成田悠輔 「“ゲストは隅田川”ってどう?」奇想天外なトーク番組発案にスタッフ絶句

2024.4.17 17:00

経済学者・成田悠輔がMCを務めるトーク番組『夜明け前のPLAYERS』はこの日、年度末の予算不足を理由に、通常ならば裏でこっそり行われるキャスティング会議を公開することとなった。河野太郎デジタル大臣に始まり、アーティスト集団Chim↑Pomの卯城竜太、フリーキャスターの有働由美子、睡眠の研究者・柳沢正史などさまざまなジャンルからゲストを招いてきた当番組。今後どんなゲストと対談したいかという問いに成田は「“ゲスト、隅田川”とかどうですか」と言い出した。

「人間以外のモノとは話せないと思いがちじゃないですか」 そんな視点があったとは

“隅田川について語る人との対談”と理解するスタッフに成田は、隅田川自身と語るのだと言う。「だって(川は)語っているじゃないですか。流れているわけだから」。音っていうこと?と返答に困るスタッフを前に成田は「川に人権みたいなものがあるという判決を出した国があるらしいんですよ」と続ける。

「人間は殴られそうになったり権利が脅かされそうになったら、抵抗したり騒いだり訴えたりすることができるじゃないですか。けれども川はできないわけですよね。でも川も、人間が殺されない権利を持つのと同じように、汚されない権利を持っているかもしれない。だとしたら、川に権利を与えて、川の代理人が川の代わりに裁判に出ることができるようにしようということをやった国があるらしいんですよ」と分かりやすく説明する成田。

ゲストを“隅田川”とし、初めは隅田川と語らい、無理があるなとなってきたら隅田川の代理人と話すという構想のようだ。「森とか林とかでもいいですよ。あとビルとか。仏像とかでもいいと思います」と成田。候補が建造物にまで至りスタッフは絶句するのだが、成田には深い意図があるようだ。

「人間以外のモノとは話せないと思いがちじゃないですか。でも、犬や猫を飼っている人たちは犬や猫と対話している。カメラマンだって、カメラと対話していますよね」と成田。カメラマンからは「(対話)してないです」という笑いが起きるも、人間以外との対話についてはスタッフも確かにそうだと腑(ふ)に落ちた様子。「考えてみます」と会議は落ち着いた。

そんな奇想天外ながら意味深い成田の提案にネットは「川と対話!? そんな視点があったなんて」「山や空、海とも対話してほしい」「地球にも開発拒否権は有るよねと子どもの時に思った」などと話題が広がり盛り上がっていた。

イケボで読む柳田国男『山の人生』 「虚しさとはかなさと情けなさに思いをはせ」

さらにファンからは「成田さんが思ったことを何でも語ってほしい」「しゃべっているのを聞くだけでいやされる」との声が多く投稿された。成田の声や話すテンポは「イケボ(イケてるボイス)」とよく評されるのだが、この日はその声がより発揮された。珍しく成田悠輔が朗読を披露したのだ。

朗読用に成田が選んだのは、日本民俗学の父といわれる柳田国男の『山の人生』(初出:大正14年)。「日本人とは何か」の探求のため日本各地を実地調査し、特に山で暮らす人々に起こった悲劇や不条理、怪奇談などの伝承をつづった一冊で、柳田国男の名作『遠野物語』と対をなす代表作ともいわれる。

その中で成田は、冒頭の、明治の中頃に起こった犯罪事件がベースとなった一節を読んだ。子をあやめながらも自らは生き残った親の話だ。文章の最後は「我々が空想で描いて見る世界よりも、隠れた現実の方が遙(はる)かに物深い。また我々をして考えしめる」(青空文庫:柳田国男『山の人生』より引用)とくくられている。

読後、成田は「世界の裏側では今も戦争が起き、ジェノサイドが起き、日本では毎年人口が90万人減っている次第です。しかしそんな現実を忘れて、メディアも政治も、そしてこの番組も、何の意味があるのか分からないおしゃべりを続けているという、その虚(むな)しさとはかなさと情けなさに改めて思いをはせたいなと。そんな思いを込めて大昔の柳田国男の、ノンフィクションなのか、はたまたノンフィクションを装ったフィクションなのか分からない一説を朗読してみた次第です」と語った。

『夜明け前のPLAYERS』の各対談は公式HPでノーカット版が、公式YouTubeでディレクターズカット版が配信されている。

「夜明け前のPLAYERS」
公式HP:PLAY VIDEO STORES
公式YouTubeはこちら

写真提供:(C)日テレ

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