【知っておきたい】カズレーザー「検閲になる…被害者が黙殺される…」SNS上の誹謗中傷の”削除”を強化する法改正には、危険な一面も潜むと指摘

2024.3.31 13:45

お笑いコンビ・メイプル超合金のカズレーザーがMCを務める『カズレーザーと学ぶ。』が3月19日に放送された。今回は『知らないとやばい2024年度の法改正』というテーマで専門家たちが講義を行い、『アナタの投稿 実はアウト!?誹謗(ひぼう)中傷をなくす新SNS法』と題された講義では、今年中の成立を目処に、現在国会で審議中の新SNS法改正案について解説された。

専門家はまず、SNS上での誹謗中傷の実態について報告。総務省が発表した調査の結果によると、およそ5人に1人が誹謗中傷の被害の経験があるという。実際に番組が実施した街頭インタビューでは54人に聞き、そのおよそ半数の25名が身近に誹謗中傷があったと回答した。

「何が誹謗中傷に該当するのか分からない」などの意見も聞かれるなか、専門家は新SNS法によって誹謗中傷のガイドラインの義務付けが行われることについて言及。衆議院議員が、あるジャーナリストに対しなされた対誹謗中傷コメントに繰り返し「いいね」を押したことに対する訴えで、最高裁にて議員側の敗訴が確定した事例を紹介。この事例では、「いいね」の回数が多い点が指摘されたといい、過激な批判コメントにいいね&リポストも誹謗中傷として判断される可能性について話した。

専門家はさらに、誹謗中傷被害を受けた際の対応についても大きな変化が起きていると語る。誹謗中傷を行った個人を特定することのできる手段として、開示請求があるというが、2022年までは、まずSNS事業者に加害者がどこから発信したのか、さらに経由プロパイダにそのアドレスを持つのは誰なのかを開示させるため、2回の開示請求裁判が必要であり、多額の費用や期間を必要とした。しかしプロバイダ責任制限法が改正され、2022年から1つの手続きで済むようになったのだという。

ただ、手続きが短縮したとはいえ、開示請求には早くても3か月から4か月の期間を必要とするために、現状では誹謗中傷の書き込み等を迅速に削除することが難しいそう。専門家によれば、今回真偽されている新改正案では、この問題を解決するための議論が行われているという。具体的には①SNSの事業者に対して削除申請の窓口を設置すること、②申請をした人に対してその対応を報告すること、を事業者側に義務付けることが検討されており、実現すれば誹謗中傷の迅速な削除や、その経過を被害者が把握できる可能性があるようだ。

スタジオでは誹謗中傷の削除がスピーディーに進むことに期待する声が上がる一方、カズレーザーはその問題点について「プラットフォームが気にしてるのは検閲になるからじゃないですか」と指摘。例えば暴行事件の被害者が、事実として被害をSNSに投稿しても、加害者が誹謗中傷として申請すれば削除されてしまうという危険性がある。カズレーザーは「迅速性を取ると全部消されちゃうんで、被害にあった人が黙殺されるってことにつながりかねないから、結局(事業者は)精査しなきゃいけないと思うんですよ」と意見を述べた。また番組は以前よりも容易に開示請求できるようになったことで逆に心当たりがないのに開示請求され自分の身元を明かされる危険性について言及。そうした場合はすぐに弁護士に相談することと、注意喚起を行った。

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写真提供:(C)日テレ

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