『きみセカ』プロデューサー「ロケ弁で凍ったシューマイを…」ロケ場所、キャスティングまで独自取材
2024.2.18 16:00『君と世界が終わる日に』の鈴木亜希乃プロデューサーに、撮影裏話を聞く第3弾。現在公開中の映画『劇場版 君と世界が終わる日にFINAL』のキャスティングや見どころについて語った。また、『きみセカ』シリーズに関わって約6年、ロケ場所探しやロケ弁調達に奔走した日々についても振り返る。
【作品紹介】
日本テレビ×Huluによる共同製作の連続ドラマ『君と世界が終わる日に』。ゾンビ化したゴーレムと戦う極限のサバイバルアクションと、愛する者同士の絆(きずな)を描いたシリーズはSeason4まで続き、今回初の映画化。『劇場版 君と世界が終わる日にFINAL』が全国公開中。
■アクションOK、血のりOK、ゾンビOKのロケ場所探しに難航
――竹内涼真さんが以前のインタビューで、山の中で寒い季節に撮影したり、足元が草や石ころだらけだったりする中でのアクションもあったとお話されていました。ロケ場所はどのように決めていましたか?
鈴木 そもそもが“終末世界”という設定ですし、人がいない場所を探しました。また、アクションOK、血のりOK、ゾンビが出る作品の撮影がOK、という条件もありましたし、コロナ期間は特に貸し出してくれるところも少なかったので、制作部のロケーションスタッフがすごくがんばって探してくれました。TVドラマのSeason1の頃は神奈川県の三浦半島でよく撮影していましたが、一度撮影に使った場所は既視感が出るためもう使えないので、シーズンを重ねるごとにどんどん場所探しが難しくなっていきました。
今回、劇場版で撮影した福島県の廃虚ホテルはSeason2でも行った場所なのですが、当時はごく一部でしか撮影しなかったので、再び使わせてもらいました。キャストの皆さんは常に砂やほこりまみれになってもらって……過酷な現場だったと思います。キラキラした場所に連れて行ける撮影ではなかったですね(笑)。基本的に人里離れた場所なので、待機場所やメイク室も簡易でしたし、寒い中での撮影は多かったです。
――その中で、楽しかったのはどういった部分になりますか?
普段のドラマでは行けないような場所ばかりでしたし、富士山がきれいに見えたり砂丘に行ったり景色を楽しめることもあったので、そこは新鮮に楽しくとらえてましたね。劇場版では本物のマンホールの下、下水が通る場所でも撮影しました。
セットにも力を入れていて、“ゾンビがいる終末世界”じゃないと建てられないようなものを時間をかけて作ることができました。ドラマといえば、オフィスもの、刑事もの、医療ものが多くなると思います。作り手側の立場からすると、こういった普段は関われないような異世界ものというのは、かなりやりがいがあったと思います。爆破シーンもいっぱい体験させてもらいましたし。
■ロケ弁のシューマイが凍ってシャーベットに……
――お弁当やケータリングはどうしていたのですか?
鈴木 何もない場所で撮影していたので、お弁当の時間は楽しみでした。一度お弁当が凍っていたことがあったんですよ! 中華弁当で、一応シートで覆ったり冷えすぎないように気を遣っていたのですが、あまりの寒さにシューマイが凍ってしまいました(笑)。でも食べないとお腹がすくので、みんなで「シャーベットみたい」と言いながら凍ったシューマイを食べました……。まず山奥に100人単位のお弁当を配送してくれる業者を見つけるのも大変で。差し入れでちょっと豪華なお弁当をいただくとテンションが上がりました。
■Season3の終わりに映画化が見えてきた
――映画化というのはどのくらいの時期から意識されていたのですか?
