演じたことがなかった中村は、これまで“どんな役がやってみたいか”と尋ねられた際に「やったことがないので医者ですかね」と答えていたそうだが、「もう簡単に言っちゃダメだなって、ほんとに!責任重大です」と気を引き締める。

一方の土屋も、演じる雨宮のキャラクター性が原作と少し違うことに触れつつも「雨宮の果たす役割や立ち位置は変わらない」と芯を持ってコメント。「テレビ越しに“なんで?”って言っても弱井先生には伝わらないけど、雨宮が“なんで?”って言うと先生は答えてくれるので、見てくださる方々と作品の架け橋になるつもりで臨ませていただきました」と、自身のやるべきことを見据えて撮影に挑んだことを明かした。

NHK土曜ドラマ『Shrink』に出演する土屋太鳳

土曜ドラマ『Shrink―精神科医ヨワイ』
【放送】2024年8月31日(土)スタート〈全3回〉
    毎週土曜よる10時~10時49分(総合)
    毎週土曜午前9時25分~10時14分(BSプレミアム4K)

【出演】中村倫也 / 土屋太鳳 / 井桁弘恵 / 三浦貴大 / 竹財輝之助 / 酒井若菜
    夏帆(第1第話ゲスト) / 余貴美子 ほか

【原作】『Shrink~精神科医ヨワイ~』原作/七海仁漫画/月子

写真:©︎entax / NHK

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