アニメ『葬送のフリーレン』 〈花畑を出す魔法〉の思わぬ“伏線回収”に、ファン感涙「第2話が沁(し)みてくる…」

2023.11.17 06:30

「沁みる」「朝から号泣」とファン感動。11月10日放送のアニメ『葬送のフリーレン』第10話では、師・フランメから〈花畑を出す魔法〉を教わるシーンが初期エピソードの伏線を回収し若き日のフリーレンと大魔法使いフランメの“出会いと別れ”が描かれた、アニメ『葬送のフリーレン』第10話。自らの死期を悟ったフランメは「お墓に植えてほしい」と、フリーレンに〈花畑を出す魔法〉を教える。ネット上ではこのシーンが、第2話「別に魔法じゃなくたって…」の1シーンとリンクしていると話題に。当時のエピソード、そしてフリーレンというキャラクターにより深みが出ると感動の声が上がっている。

(以下、アニメ最新話までのネタバレを含みます)

◆師匠からの、最期の頼み

今から1000年以上前のこと。魔族の襲撃を受けたエルフの集落でひとり生き残ったフリーレンは、琥珀(こはく)色の髪をした人間の魔法使いフランメと出会う。のちの世で「大魔法使い」と称えられるその人は、途方に暮れるフリーレンを弟子にとり、魔族に対抗する術(すべ)をたたき込むことを決める。自身の境遇を「魔族が憎い。でも魔法が大好きで…」と悲しげに語るそのエルフの少女に、フランメは「私もだ」と笑った。

2人での生活が始まって、早50年。夕焼けに染まった丘の上でフリーレンは今日も修行に励んでいた。目を閉じて、体外の魔力量を制限する。あえて弱者のフリをすることで魔族を欺く、フランメ流の鍛錬だ。ふと背中になじみの声がかかる。「だいぶサマになってきたな」。顔だけ振り返ると、そこにはすっかりシワの増えたフランメの姿。「まだ魔法は好きか?」と尋ねる師に、弟子は「ほどほどかな」と返す。

仕方ないなといった表情を浮かべてフランメは、戦いのための魔法しか教えてこなかった“50年”を振り返る。後悔はしていない。ただひとつ、望みがあったのだ。「フリーレン。私の墓の周りは花畑にしてくれ。私の一番好きな魔法は、“綺麗(きれい)な花畑を出す魔法”だ。小さい頃、両親が教えてくれてな。魔法が好きになったきっかけだ」

花畑など似合わない師。年老いた師。命を救ってくれた師…。彼女の頼みを背中で聞いていたフリーレンは、今度はクルッと振り返った。「その魔法、教えてよ」

フランメとフリーレン 師弟2人、50年の月日を共に歩んだ

◆第2話の印象がガラッと変わる

フランメに教わった〈花畑を出す魔法〉は、9月29日放送の第2話(初回2時間SP内)で一度登場している。それはフリーレンがまだフェルンと2人旅をしていた頃、山間の小さな集落で見つけた“勇者ヒンメルの銅像”に花を供えるシーン。彼の故郷の花である “蒼月草(そうげつそう)”を見つけようと、フリーレンが奔走するエピソードだ。

当時は〈銅像の錆(さび)を綺麗に取る魔法〉や〈甘い葡萄(ぶどう)を酸っぱい葡萄に変える魔法〉など、ちょっとおかしな魔法を集めるのがフリーレンの趣味と発覚したばかり。〈花畑を出す魔法〉も「フリーレン様、たしか使えましたよね」と、フェルンがサラッとその名称を口にしたこともあって特別な魔法という印象は受けなかった。しかし第10話の後で改めて第2話を見返すと、その見え方が変わってくる。

第2話の回想で〈花畑を出す魔法〉を使ったフリーレン

◆魔法でつながる“過去と現在” 第2話を振り返る

見たことのない花は、魔法では出せない。フリーレンは“蒼月草(そうげつそう)”の花を魔法で再現するため、その群生地を探していたが、半年経っても手がかりひとつ見つけられずにいた。弱音を吐くフェルンをよそに、フリーレンは過去の記憶に想いをはせる。

――それは勇者ヒンメルたちとの冒険の旅路。人気(ひとけ)のない荒れ果てた教会に立ち寄った時のこと。灰色のがれきで覆われたその場所で、フリーレンは〈花畑を出す魔法〉を使った。赤、白、黄色…。色とりどりの花々が、そよ風とともに辺り一面に広がっていく。僧侶ハイターは戦士アイゼンとともに大はしゃぎ。ヒンメルは、フリーレンの頭にそっと花冠を添えたーー。

〈花畑を出す魔法〉に笑顔を見せるハイターとアイゼン(画像は第2話より引用)

自分が使った魔法を心から喜んでくれた仲間たち。褒めてくれた昔の仲間たち。その存在が、彼女の背中を押す。やがて “蒼月草(そうげつそう)”の群生地にたどり着いたフリーレンは、晴れやかな表情でヒンメルの銅像の前に立ち、〈花畑を出す魔法〉を唱える。はるか昔に師・フランメの墓前で使ったその魔法は、時を経て、また新しい花を咲かせたのだった。

フランメから教わった魔法が、ヒンメルに花を添えた(画像は第2話より引用)

◆〈花畑を出す魔法〉の伏線回収 実は作品の随所に仕掛けが…

〈花畑を出す魔法〉を通して過去と現在がつながった今回のエピソードを受け、SNS上では数多くのファンが感動を訴えた。「葬送のフリーレンを好きになる魔法だ」「1000年後もフリーレンに影響を与えている」と、作品自体やフリーレンというキャラクター自体の深掘りにつながったとする意見のほか、中には「よりED(エンディング)のお花の美しさが沁みた…」と、本編以外のところに着目する声も。確かにエンディングの映像では様々な種類の花が画面いっぱいに広がるような演出がされており、アニメの放送が始まった頃から“花畑”が象徴的なものとして描かれていたことが分かる。

また、一部のファンからは『初回2時間スペシャルでの“特別エンディング”』を「ぜひもう一度見直して欲しい」との声が上がっている。実はその映像内に、木陰で1冊の本を読むフランメの様子が描かれているのだが、その本の内容が〈花畑を出す魔法〉を想起させるものとなっているのだ。もしも初回放送を録画している人がいれば、今一度確かめてみて欲しい。

次回からはアウラとの戦いを終えたフリーレンたちの新しい旅が始まる。『葬送のフリーレン』第11話「北側諸国の冬」は、11月17日(金)よる11時「FRIDAY ANIME NIGHT(フラアニ)」(全国30局ネット)にて放送予定。

【※11月17日(金)23時30分 情報更新】

TOHO animationの公式YouTubeチャンネルにて、金曜ロードショー初回スペシャルのラストを飾った特別エンディングアニメーションが公開された。〈花畑を出す魔法〉を思わせるフランメのシーンを確認する機会がさっそく訪れた。

Evan Call 氏の作曲・編曲、miletの作詞・歌唱による特別テーマ曲「bliss」に乗せたこの映像は、これまで数多くのアニメ作品に参加してきた名アニメーター・吉成鋼氏が、絵コンテから作画、仕上げまですべてを担当して制作したもの。まるで絵画のような風合いの絵が印象的な映像に仕上がっている。

▶︎『葬送のフリーレン』特別 ED アニメ―ションはこちらから:https://youtu.be/5Ufj38W6-o4

画像提供:©山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

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