杉咲花 大親友・小野花梨との共演に「こっ恥ずかしさもすごくあった」『52ヘルツのクジラたち』完成披露試写会
2024.2.15 12:35映画『52ヘルツのクジラたち』の完成披露試写会が13日(火)に都内で行われ、主演の杉咲花をはじめ、志尊淳、小野花梨、桑名桃季、主題歌を務めたSaucy Dogの石原慎也(Vo/Gt)、原作者の町田そのこ氏、成島出監督が登壇。
冒頭のあいさつで杉咲は「かけがえのない出会いになりました」と静かに力強く話し、作品に入るまでにリハーサル時間を長くとったことについても「役を知っていくっていう時間でもあるんですけど、作品に携わる人たちがお互いを信頼できる時間を作っていったようにも感じるので、ぜいたくに感じました」と語った。
杉咲の家に1か月泊まるほどプライベートでも仲が良いという小野との共演については「友達が仕事場にいるっていう感覚が慣れなくて、こっ恥ずかしさもすごくあったんですけどお芝居が始まった時に(小野が演じる役の)美晴として、そこに存在してくれる花梨を目の当たりにして、背筋が伸びる思いでした」と照れながらもうれしそうに話した。小野から「佇まいやスタッフさん一人一人への気遣いなど、普段は見られない一面を見させていただいて非常に勉強になりました」とベタ褒めされると、杉咲は思わず「なんかちょっといじられてるような(笑)」と返し、仲の良さを見せつけた。
イベント中には、本作で映画初出演・舞台あいさつ初参加となる桑名に杉咲が「何が楽しかった?思い出は?」と質問するなど優しく寄り添う場面も。思わず司会者からも“保護者のよう”とコメントされほっこりする空気の中、桑名が「飛行機が初めてだったからワクワクした!」と無邪気に答えると、客席から“かわいい”と声が漏れるほど会場中がメロメロの様子だった。
主題歌を務めたSaucy Dogの石原は「僕自身が人のことを信頼するのが難しい性格で、原作を読んで自分と重なった。スラスラ(歌詞を)書けたぐらい、すっと心の中に入ってくるような」と原作を読んだ上での主題歌『この長い旅の中で』の制作過程を語った。
楽曲を聞いての感想を問われた杉咲は「人との関わり合いに対して、とても前向きな気持ちになれる曲。エンドロールが流れる時間って生活に戻っていく心構えをする時間でもあると思っていて、劇場を出た時にそっと背中を押してくれるような、とても温かい音楽がこの映画の最後に流れることがとてもうれしく思いました」と感謝をにじませながら熱く語った。
最後に、杉咲は「とても緊張しています」と前置きをし「この物語を本当に大切に思っていて、どんなふうに届けられるだろうかと議論し続けてきました。いろんな感想があると思っていて、そこでの気づきを自分自身の人生だったり、この先関わっていくモノづくりにフィードバックしていけたらいいなと思っています。隣にいる人のことを想像できるような作品になっていたらいいなと思います」と、この作品への思いが伝わる熱いコメントでイベントを締めた。
本作は、『2021年本屋大賞』を受賞した町田そのこ氏原作の小説を映画化。杉咲が演じるのは家族に虐待され、搾取されてきた三島貴瑚(みしま きこ)。東京から海辺の街の一軒家に移り住んだ場所で、虐待され母親から「ムシ」と呼ばれる声を発することのできない少年(演・桑名桃季)と出会う。声なき声に耳をすませてくれる相手がきっといる。切なる想いの先に、胸を揺さぶる希望の光を届けてくれる愛の物語。
映画『52ヘルツのクジラたち』は3月1日(金)からTOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー
出演:杉咲花 志尊淳 宮沢氷魚/小野花梨 桑名桃季
原作:町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社刊)
監督:成島出
主題歌:「この長い旅の中で」Saucy Dog(A-Sketch)
配給:ギャガ