鈴木 最初はまったくなかったです。地上波から配信へ、という流れでSeason2まで制作することだけは決まっていましたが、それ以降は「評判が良ければ続編もやりたいね」というくらいの話でした。でもおかげさまで配信の方も好評だったために、Season2の終わり頃にはSeason3の配信が決まり、Season3の終わりにはSeason4の配信が決まり……といった形で続編をつくることができました。Season3が終わる頃には、今後劇場版まで見据えて制作しようというFINALプロジェクトの話が出てきて。Season4とSeason5、劇場版は半年くらいかけて一気に撮影しました。
スタッフやキャストの中でも、せっかくここまで地上波のドラマとは違うクオリティでがんばってきたから、映画化までいけたらいいよね、という思いはみんな持っていた気がします。
――日本のドラマの中では珍しいパターンですよね。
鈴木 そうですね。まず、医療もの、刑事もの以外でここまでシーズンが続くことも珍しいですし、地上波、配信、映画化という流れも今までなかったような気がします。そのあたりは海外ドラマがお手本ではありました。
■イケメン目当てでもドラマを見ていなくても楽しめる映画です!
――キャスティングはどのように決めていかれましたか?
鈴木 キャスティングはいつも通りで特別なことはしていないです。登場人物のキャラクターがあって、それに合う方にオファーしていくといった形で。普段の地上波とは違う試みとしては、韓国人俳優のキム・ジェヒョンさんや、その姉役として玄理(ヒョンリ)さんをキャスティングしたことですかね。
劇場版に関しては、このシリーズをまったく見てこなかった方にも見てもらいたいという気持ちがあったので、竹内涼真さん演じる間宮響以外にも感情移入できるキャラクターを作りたいと考えてキャスティングしました。高橋文哉さんが演じる大和や彼と行動を共にする仲間たち、堀田真由さんが演じる葵など、あえて新しいキャストに入ってもらったんです。
特に大和は、響と対をなすような存在感と勢いがある方がいいと思って高橋文哉さんにオファーしました。響と来美(くるみ/中条あやみ)のラブストーリーが今まで軸としてあったように、劇場版では大和と葵のラブストーリーが進行します。間宮響のことを知らなくても、謎めいた男としてとらえられるようにもなっていますし。板垣李光人さん、窪塚愛流さんといったイケメン目当てで見てもらっても楽しめます(笑)。
新キャストの皆さんにオファーしたのは2年ほど前だったのですが、この2年間で皆さんがどんどん売れっ子になっていって、ありがたいかぎりです。こんなに勢いのある若手俳優の方々がそろって何をするんだろう? という興味で見てもらえるのもうれしいので。
――ラスボスとして登場する吉田鋼太郎さん、先日発表されたサプライズゲストの菅田将暉さんが要所要所で作品を引き締めていらっしゃる印象でした。
鈴木 おっしゃる通りです。特に吉田鋼太郎さんは「シリーズ史上最大の敵」として響の前に立ちはだかってくださっています。菅田将暉さんは、一見、菅田さんとはわからない姿で登場されます。菅田さんのお芝居も是非楽しみに劇場へ観に来ていただきたいです。
【鈴木亜希乃(すずき・あきの)Profile】
日テレAX-ON所属のドラマ制作部プロデューサー。プロデューサーとしての主な作品はNHK BSプレミアムドラマ『お父さんは二度死ぬ』(2013年)のほか、日本テレビ系ドラマ『デスノート』(2015年)『そして、誰もいなくなった』(2016年)『トドメの接吻』(2018年)『トップナイフ 天才脳外科医の条件』(2020年)『ムチャブリ!わたしが社長になるなんて』(2022年)などがある。
【Information】
『劇場版 君と世界が終わる日にFINAL』
全国東宝系にて大ヒット公開中
監督:菅原伸太郎
脚本:丑尾健太郎
出演:竹内涼真 高橋文哉 堀田真由 板垣李光人 須賀健太 黒羽麻璃央 吉田鋼太郎
ⓒ2024「君と世界が終わる日に」製作委員会
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