注目若手俳優・奥平大兼 独自インタビュー 日本初“eスポーツ劇映画”W主演に「今っぽい感覚の映画」

2024.3.7 17:45

3月8日から公開の映画『PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』W主演の、奥平大兼に単独インタビューを実施。eスポーツの全国大会を目指す高専生の実話をベースにした今作で、金髪にピアスの高専生を演じる奥平。ロケ地となった徳島の思い出など撮影裏話や共演者とのエピソードを聞くうちに、自身の演技方法についての熱い思いがこぼれ出た。

■人間関係の築き方が“今っぽい”感覚の映画

――実話をベースにしたお話ということで、台本を読んだときどう感じましたか?

奥平 僕はゲームが好きでeスポーツも身近に感じていたので、eスポーツが映画の題材になっていることがまずうれしかったです。台本を読むと、eスポ―ツがテーマではあるのですが青春物語としても描かれていて、いろんな要素が詰まっていると感じました。さらに演じてみると、“今っぽい”感覚の映画だなと感じて、この映像がどんな作品に仕上がるんだろうとワクワクしました。

――どのあたりを“今っぽい”と感じましたか?

奥平 人間関係の築き方です。今回の3人組って、ゲームがなければ交わらなかった3人だと思うんですよね。それぞれ家庭環境が違って抱えているものがあるんですけど、そのことをお互い打ち明けたりはしないんです。一緒にeスポーツの全国大会を目指して練習して、大会へ出て……という関係性なのに、学校で話すわけでもない。映画ではそこまで描かれていませんが、大会が終わったらあの3人で集まることは、もうないんじゃないかと思うほど。それでいて仲が悪いわけでもないけど、仲がいいと言うとそうなのかな? と、よくわからない関係性です。でもそれが変だとは思わないし、逆に清々しい形で“今っぽい”と僕は感じました。

映画『PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』より、郡司翔太役の奥平大兼

■ロケ地の徳島で見た海が忘れられない

――徳島が舞台のお話で、ロケ場所も実際の物語のモデルとなった阿南高専などを使われたそうですね。徳島での印象的な思い出は?

奥平 徳島は初めて行きましたが、本当にのどかな場所でした。東京より時間がゆっくり流れていたような気がして「落ち着くなぁ」と感じながら撮影していました。

徳島県の阿南市や日和佐駅周辺で撮影することが多くて、学校が阿南にあり、僕が演じた翔太の家は日和佐エリアでした。日和佐駅近くには歩いて行ける場所に山があって、そこに日和佐城というお城があると地元の方に聞き、撮影の空き時間に共演者の小倉史也さんと散歩しました。時間的にお城には入れなかったのですが、山道をどんどん歩いていくと少し開けた場所があり、そこから太平洋がブワーッと広がっているのが見えたんです。すごくきれいで印象に残っています。僕、あまりスマホで写真を撮らない方だと思うのですが、それでも思わず写真を撮るくらいきれいでした。山に生えているゼンマイまで撮りました(笑)。

――劇中ではゲームシーンが大画面に映し出される回数も多く、画期的な作品。ゲームをプレイしている、というお芝居はどうでしたか?

奥平 撮影のときはゲーム画面がまだ出来上がってなかったので、絵コンテのようなものを見ながらゲームシーンを演じました。オンラインゲームは、画面に映るのが1人の場合でも実際は3人でつながっている。なので3人の空気感やテンションを合わせるために、画面には映らないメンバーも現場に行き、別室から声だけ合わせる芝居もありました。それは他の作品では経験したことない、この作品ならではの撮影方法で大変でしたが、新鮮でおもしろかったです。

■演じた翔太は見た目よりずっと優しい子

――演じた郡司翔太は家庭環境が複雑な中、バイトや弟の世話もがんばっている高専生。一方で学校やゲームチームの中だと陽キャ担当ですが、どんな人物と捉えて撮影にのぞみましたか?

奥平 最初は「陽キャ、金髪、ピアス」というやんちゃなイメージしかなかったのですが、実際に演じてみて印象が変わり、翔太はすごく優しい子だなと思いました。この作品の登場人物の中で、いちばん周りが見えている子なんじゃないかな。達郎(鈴鹿央士)と亘(小倉史也)がケンカしても、「練習しましょうよ」と仲裁するのは翔太だし、家の中でも家族の様子をよく見ていますし。自分の中で本当に夢中になれるものを探している子で、そこでロケットリーグに出会ったんだと思います。

――田中達郎役の鈴鹿央士さん、小西亘役の小倉史也さんとは初共演。共演されてみていかがでしたか?

奥平 央士くんも小倉さんも、自分とはまったく違う芝居をする方だと感じました。ゲームシーンの撮影方法が特殊だったので想像しながら演じることも多く、1人では完結できずに3人でつくり上げるシーンが多かったんです。央士くんの一言に対する反応で引き出された芝居もありましたし、小倉さんの演技も、ひょうひょうとしているように見えて実はすごく難しいことをやっているんですよ。自分と違った脳で芝居をしている2人だったから、僕の想像とは違う演技が返ってきたので演じていておもしろかったです。

映画『PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』より、eスポーツチーム“アンダードッグス”メンバー
(左から)小倉史也、奥平大兼、鈴鹿央士

■せっかくだから現場を楽しみたい。
「その場で感じたことをうそ偽りなく出すのが僕の仕事」

――鈴鹿さんは奥平さんのことを「自由で現場を楽しんでいる方」とコメントされていましたが、ご自身のどのあたりが自由と思われていると感じますか?

