天才ギタリスト・MIYAVI 難民キャンプの子どもたちから感じたWow!「音楽のパワーは絶対に変わっていない」

2024.7.10 17:00
世界的ギタリストMIYAVI

“未来の日本を作り出す変革者=PLAYERS”と経済学者の成田悠輔による予測不能なトーク番組『夜明け前のPLAYERS』。この日PLAYERSとして招かれたのは“サムライギタリスト”の異名を持つミュージシャン、MIYAVI。現在までに世界約30カ国で計380公演以上のライブを行う。難民支援活動にも力を入れるMIYAVIと成田は同世代。異色な2人が私生活から音楽の未来まで思いの丈をぶっちゃけると、SNS上では「対極にいる2人のようだけど、それ故(ゆえ)か熱い」「この2人、相反する職業で実はソウルメイト?」と驚きの声が上がった。

MIYAVIの朝の習慣は、税関で止められがちな“アレ”

「生活感ないっすよね」。緊張していると言いつつ成田の第一声は超タメ口だった。受けてMIYAVIも「そうっすか」。普段の生活は「普通っすよ。朝、キッズを起こして、トレーニングして、日本語教えて」と3人の子どもを持つ育メンの素顔で、関西弁交じりのトークが始まった。

ライブや難民支援活動(※)で世界中を旅することが多いMIYAVIの朝は、時差ボケでぐるぐるしていることも多いそうだ。とはいえ、体が寝たい時でもベストなパフォーマンスを発揮できるよう何事もルーティンにしたいタイプ。宿泊先のホテルでクレームされることがあっても、朝のお供え物とお祈りを行うメディテーションと発声練習は欠かさないと言う。
※2017年、日本人初のUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)親善大使に就任。

それからオリジナルスムージー。国や地域によって違う朝食を、きな粉やマカ、ヘンプパウダーなどで作るスムージーと置き換える。旅先にも材料を持っていくため、「(税関で)よく止められるんです。なんの粉や?って(笑)。ヘルシーな粉だから大丈夫なんですけどね」と笑った。

音楽は「たくさんの人が同時につながる魔法」

そんなMIYAVIに成田はのっけから「MIYAVIさんにとって、音楽って何ですか」と斬り込んだ。迷うことなくMIYAVIは「祈りです」と答える。コロナ禍に実施した京都・清水寺でのバーチャルライブや、昨年の京都・東寺での“MBS『音舞台』2023”参加などの経験から「歌っている時は、祈っている時に近い脳波が出ているんじゃないかなって思うんです」と話す。

「言葉だけでは伝わらないものでも音に乗せてだったら伝わるというのは、(音楽は)般若心経など(読経)に近いのかな」と分析。「音の周波数には、自分たちのチャクラとかを開けてくれる要素があると信じている」とMIYAVI。間髪を入れず成田も「しかも、たくさんの人が同時につながるじゃないですか。それって魔法だなと(思う)」と共感を示した。

経済学者の成田悠輔

「(音楽には)そこにいる何千何万の人が一つの生命体になるような感覚がある」と成田。MIYAVIはこの“つながる”現象をテクノロジーの発展と合わせて解説。「音楽自体がスーパーパワーだけれど、(テクノロジーで)それをもっと大きくできる可能性を強く感じている」と言いつつ、だからこそ「音楽家として(テクノロジーに対して)正しい使い方をしたいと思っています」と語った。

一方で、何度も行ったバーチャルライブを通じて「まだテクノロジーが(ライブに)追い付いていない」とも感じるようだ。「匂いとか、温度とか。ライブの会場に誰と行ったかとか、その後どこに行ったかとか、何を会話したかとか、“そこ”だと思う」とMIYAVI。成田も「息とか汗とかすごく大事ですよね」と意気投合した。

ホワイトなロックと、ロックミュージシャンよりロックな成田

バーチャルリアリティーで坂本龍一を復活させた複合現実コンサート『鏡:KAGAMI』を観に行ったと言う成田が、テクノロジーによる新しいライブの可能性を語ると、MIYAVIも自身の配信体験から「ステージと客席という垣根がどんどん無くなってきている」と追随。意識上でのステージが低くなり「お客さんが手を伸ばせて初めて共感できる時代」とその様子を身振りで示すと、成田も「(アーティストは)見上げる偶像というより、隣に座っている友だちみたいな感覚にどんどん近づいていきますよね」と呼応した。

それによって起こるのが、コンテンツの価値変化だとMIYAVIは言う。「(音楽を含めたコンテンツ全体が)格好いいものや完璧なものじゃなくなってきている。くだらなくても、面白かったり共感を得たりするようなもののほうが再生数が多いですよね」。そういう意味で音楽を手にした人間の戦い方も変わってきていると指摘。「僕たちのバンド時代、ライバルは隣町のバンドだった。それが今や、ライバルはゲームだったり、ITだったりするんです」。

その背景には「新しいものは生まれにくく、残りにくくなる時代だと感じる」危惧があるようだ。先人が生み出した旋律は著作権の問題もあり二度と使えないという現実を上げ、「一個の文化が生まれた時、初めはシンプルでも次は違うアプローチをしなくてはいけないから、どんどん複雑になってくる。そのために “新しいもの”という定義がどんどん変わっていく気がする」と言う。

それがゆえにMIYAVIは「60年代から80年代に、ミュージシャンとして生きていたかったなとすっげえ思う」と物憂げに話した。「音楽が売れた時代だということもあるけれど、それ以上に音楽という市場が未開拓の地だったことに魅力を感じる」のだとか。「人間感というか、“けだもの”感というか、“動物”感があった。それを感じてみたかった」と言うMIYAVI。「今の時代、ロックアーティストが(音楽以外で)ロックしているかっていうと、あまりしていないですよね。(成田さんのほうが)自分よりロックだなと思いますよ。だって俺、そんなに炎上しないもん」と笑いを誘った。

実は別の人物にも「日本で今、ロックミュージシャンと呼べるのは成田だ」と言われた経験があると言う成田は、「面白い変化が起きましたよね。とてもはっちゃけていて、何でもありの代表だった人たちが、気づいたら普通の人よりも清廉潔白ですごくまじめで、しっかりした感じになっている」とホワイト化するミュージシャンを改めて認識し驚きを見せた。

「でも、音楽自体のパワーは絶対変わっていないと思うんです。音楽を聴いて“Wow!”って思うこのパワーは絶対変わっていない」とMIYAVIは語気を強める。「難民キャンプに行って、難民の子どもたちの前で初めてギターを弾いた時、僕が“Wow!”って思ったくらい彼らのパワーを感じたんですね」と難民支援活動でのエピソードを明かす。

「僕がギターを弾いた姿を“なんじゃこりゃ!”と思って見ている子どもたちを見て、“まだ音楽の存在意義ってあるな”と思ったんです」と強い眼差しを成田に向けるMIYAVIだった。

経済学者の成田悠輔

本対談は『夜明け前のPLAYERS』公式HPでノーカット版が、公式YouTubeでディレクターズカット版が、MIYAVIが披露した即興のスラップ奏法などを含め配信されている。

「夜明け前のPLAYERS」
公式HP:PLAY VIDEO STORES
公式YouTubeはこちら

写真提供:(C)日テレ

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