wacciの新曲レコーディングに潜入!「日テレ系 こどもday」キャンペーンソング『ジグソーパズル』 尊い1ピースに託した勇気と希望を歌う
2023.4.6 21:00桜満開の都内某所でwacci(ワッチ)の新曲『ジグソーパズル』のボーカルレコーディングがあると聞き、entax取材班は潜入取材を決行した。『ジグソーパズル』は、日テレ開局70周年企画「日テレ系 こどもday JOIN! ~いっしょにつくる、ミライ~」のキャンペーンソングとして書き下ろされた。wacciと言えば昨年、『恋だろ』で第64回日本レコード大賞の優秀作品賞を受賞した注目の5人組バンドだ。彼らはどうやって心に沁みる楽曲を紡ぐのか。その様子をお届けしよう。
レコーディング前は「よく寝るようにしています」
『ジグソーパズル』は、ようやく屋外で楽しめるようになった今年のこどもの日に向け、wacciが特別に用意した楽曲だ。「みんなで笑顔になれるような、前を向けるような、未来を描けるような、そんなあったかい歌になればいいなとメンバーで話しました」とボーカルの橋口洋平は、別のインタビューの中で語っている。
wacciは、普段の生活の中で通り過ぎてしまう、何気なく素晴らしいことを表現するバンド。ベース・小野裕基、キーボード・因幡始、ボーカル・橋口洋平、ギター・村中慧慈、ドラムス・横山祐介が、おのおの音楽活動や就職などを経験し、20歳代後半で出会い結成。2012年にメジャーデビューした。
プロフィールには「人を励ませるほど立派なことはしてないし、勇気づけるほど格好よくもない」とあるが、俳優の松下洸平をはじめ彼らの音楽に勇気づけられたという人は少なくない。特に橋口が書く歌詞への共感はものすごい。例えば『恋だろ』のサビ。「性別も年齢も、家柄も国籍も」関係ないのが恋だろと綴られた歌詞は、ラブソングにして現代の社会や時代が映し出されているとSNS上で話題沸騰だった。
『ジグソーパズル』ではどんな情景が歌われるのか。期待を膨らませながらスタジオの入り口で待っていると、チェックのシャツを着た橋口が登場した。「お疲れさまです」と取材班に声をかけてくれたので、すかさず追いかける。
レコーディング前は緊張しないのか?準備体操やストレッチなどルーチンはあるのか?矢継ぎ早な問いかけに、「緊張はしないですね。ルーチンも、特にないですね。あっ、でもよく寝るようにしています。睡眠は大切ですよね」と答えながら、初対面とは思えないほど自然体の橋口がスタジオの中に入って行った。
何度も歌って納得のいく音を探る。手元には水2リットル
スタッフやレコーディングエンジニアたちと挨拶を済ませた橋口は、カバンを部屋の隅に置くと、机の上に置かれた2枚の紙を指さしながらディレクターと話し込み始めた。どうやら歌詞をギリギリまで推敲しているようだ。
書き下ろしの依頼から1か月半で今日のレコーディングを迎えている。「テーマがしっかりハマったので早くに書けた」と聞いているが、レコーディング直前に歌詞を変えることはよくあるのだろうか。ディレクターとの打ち合わせ後、なおも歌詞を見つめている橋口に聞いた。
「曲によって違いますね。今回は大きなところは早くまとまったけれど、細かい部分はずっと考えています。今日もスタジオに来るまで考えていて」そう言いながら、カバンから取り出したペットボトルのラベルを剥がし「撮影でうつっちゃまずいでしょ」と笑う橋口。取材班への配慮だ。
ペットボトルは水2リットル。そんなに飲むのかと思わず聞くと「レコーディングの途中になくなるのが嫌だから、これ持ってブースに入ります」と気軽に答えてくれたのだが、実は今日は、取材班のために外向きのテンションを装ってくれていたのだと後で知った。本人曰く「いつもはもっと暗い」。レコーディング前は1人で歌詞と向き合うので、あまり話はしないのだそうだ。真剣なレコーディング時にすみません、と恐縮至極の取材班は小さくなってレコーディングを見守ることにした。
レコーディングブースに入った橋口は、声出しを始める。何度か通しで歌うと、ボーカルが突出して聴こえるとマイクの交換を提案。レコーディングエンジニアとマイクのタイプについて検討し、付け替えて何度か歌ってみては、また付け替えてと、納得のいく音を探っていった。
wacciは曲をつくる際、橋口が歌詞と旋律をつくり、弾き語りしたものをメンバーが聴き、手を挙げた人がアレンジをするのだそうだ。『ジグソーパズル』はいろいろなアレンジの可能性があったため、3人がアレンジしてみた。結果、キーボード・因幡がつくったアレンジに決まった。そういう意味で『ジグソーパズル』は、いつも以上にこだわった曲ということになる。
