安藤サクラが記憶を無くした“息子”をフォロー！？高畑充希はカンヌ行きならず留守番に…

カンヌ国際映画祭に出品が決まった映画『怪物』の完成披露試写会が5月8日に行われた。登壇したのは主演の安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太をはじめ、高畑充希、中村獅童ら豪華キャスト陣、そして監督の是枝裕和、脚本家の坂元裕二だ。

物語の舞台となるのは大きな湖のある郊外の町。安藤サクラが演じるのは息子を愛するシングルマザーだ。小学5年生の息子・湊役は現在中学生の黒川想矢。その友人の依里役は柊木陽太。フレッシュな子役2人はオーディションで選出された。永山瑛太は湊・依里の通う小学校の担任教師という役どころだ。

発端となるのは子ども同士のケンカ。よくある無邪気な争いと思いきや、彼らの主張は食い違い、次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子ども達はこつ然と姿を消した。

日本最高峰の才能が集結し描き上げる「怪物」とは何なのか。その結末に心を揺さぶられるヒューマンドラマだ。

■記憶を無くした黒川を大人たちがフォロー

発端となったのは司会が子役2人に投げかけた「撮影時は何歳でした？」という質問。ささいな問いに見えたそれは、監督やキャスト達を巻き込み、次第に大事になっていく。そして黒川が記憶を無くしていることが発覚した。

司会「黒川くんは撮影時は何歳だった？」

黒川「えっと、小学5年生…あっ6年生かな」

安藤「いま何年生？」

黒川「今が…」

永山「中1でしょ？」

安藤「だって撮影中に中学に進学してたよ(笑)入学式に行ったの覚えてる。それで入学式どうだった？ってしゃべった」

是枝「僕が(オ―ディションで)会ったのが小6で、撮影時は中1かな」

永山「撮影の春編をとっているときに小6で、夏編になったら中1」

安藤「オーディションは小5だったんじゃない？もっと前か？」

結局、この場では事実確認ができなかったものの、母親役の安藤や担任教師役の永山らキャスト、監督が黒川をフォローする微笑ましいやりとりが続き会場をわかせた。撮影時のプライベートの記憶がすっぽりと抜け落ちてしまっている黒川に対し、柊木は「僕は5年生でした」と、この質問に即答していた。

■是枝「オーディションは直感」子役2人の魅力は？

是枝監督が黒川、柊木の2人と初対面したのはオーディション。その時の様子について「オーディションは大体話をしながら、直感なんですよ。いつも直感で決めて、もうこの子と時間をかけて映画を作る覚悟ができたら、もうそれだけなんですけど」とコメント。

2人の魅力については、黒川は「横顔のラインが良かった」、柊木については「役にぴったりで、今回会った瞬間に、あっこの子なんだな。（役の）依里くんが登場したなと思いましたね」と話した。

また脚本家の坂元は、怪物のストーリーが自身の子ども時代の体験を基にしている部分があると明かし「ぼくが黒川くんの立場になってしまって恐縮なんですが、転校していった柊木くん…ちょっとややこしくなっていますが、その時の友達にちょっと似ていて、似ていると思い込んでいるだけかもしれないんですけど」と話すなど、2人とも素晴らしいお芝居で役に合っていると太鼓判。

■永山瑛太は黒川を焼肉に誘いアドバイス

永山は黒川について「想矢は作品に対しての思い、愛情が本当に深くて、自分のお芝居に対して深く掘り下げたいと言う思いをたくさん抱えていた」と話し、焼肉を食べたいというので、ジンギスカンを食べに連れて行ったというエピソードを披露した。

永山「ジンギスカンは食べたことないって言って、無理やり食べさせたのは悪かったなと思ったんですけど（笑）でも生まれて初めて食べたのは僕と一緒でよかったなと。僕としては食べさせてあげて良かったなと思っています」

黒川「はじめての休日の時に、ドライブに誘って下さって“自分がどう演技するということじゃなくて、役者さんは基本、監督の脳みその中にあるものを表現するんだよ”っていう事を教えてくれて、本当に…響きました」

■高畑充希はカンヌに行けず留守番に

映画『怪物』はすでに「第76回カンヌ国際映画祭」コンペティション部門に選出され、正式出品が決定している。カンヌ行きは主演の安藤にとっては『万引き家族』に続く2度目。永山は映画『一命』以来、２度目となるカンヌ行きについて「一生のうちに何度も行ける場所じゃないので堪能したいと思います」と話した。

一方、司会から「カンヌに行く予定のない方は？」と聞かれると、中村獅童と高畑充希が挙手。ところが中村は、実は別の作品（北野武監督の映画『首』）でカンヌに行くことが決まったと告白。高畑は「私だけ(留守番)ですね。テレビで観ます。応援します」と苦笑いだった。

怪物
6月2日（金）全国ロードショー
©️2023「怪物」製作委員会
配給：東宝 ギャガ
監督：是枝裕和「万引き家族」
脚本：坂元裕二「花束みたいな恋をした」
音楽：坂本龍一「レヴェナント：蘇えりし者」
出演：安藤サクラ　永山瑛太　黒川想矢　柊木陽太　高畑充希　角田晃広　中村獅童　田中裕子

写真：©entax