『全方向美少女』の乃紫（23）　印象的なフレーズを生み出す秘訣は、月100以上の“スマホメモ”　

【ZIP!×entax】
日本テレビ系 朝の情報番組『ZIP!』の地上波未公開シーンをお届けするコラボ記事『ZIP!×entax』。今回は“いま話題の人”を紹介するコーナー『ハックツ！』から、次世代シンガーソングライター乃紫（のあ）への番組単独インタビューをピックアップ。TikTokで人気の代表曲『全方向美少女』は総再生回数14億回超え。ビルボードチャートでは6週連続トップ3にランクイン。「正面で見ても横から見ても下から見てもいい女」という印象的なフレーズと、それに合わせた簡単な撮影で動画が作れることなどから目下バズり中。そんな彼女に、を聞いた。

■トライアンドエラーから生まれた“バズりソング”

現在23歳の乃紫。驚くべきことに音楽制作を始めてわずか1年半だという。 きっかけとなったのは大学4年生の夏に音楽ソフトに触れたこと。当時のことを、彼女はこう振り返る。

「音楽ソフトって底なし沼みたいにやればやるほど新しい機能が見つかるし、ほかのアーティストはこの音楽をどうやって作ってるんだろうって考えながらやり始めると、夜も眠れない日々が続く。めちゃくちゃ楽しいんです」

音楽に一気にのめり込んだ彼女は一貫してSNSでの発信にこだわり、「音楽制作をしていく上で、音楽の技術を高めていくことはもちろん、SNSでどんな投稿をするか常に追求していかないと需要に合わせた音楽が作れない」と市場の分析が欠かせないと明かす。結果、できあがった現在の制作スタイルを次のように語った。

「TikTokで伸びる動画のルールをいくつか見つけていて、それを踏襲しながらみなさんの需要に合わせている。動画を投稿するときの文章もひねった文を添えると、まったく違う反応になったりするので、トライアンドエラーです」

試行錯誤を繰り返しながら完成した『全方向美少女』。実は最初に投稿されたのはたった20秒のショート動画だった。

「寄せられたコメントを見て、そのほかのAメロ・Bメロの歌詞とか、続きの歌詞を作ったので、みなさんの反応によって作曲の仕方を変えようと思っていた。私の中で音楽のショート動画の役割って、映画の予告編みたいなもの。それが面白かったら本編を見たくなるし、リリースを待ちたくなる。“予告”をどれだけ面白く作れるかで期待値も変わってくるので、すごく大事なことだと思います」

数秒で惹きつけるキャッチーさを重要視する、彼女ならではの視点だった。

■印象的なフレーズを生み出す“ルーティン”

これまで作ってきた音楽のなかで、お気に入りのフレーズを聞かれた乃紫は、『全方向美少女』1番の歌い出しである“世にも美しき怪物「女の子」の出来上がり”を挙げ、「女性の毒々しい感じが出ていてよかった」とコメント。こうした印象的なフレーズはどのように生まれてくるのか。その秘密は、彼女のスマホに隠されていた。

「私はスマホのメモに2024年2月とか、1か月ごとに思いついた言葉を箇条書きで書いて、あとから見返していいものをピックアップしていく。共通点があるものだったら、同じ曲の歌詞にしたりしてます」

日常の何気ない場面から思いついた言葉を日々スマホに記録し、その数は1か月で100を超えるという。そして今回、インタビュー前日の最新メモを特別に公開してくれた。

“私もちゃんと素直になるからあなたが先に素直になって”

これは友達の恋愛相談にのっていたときに浮かんだ言葉だと説明した上で「先に本音を言いなよっていう女の子のプライドですよね（笑）」とリアルな女性の気持ちを表現した。

■目標は“ジブリみたいな”アーティスト？

音楽活動を初めて1年半、実はファンの前で1度もパフォーマンスしたことがないという乃紫。今後挑戦したいことは「圧倒的にライブですね！この1年半で音源を出すこととSNSに注力してきたので、ライブやフェスにたくさん出て、みなさんに直接お会いできる機会を楽しみにしています」と意気込み、「ワンマンもフェスもあわせて10回とか、なるべく多くやりたいです」と願った。

そして、どんなアーティストになりたいか聞かれると「20年後も愛される曲を作り続けられるアーティストです」と即答。その理由を、独特の言い回しでこう締めくくった。

「10〜20代の人が聴いて共感できる歌詞、それプラス大人になって聴いても若い頃を思い出す懐かしい歌詞の曲って、何十年後も聴かれ続けていると思う。そういう“ジブリ”みたいな、いつ何回聴いてもいいような曲をたくさん作っていきたいです」

写真提供：（C）日テレ