アニメ『薬屋のひとりごと』第16話 ある職人が息子たちに遺した“仕掛け”の真意とは?

2024.1.30 18:45

アニメ『薬屋のひとりごと』の第16話『鉛』が1月27日に放送された。息子に秘伝を授けずに亡くなった宮廷御用達の彫金細工師が残した不思議な遺言を壬氏(ジンシ)から調べてほしいと頼まれた猫猫(マオマオ)は、彼らの家を訪ねる。三兄弟それぞれに残された3つの形見と作業小屋の不思議な間取りの謎に気づいた猫猫は、細工師の遺言通り兄弟たちと共に“茶会”を開く。

(以下、アニメ最新話までのネタバレを含みます)

◆彫金細工師が遺した謎の遺言

ある日、猫猫は壬氏にあることを頼まれる。その依頼とは、宮廷御用達の彫金細工師が、弟子である3人の兄弟たちに技術を全部継承しないまま亡くなったので、彼が遺した『秘伝』を解き明かして欲しいと言うもの。父親が残した遺言には形見分けの品が書かれていた。長男には離れの作業小屋。次男には細工の施されたタンス。三男には金魚鉢。そして一言「皆、昔のように茶会でもするといい」とだけ言い残したという。アンバランスな形見分けの品や、意味深な言葉に引かれた猫猫は馬閃(バセン)とともに早速彫金細工師の家へ向かう。

彫金細工師の家に着いた猫猫を出迎えたのは、気弱な三男と、とげとげしい雰囲気の長男と次男。どうやら兄弟仲は悪いようだ。長男への形見分けの小屋に入った猫猫の目にまず飛び込んだのは、その独特の間取り。タンスを囲むようにコの字型にテーブルが配置され、テーブルの後ろに縦長の窓がある。「普通はこんな真ん中に置いたら邪魔だろう。」と不審に思う猫猫。

真ん中に置かれたタンスは次男への形見分けで、床にガッチリと固定されている。次男は「中央の引き出しの鍵は、穴に入らねえんだよ。上の三つの引き出しは、全部同じ鍵で開くらしいけど、肝心の鍵はどこにもない。これじゃ形見をもらった意味がねえよ。」と毒づく。

長男も「俺だって、小屋をもらってもタンスを動かせないんじゃ邪魔で仕方ない。まったくいい迷惑だ」と吐き捨てる。そして、三男への形見分けは高級なガラスの金魚鉢。昔は金魚を入れて、窓の前に置いていたと言うが、今やすっかり置物状態だという。三男に向かい、「お前はいいよな。さっさと金に出来るものをもらったんだから」と嫌味を吐く長男と次男。

そんな卑屈な兄弟たちをたしなめながら、兄弟の母親がお茶を持ってきたので、気まずい雰囲気のまま、席に移る三兄弟。縦長の窓から陽がさして、タンスの前まで照らしている。何かを思いついた猫猫は「ちょっと水をもらいに行ってきます!」と外に飛び出した。

◆猫猫が解き明かした父親の熱い思いとは?

猫猫は水を入れた金魚鉢を窓の前においた。すると窓から入った光が金魚鉢に当たり、水で屈折した光が一点に集まって、タンスの中央の段の鍵穴付近をさした。

しばらくして陽がかげると、「では先ほどの鍵で、この引き出しを開けて下さい」と猫猫。次男が鍵を入れると、今まで入らなかったはずの中央の引き出しの鍵がスッと奥まで入った。実は鍵穴には、はんだが詰まっていて、それが日の光によって溶けたのだ。中央の引き出しを開けると、また別の鍵が。その鍵は上の三つの引き出しの鍵で、その鍵を使って引き出しを開けると…入っていたのは鉛と錫(スズ)、そして謎の鉱物。

はんだは数種類の金属を混ぜ合わせることで、本来、個々で溶ける温度より低い温度で溶ける。「三つの塊の内、二つは鉛と錫、そしてもう一つの塊を合わせることで新しい金属が出来るとすれば、どうだろう」とつぶやく猫猫。長男と次男は「結局、親父の最後のイタズラに振り回されて終わりかよ!」と捨てぜりふを吐き、去ろうとするが、末っ子は「やっぱり、親父は僕たち兄弟に仲よくして欲しくて遺言を残したんだ!」と叫ぶ。

兄弟の中でも特に彫金細工の才能があったのは末っ子だった。しかし、そのせいで長男と次男は次第に卑屈になり、兄弟仲は冷え込んでしまった。だが、父親は末っ子だけを贔屓(ひいき)してかわいがっていたわけではない。長男には細かな作業も正確にこなす几帳面さ、次男には誰にも打ち解けられる社交性という才能があり、父親はそれぞれの才能も評価していたのだ。それぞれ、父親との時間を思い出している兄弟たちを尻目に、猫猫は後宮へと戻った。

後日、この謎解きを依頼した羅漢(ラカン)の口から、壬氏に後日談が語られた。あの後、末っ子が父親の後継者となって、長男と次男は職人から足を洗うことに。長男は売上の管理、次男は販路の開拓、それぞれ別の方面から家業を支えることになったという。

適材適所に落ち着いたのだ、と語る羅漢に壬氏が「なぜ軍師殿がそんな職人の話を持ってきたのか」と尋ねる。羅漢は「埋もれた才能をそのままにしておくのはもったいないと思いまして。兄、弟など関係ない。上に上がる才があれば上げてやるべきだろうとね」とその真意を答えた。壬氏は「一理ある。羅漢はうさんくさい男だが、人を見る目は確かだ。」と心の中でつぶやき、16話が終了した。

SNS上では「三男のセリフでお父さんの家族愛も分かったし、羅漢の「適材適所」ってセリフが納得しやすい」「親父さん仕掛けが込みすぎでしょ!」「問題が解決した後の三兄弟の笑顔も良い」と、兄弟の雪解けを祝福していた。さらに「猫猫の推理が冴(さ)えわたる1話」「薬屋っていうか探偵すぎない?www」「猫猫の博識さほんとすごい」と猫猫の推理ぶりにも驚きと称賛の声が見られた。

『薬屋のひとりごと』次話は、2月3日(土)よる24時55分、日本テレビ系にて放送予定。

©日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会

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