奥平 毎カット、やることを変えるからですかね(笑)。共演者の方も毎回100%同じ動きにはならないわけだから、それに対する僕の演技も変わってきます。もちろん、前後のつながりなどは気にして演じますが、せっかくだから現場を楽しみたいじゃないですか。今回は僕も主演の一人でたくさん出演シーンがあるから、カット数を重ねるのを辛いと感じるより楽しんだ方がいいと思っていて。監督も「自由にやっていいよ」と言ってくださったので、逆にダメだったらダメと言われるだろうと監督を信頼して「じゃあ自由にやろう!」となりました。その場で感じたことをうそ偽りなく出すのが僕の仕事だと思っているんです。それを見た央士くんの目には「自由な人」と映ったのかもしれないです。

――どの作品でも自由な演じ方を心がけているのですか?

奥平 デビューからずっとそうですね。最近の作品ですとディズニープラスの『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』(2023年)でも、タイムという役として感じたことを自由に演じていいよ、という演出だったので自由にやらせてもらいました。だからこそ、「自分の役はこういうことを思うんだ!」という発見が毎回あって、それが今後の芝居の糧(かて)になっていると感じています。

――それが奥平大兼さん流の演技ですね。

奥平 そんなたいそうなものじゃないです(笑)。逆に僕はそのやり方しかできないんです。最初に教えてもらった芝居の方法がそうだったので大事にしていきたいですし、僕のアイデンティティだと思います。そういうやり方で育ったので、自分なりの演技方法として大切にしたいと思います。

■同級生女子とのシーンはアドリブが多くてリアルだから恥ずかしい

――花瀬琴音さん演じる、同級生の紗良ちゃんとイチャイチャシーンがかわいかったです。お二人でどういうシーンにしようという話はされましたか?

奥平 花瀬さんとは初共演でした。二人でのシーンはけっこうアドリブが多かったのですが、花瀬さんもリアルな空気を感じてくれていたと思います。だからこそ、見返すとちょっと恥ずかしいです。花瀬さんからは、演技に入る前に「仲がいい役だから、事前に相手のことをちゃんと知りたいのでお話ししたい」と提案してくれました。僕はそういう方法を取ったことがなかったので新鮮で、「今からラーメン食べに行きますけど一緒に行きますか?」と誘ったら「ラーメンはちょっと……」と(笑)。誘う場所を間違えちゃいました。その後ちゃんとお話しできる時間があって、僕も花瀬さんがどんな方か知れて良かったし、そのおかげで一緒のシーンは花瀬さんが引っ張っていってくれた気がします。ナチュラルでいられるようにしてくれました。

映画『PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』より、互いに意識し合う同級生を演じた奥平大兼と花瀬琴音

■何かに夢中になれる時間は大切

――これから映画を観る方へ向けて、注目してほしいところやメッセージをお願いします。

奥平 eスポーツをテーマにした初めての作品なので、ゲームが身近な方はよりeスポーツについて知ってもらえると思いますし、身近じゃない方にもeスポーツを知るきっかけになればうれしいです。青春映画としても楽しめますし、“今っぽい”雰囲気があるので、大人の方には新鮮に映ると思います。

現役で学生の皆さんには、学生時代に何かに夢中になるというのは、結果がどうあれ大切な思い出として残るから、1人でも誰かとでも夢中になれるものを見つけほしいと伝えたいです。僕も学生の頃は部活に熱中していて、振り返るとそれが大切な時間だったと感じています。何かに打ち込む時間をぜひつくってほしいです。

【奥平 大兼(おくだいら だいけん)Profile】
2003年9月20日生まれ。東京都出身。2016年、スカウトで芸能界入り。2018年、演技未経験で受けたオーディションに合格し、映画『MOTHER マザー』(2020年)で長澤まさみの息子役に抜てきされる。2020年『恋する母たち』(TBS)でTVドラマに初出演し、以降も映画やドラマ、CMなどで活躍。2023年は映画出演が相次ぎ、TAMA映画賞で最優秀新進男優賞を受賞。現在配信中のディズニープラスオリジナル『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』(2023年12月)にも出演。3月8日からは鈴鹿央士とW主演の映画『PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』が公開される。

【作品情報】

『PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』
2024年3月8日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
監督:古厩智之
出演:
奥平大兼   鈴鹿央士 
山下リオ 小倉史也 花瀬琴音
斉藤陽一郎 唯野未歩子 冨樫 真 山田キヌヲ / 三浦誠己

配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2023映画『PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』製作委員会  

<ストーリー>
徳島県の高等専門学校。<全国高校eスポーツ大会メンバー大募集>のポスターを見付けた金髪にピアスのやんちゃな外見を持つ翔太(奥平大兼)。このポスターを貼った張本人で大会種目<ロケットリーグ>の日本上位ランカーである達郎(鈴鹿央士)。3人編成の応募条件を満たすため人数合わせとして加わった、Vtuber に夢中の亘(小倉史也)。性格もプライベートの事情も異なり、同じ学校に通いながら一度も交わることがなかった3人がにわかチームを結成し、全国大会出場を目指して奮闘する。

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写真提供:©2023映画『PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』製作委員会

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