こだわりが強くなるのには理由があった。書き下ろしの依頼を受けた際、日テレの「こどもday」に対する熱量がとても大きかったのだとか。それを受けて「僕らにできることは精一杯やりたいなと思って受けさせていただいたんです」と橋口は言う。
「こどもday」のキャンペーンテーマ、「JOIN! ~いっしょにつくる、ミライ~」には「こどもは、大切な社会の仲間たち」「こどもとおとながJOIN!して一緒につくるミライは、きっといまよりもっとおもしろい!」というコンセプトがある。橋口はそれを“ジグソーパズル”に見立てた。
「ジグソーパズルって1つ欠けたら、めっちゃ目立つじゃないですか。1ピースも欠けることができないものだし、1ピースの存在がすごく大きい。それに、似ているものはあるけれど、それぞれ形が違っている。今回のテーマにリンクすることがすごくたくさんあったんです」
そしてジグソーパズルに、こどもたちへのメッセージを詰め込んだ。「小さな1ピースの中に、はみ出すほどの夢を描こうというメッセージも入っているんです。なんかこう、枠にとらわれず、大きな夢を描いてほしいなと思いますね。そうしたら必ず、その枠外で同じ夢を持っている人に出会って、手を取り合っていっしょに夢を追いかけることもできると思う」
橋口は、昨年デビュー10年を迎えたwacciへの思いも詰め込んだようだ。「僕らのバンドも、そういう意味では同じ夢を5人で追っているところがある。それが仕事になっている自分たちのメッセージとして、『ジグソーパズル』をこどもたちに贈れたらいいなと思います」
前向きで希望のある歌ができあがった 「我ながら、いい曲になっていると思います」
気づけばスタジオには残りのメンバー4人も集まっていた。橋口がレコーディングした音源を全員で聴きながら意見交換をする。そうやってボーカルレコーディングが終了した頃、外はどっぷりと暗くなっていた。
仕上がりはどうかと橋口に問うと、「思ったより難しかったですけど、仕上がりはいいものになったのではないかなと思います。ずっとお世話になっているスタッフの皆さん、エンジニアの皆さんにいい形につくっていただいたので大丈夫。サウンドもかなり選び抜いて、こだわった曲になったんではないかな。王道のJ-popっていうか、僕らがずっと挑んできたことがちゃんと出ているかなと。我ながら、いい曲になっていると思います」
最後に改めて歌詞に込めた思いを聞いた。
「この先、大勢の中の1人であることを感じる瞬間っていうのがたくさんあると思うんですけど、その“1人”というのはすごく尊い1人で、世界にたった1人の自分なんだってことが伝わる歌なのかなと思っています。キラキラ感もあって、言葉もちゃんとこどもたちにも伝わる、分かりやすい言葉選びをしていると思う。とはいえ、こどもだけじゃなくて、おとなも改めて、自分自身の気持ちだったり生活と向き合うきっかけになるような、前向きで希望のある歌ができあがったなと思っています」
『ジグソーパズル』は、4月30日に配信リリースが予定されている。すっと心に届く言葉と音楽は、聴く人の心を5月の青空のように晴やかにさせるだろう。こどももおとなもいっしょに聴いて、歌ってほしい。
【「日テレ系 こどもday JOIN! ~いっしょにつくる、ミライ~」概要】
開催日:2023年5月5日(金・祝)こどもの日
日テレ系番組が「JOIN!」のコンセプトを体現するさまざまなコンテンツを発信。朝から晩まで家族そろって楽しめる、いつもとはひと味違う「こどもdayコンテンツ」を放送。
また、東京の日本テレビ汐留社屋では、5日、6日の2日間にわたり、お天気キャラクター「そらジロー」ファミリーによるステージショーや日本テレビアナウンサーによる読み聞かせコーナーなども開催。
【wacci Profile】
聴く人全ての「暮らし」の中にそっと入り込んでいけるようなPOPSを届ける5人組バンド。2022年4月にリリースした「恋だろ」は時代を反映した歌詞が10代を中心に支持されロングヒット。8カ月でST再生回数は1億再生、SNSでの関連動画の再生回数は3億回以上。同年LINE NEWS AWARDS2022『アーティスト部門』、第64回日本レコード大賞『優秀作品賞』を受賞。2023年は5月から全国ツアーを開催。ボーカル橋口洋平がほぼ全ての作詞・作曲を担当し、鈴木雅之・Uru・ジャニーズWEST・Hey! Say! JUMPなど、数多くのアーティストへの楽曲提供も積極的に行っている。
メンバー:小野裕基(Ba)/因幡始(Key)/橋口洋平(Vo.Gt)/村中慧慈(Gt)/横山祐介(Dr)
所属レコード会社:Sony Music Labels Inc.
所属事務所:キューブ
『ジグソーパズル』
作詞・作曲:橋口洋平
編曲:因幡始