アーティスト・宮野真守 “ハイトーンの熱い歌声”でアニメ『THE MARGINAL SERVICE』の主題歌熱唱

2023.4.27 22:00

声優で俳優、そして歌手の宮野真守が4月28日(24:59~)放送の『バズリズム02』に出演する。番組で歌唱する楽曲『Quiet explosion』は、今注目のオリジナルTVアニメ『THE MARGINAL SERVICE』の主題歌で、宮野は主人公のブライアン・ナイトレイダーのCV(キャラクターボイス)も担当している。「今までの楽曲の中でも、かなりチャレンジ」と語る宮野にentax取材班が独自取材をした。

■ハイトーンの熱い歌声で、作品のヒリヒリした空気感を表した

――今回『バズリズム02』で宮野さんが歌唱される『Quiet explosion』は、イントロの力強い第1声からエモーショナル全開のロックチューンとなっています。宮野さんは、『Quiet explosion』でアニメ『THE MARGINAL SERVICE』の世界観をどのような形で表現していますか?

宮野:楽曲の制作を始めたときは『THE MARGINAL SERVICE』はシナリオが完全に組み上がっていない状態でした。でも、いただいた企画書には最初からしっかりとしたオリジナルの世界観が描かれていたんです。そこからアニメ制作側と、オープニングテーマとしてどういう雰囲気の楽曲が必要であるかを打ち合わせして制作を進めていきました。

アニメ側からは「ロックで、激しいアクションが行われる世界観だからこそ、破壊や創造といった、強い言葉を使ってほしいです」というオーダーをいただいていました。でも最終的には、「宮野さんの音楽制作の流れで作っていただいて構いません」と仰っていただいて。僕としては、破壊とか打破していくといったイメージの楽曲は、自分が若かりし頃にやっていた世界観だな、と思って。だからそれプラス、大人になった自分が描く作品としては、もう1つ『人知れず』というテーマを設けてみようかなと考えました。というのも、『THE MARGINAL SERVICE』は人知れず活動をしていくという組織の話でもあるので、人知れず戦っているキャラクターたちの姿を想起させながらも、われわれが日常生活で抱えているような思いにも何かフィットできたら、とても素敵なメッセージになるなと思ったんです。

――日常生活で抱えているような思いとは?

宮野:誰しもが人知れず思いを抱えて、自分の目標だったり人生の野望だったりに向かって炎を燃やしているわけじゃないですか。ビッグマウスになるわけではなく、真っ直ぐ自分のお仕事だったり、勉強だったりとか。にそういった、外からは激しく見えないけれど、内に激しいものを持っている、そんなところにフォーカスできたらとても素敵なんじゃないかな、と考えたんですね。

それでロックサウンドでも疾走感ではなく、あえてグルーヴ感の強い、テンポはゆっくりで重厚感のあるサウンド感して。聴いた人の背中を押せるような、指針になるようなメッセージ性も込められたら良いんじゃないかな、と思って制作を進めていきました。

――『Quiet explosion』というタイトルも静かなる爆発という意味で、その言葉選びにとてもリンクしていますね。

宮野:僕がたくさんの楽曲を一緒に作らせていただいているsty(エス・ティ・ワイ)さんに、今お話ししたような僕の思いを伝えたところ、『Quiet explosion』 というタイトルを設けてくれたんです。styさんからいただける感性から広げられるものはいつも非常に大きくて。ワンコーラスのデモの出来が本当にすばらしかったので、それをより深く掘り下げていこうという話をして作っていきました。

――レコーディングにおいては、どんなところにこだわられましたか?

宮野:「大人になった今、描ける楽曲」といったことをテーマにしたんですけれど、楽曲自体は実は今までの中でも相当ハイトーンで、結構チャレンジなんです。

決して簡単な曲ではないので、ハイトーンで絞り上げるように歌い上げながらも、歌のテクニックは細かく入っていたりします。疾走感ではなくグルーヴ感のあるロックだからこそ、フェイクがふんだんに入っていたりとか、細かいビブラートも入っていたりとか。そういう技術も多用しながら歌っていくのは、経験値がいろいろ積み上がってきたから今だからこその楽曲だなという思いはあります。

――この曲を聴いていて胸に迫ってくるのは、やはり宮野さんご自身が歌と戦っているからなんですね。

宮野:ハイトーンだからこそ、それが作品のヒリヒリ感というか、戦っている空気感を表現してくれたのではないかと思います。ただまっすぐ歌うというよりも、本当にいろいろな技術を使って頑張って歌うという感じですね。

styさんの楽曲は、いつも簡単ではないんですよ。 “宮野真守が歌える”ことを考えてくれながらも、“技術はふんだんに盛り込むよ”という気持ちを感じるというか。だから僕は実際に歌と戦いながら、満足のいく表現ができるように、常にブラッシュアップをさせていっているんです。

歌い方のテクニックに関して言うと、今回はロックですけども、その前の楽曲はソウルだったりとか、更にその前はめちゃくちゃR&Bだったりするんです。そこで“宮野はこういう歌いまわしもできるんだ”ということを2人の中にどんどんストックしていって。それがやはりすごく力になっていると思いますね。

■僕が演じるブライアンは、視聴者の皆さんがもっとも同調できるキャラクター

――『THE MARGINAL SERVICE』で、宮野さんが演じられるブライアン・ナイトレイダーについて、どのようなキャラクターであると解釈して演じていますか?

宮野:ブライアンは特殊な世界観にその身を置くのですが、実はその特殊なことをよく知らない人です。だから常にそこに驚きながらリアクションしていて。作品には独特な言葉がたくさん出てきます。《境界人》だったり、それこそ《マージナルサービス》という組織だったり。ブライアンは“なんだそれ?”という気持ちなんだけれど、自分にとっては、正しいことにまっすぐ進まなきゃいけないんだ、という正義感があるからこそ、無茶して巻き込まれていったりするんです。感情を表に出してくれるので、皆さんもその気持ちに同調できるんじゃないかなと思います。

――宮野さんご自身とはどんな共通点がありますか?

宮野:キャラクターを役者として演じるとなった時に、共通点というよりも、共鳴しようとする方が近いと思います。“ブライアンだったらどう感じるかな?”というところは、一緒に感じていけるので。だから共通点を探すというよりも、ブライアンの人となりをしっかりと構築させ、その人になっていくというか。僕が行う作業としては、彼自身を探るようにしています。

――今回はどのように探っていかれましたか?

宮野:原作のないオリジナル作品なので、どう探っていくかが難しいですよね。原作となるのは監督になるので、分からない点は監督にいろいろ聞くようにしていました。オリジナル作品だから決まっていないところもたくさんあるんですけれど、そこは自分で埋めていく作業をさせてもらい、ブライアンから出てくる言葉に嘘がないように向かっていければいいな、と思って。今後、彼自身のいろんな情報が出てくるので、そういう情報を元に僕自身も彼の大事にするものを探っていきました。

インタビュー記事2本目はこちら

【宮野真守 Profile】
1983年生まれ。埼玉県出身。2001年に海外ドラマ『私ケイトリン』の吹き替えで声優デビュー。以降、『DEATH NOTE』や『機動戦士ガンダム00』などで注目を集め、その後数々の話題作で主演を務める。歌手としては2008年にシングル『Discovery』でキングレコードよりデビュー。2009年から精力的に行なっているライブでは、歌声だけでなくダンスを取り入れるなど、エンターテインメント性の高いパフォーマンスに定評がある。日本武道館やさいたまスーパーアリーナでの単独公演を次々と開催し、大成功を収めている。

写真:©entax

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