『サマーウォーズ』劇場公開15周年記念フィルムコンサート“生演奏”で世界観を “完全再現”…リバイバル上映決定にSNS「これは行くしかない!」

2024.7.23 11:00

細田守監督が手掛けるアニメーション映画『サマーウォーズ』(2009年)の公開15周年記念プロジェクト第1弾として『サマーウォーズ フィルムコンサート』が6月30日に「東京国際フォーラム ホールA」(千代田区)で開催された。作品を彩った音楽が全身を包み込む唯一無二の120分。大スクリーンで上映される映画全編と共に、映画を彩る楽曲の数々が電子楽器とフルオーケストラの生演奏で“完全再現”。生の音楽を体感した観客からは、映画の世界に入り込んだかのような“没入感”や“かつてない”映像体験”に、大きな拍手が起こった。さらに、本作は『15周年記念リバイバル上映企画』として7月26日(金)より全国の映画館で2週間限定で上映されることが決定している。

映画『サマーウォーズ』は、2009年8月1日に公開された細田守監督によるアニメーション映画。本作はふとしたことから片田舎の大家族に仲間入りした、物理部に所属し”天才的な数学力を持つが内気な少年”主人公・小磯健二(CV:神木隆之介)が、憧れの先輩・夏希(CV:桜庭ななみ)と夏希の実家であり、戦国時代から続く名家、総勢27人の大家族・陣内家とともに、インターネット上の仮想世界OZ(オズ)から勃発した世界の危機に一致団結して立ち向かう物語。インターネットと田舎の大家族という全くかけ離れたモチーフをもとに、豪快なバトルと繊細な人間ドラマで魅せる夏のアクション映画。公開されてからも、夏になると地上波放送やポップアップストアの展開がされるなど、15年間色あせることなく愛され続けている作品である。

“サマーウォーズファン”で満員となったフィルムコンサート会場

本作は「インターネット上の仮想世界」と「現実の世界」の“対比”と、徐々に「1つの世界」のように“融合”していく展開が印象的。その2つの世界の“対比”と“融合”は、物語に引き込まれる魅力のひとつで、音楽でもはっきりと表現されている。フィルムコンサート当日は、弦楽器や管楽器、シンセサイザーなど多数の楽器が巧みに使い分けられ、2つの世界の“違い”が表現された。劇伴を担当し、当日もシンセサイザーで音楽を奏でたのは、吉川晃司・サザンオールスターズなどのアーティストプロデュースや、『踊る大捜査線』シリーズの楽曲を担当した作曲家・松本晃彦。さらに、和田一樹を指揮者に迎え、新日本フィルハーモニー交響楽団と松本の演奏によって『サマーウォーズ』の世界が完全再現された。

松本晃彦

OZの世界を紹介するシーンから本作は始まる。OZアカウントのキャラクターたちが飛び交い、「OZとは何か…」と未来を想像させる映像を、より彩りワクワクさせたのは、シンセサイザーとドラムの音が軽快に弾む『仮想都市OZ』。心躍る音楽に、一瞬にして観客を『サマーウォーズ』の世界へ引き込む。そして、物語の始まりともいえる、夏希先輩が健二をバイトに誘い、陣内家へ旅行に行くシーンへ。「募集人員、1名なの!」という夏希先輩のセリフが合図かのように、壮大なオーケストラサウンドで『Overture of the Summer Wars』が流れ始める。慌ただしく都会から長野県へ向かう2人の様子やOZ内の戦闘シーンを激しく表現。さらに、田舎にある陣内家に着くと、自然やゆったりとした時間を感じさせるような壮大なメロディーへ。映像とリンクした緩急のある音楽で、圧巻のオープニングとなった。

