【パリ五輪開幕直前！連載企画第3回】髙橋藍　準優勝と躍進したVNLを総括し、目前に迫ったパリ五輪に向けて自身が立つ現在地を語る

日本で最も注目されているアスリートの1人、バレーボール男子日本代表の髙橋藍（らん）選手。パリ五輪に向け大注目の“若きエース”のプレーだけでない様々な側面に迫る連載企画第3回。今回はパリ五輪を直前に控えた髙橋選手の心境を語ったインタビューをお届けする。

いよいよ目前に迫ったパリ五輪。その前哨戦（ぜんしょうせん）とも言えるVNL（バレーボールネーションズリーグ）で男子バレーボール日本代表は、決勝まで駒を進めフランスを相手に奮戦し優勝まであと一歩のところまで迫った。そんな話題の代表チームで、アイドル的人気を集めているのが髙橋藍選手。大会中に悪化したけがの影響で、今大会では思うようなプレーができなかったものの、大舞台・パリ五輪を見据えている。entaxではさらなる高みに向けて前を向く髙橋選手が、VNLを終えたばかりの今だからこそ語った率直な心境、そしてファンへの熱い思いを詳しくお伝えする。

◆大切にしているファンとの交流

6月にフィリピンで行われたVNL１次リーグで左足首の痛みが再発した髙橋選手。残念ながらポーランドで行われた決勝大会のコートに立つことはできなかったが、最後までチームに同行した。髙橋選手は「ポーランドでリハビリがてら、できる範囲で動いていこうっていうので、最終日はジャンプもしたりしたんで」と語り、「問題なく順調に回復している」とパリ五輪に向けて休養を取ったことをアピールした。

予選ラウンドでは福岡でも試合を行った代表チーム。ファンとの触れ合いも多く見られたなか、福岡からチームに合流した髙橋選手は「（合流した段階では）チームにも完全にフィットしてるというか、チーム作りの途中だったんですけど、日本のお客さんの前でやるのが一番楽しいなというか、一番力が出せるなというのはすごく感じた」と、自身の活躍を期待するファンの前でのプレーを振り返った。その際に設けられたファンとの交流イベントについては「何をするのかも聞いてなかった」そうだが、髙橋選手はこういった交流を大切にしているそうで「時間のある限りでしたけど、そういう（イベント）をやれてよかった」とうれしそうに語っていた。

◆異国の地で感じたバレーへの熱狂

「盛り上がりの次元が違った」と語った、続いてのフィリピン大会。現地の熱狂ぶりは凄まじかったようで、「歓声が会場入るだけですごい」と思い出を回顧。さらに試合だけではなく街中でも「声かけられる数も違いますし、朝も寝起きで“写真撮って”っていうのもありましたし、男子バレーの人気はすごいなと改めて感じましたね」とコメントした。コーヒーを買いに行くだけでも、注目を集めていたそうだ。

◆躍進をコートの外から見つめた決勝大会

ポーランドでの決勝大会ではコートの外からチームが躍進する姿を見ていた髙橋選手。「客観的に見れたことが今までなかったんで、冷静に代表を見て強いなってシンプルに思った」そうで、自身はもどかしい状態であったがチームの状況や試合展開を新鮮な角度で分析できたようだ。「一番チームを作っていた段階で、出られないっていうのはもったいなさがあった」というが、「チームのそばでコミュニケーションを取りたいし、自分が戻った時のイメージもしたい」と監督に直訴し、最後まで動向したVNLでの収穫は決して少なくない。大会を総括した髙橋選手は「一番いいチョイスをした」と締めくくった。

◆初めての“有観客”五輪も、開会式には参加できず…

パリ五輪が近づくなか、現在の心境について髙橋選手は「頭の中ではパリに向けて気持ちを入れていかないといけないなって感じはありますけど、まだそこまでは実感していない」という髙橋選手。前回の東京五輪からの集大成となる大会について「オリンピックに向けて3年間、いろんなことを犠牲にしてもバレーにつぎ込んできたんで、ここにかけてる思いは違う」という。さらに自身だけでなく、チーム全体の成長にも自信をのぞかせ、「チームが勝つということに期待してほしい」と胸を張った。

前回大会は無観客で行われたためファンの前でのオリンピックは初めてとなるが、髙橋選手は「すごい楽しみ」と前回とは違う雰囲気に期待を高める。一方で初戦が開会式の翌日朝に行われる影響で、開会式には出席できないことに対しては「開会式が一番楽しみなのに」と残念がった。東京五輪の際も、開会式の翌日に試合を控えていたため2大会続けて開会式に出られないそうだ。

最後にファンに向けてのメッセージとして、「みなさんの応援が常に自分のところにも届いていますし、いつもみなさんに支えられて自分自身もバレーボールを頑張れているのかなと思います」とコメントした髙橋選手。「パリではまた成長した姿を見せられると思いますし、みなさんの期待に応えられるようにメダルっていう目標を達成できるように頑張ります」と、大舞台での活躍を誓った。待ちに待ったパリ五輪の舞台、VNLから勢いに乗る男子代表チームに、さらなる進化を遂げた男が帰ってくる。

写真提供：©Ran Takahashi official supporters club