OZの格闘世界チャンピオン キング・カズマ

“OZ内”の乗っ取り事件でなぜか健二が捕まってしまう。陣内家で過ごした時間が「すごく楽しかったです」と伝えるシーンでは『健二』が流れ、切なくも美しいピアノの旋律がしっとりと響き渡る。そして、“現実世界”でもさまざまなトラブルが起き、陣内家の栄おばあちゃん(CV:富司純子)は家族や旧友たちに電話をかける。「諦めないことが肝心だよ!」「あんたならできる!できるって!」と、多くの頑張っている人を励ます名シーンで流れるのは『栄の活躍』、本作のメインテーマとなるメロディーが初めて登場。栄おばあちゃんの“強さ”や“温もり”が陣内家を団結させる様子が、冒頭のピアノが軸となり、弦楽器の繊細なピッツィカートの響きをのせ、徐々にオーケストラ全体に融合してゆく力強い生演奏によって表現された。

その夜明け、持病が悪化した栄おばあちゃんは亡くなってしまい、にぎやかだった陣内家から笑顔が消え、静まり返る。そして、栄おばあちゃんとケンカをして出ていった侘助(CV:斎藤歩)が、栄おばあちゃんの死を知るシーンで流れたのは『手紙』。夏希が見つけた遺言が、栄おばあちゃんの声で読まれていく中、ピアノの音色のみでゆっくりと奏でられ、まるで栄おばあちゃんの“家族への思い”に1音1音が寄り添い、包み込むような演奏だった。

栄おばあちゃん

OZ内の乗っ取り事件の犯人であるAIの“ラブマシーン”は、多くのアカウントを飲み込み、強くなっていく。アカウントを奪い返すため、お互いのアカウントを賭け、夏希はラブマシーンと“花札”で戦うことに。敗北寸前となってしまったその時、戦いを見ていた全世界の人々が次々と夏希にアカウントを授け、助けてくれた。その感動的なシーンで流れたのは、合唱曲『1億5千万の奇跡』。音源の合唱とピアノ、フルオーケストラの音色をのせた壮大な演奏が会場を包みこむ中、アカウントが増えていくように観客が腕に付けていたバングルライトが光り始め、客席を彩り、会場の一体感を誘った。

客席は、観客が腕に付けていたバングルライトの無数の光で彩られた

最後に健二が粘り強く戦い、大活躍するクライマックスでは、メインテーマをこれまでで最も盛り上がるアレンジで表現した『The Summer Wars』が流れる。ラブマシーンと幾度も戦う健二の必死な姿や力強さを、徐々に豊かに広がる演奏で表現。映像とリンクした臨場感のある音楽に思わず手に汗をかくほど。そして、健二が鼻血を流しながら「よろしくお願いしまぁぁぁすっ!!」と叫び、エンターキーをたたく名シーンでは、心の中で一緒に叫び、拍手をした観客は少なくないはず。

健二が鼻血を流しながらも暗号を暗算で解読するシーン

本編が終了し、大きな拍手に包まれた会場。この一体感は、「『サマーウォーズ』が愛されているから」という理由ももちろんあるが、今までの映画鑑賞にはない 生演奏の“素晴らしく、迫力のある音楽”と“リンクする映像” を生演奏を通し体感することで、物語が伝えたい「仮想世界やSNSだけではなく、現実世界でも友達や家族、人とつながることの大切さ」が真っすぐに伝わったからではないだろうか。この、約2時間の『フィルムコンサート』は、『サマーウォーズ』が15年の時を経ても変わらず愛され続けることが証明された、素敵なコンサートとなり、本作15周年プロジェクトの開幕を盛大に彩った。そして、7月26日(金)から、リバイバル上映企画として、2週間限定で本作の全国上映がスタートする。『サマーウォーズ』が 映画館に帰って来ることにSNSでは「これは行くしかない!」「夏といえばサマーウォーズ!夏がやって来るぞー!」「最高!有給取って観に行く!」「3回は観に行きたい」など、歓喜の声が多く投稿されている。

『サマーウォーズ15周年記念リバイバル上映企画』
7月26日(金)より、全国の映画館で2週間限定上映
8月23日(金)4DX上映(※一部劇場にて上映)

<公式サイト>
<スタジオ地図 公式X>

写真:星野麻美

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