アニメ『葬送のフリーレン』 武道僧クラフトが意外な形で再登場 驚きの“正体”に視聴者から「まさか」の声

2023.12.28 06:30

12月22日に放送されたアニメ『葬送のフリーレン』第16話『長寿友達』では、400年以上生きるドワーフ『フォル爺』とのほっこりエピソードが描かれたほか、僧侶ザインが探す親友の手がかりをついに発見。足跡を追っていく中でフリーレンたちは、かつて猛吹雪の山小屋で出会った武道僧(モンク)クラフトと“意外な形”で再会することとなる。見事なまでに鍛え上げられた肉体からかなりの名のある人物ではないかと予想されていたクラフトだったが、その正体は実に驚くべきものだった……。第11話『北側諸国の冬』(11月17日)の放送以来、約1か月ぶりの“伏線回収”に、視聴者からは「まさか」の声が相次いだ。

(以下、アニメ最新話までのネタバレを含みます)

◆親友の足跡

勇者ヒンメルの死去から29年後。“一級魔法使い”の資格を得るため魔法都市オイサーストを目指すフリーレン一行は、田畑が続く北側諸国ローア街道で一息ついていた。ふと見ると、畑作業をする地元の人にザインが何やら尋ねごとをしている。

彼の旅の目的は、10年前に故郷を旅立った親友を見つけること。ザインが親友の手がかりを探すとき、その手にはいつも銀色のロケットペンダントがあった。「写真か?珍しいな」。シュタルクがザインの手元をのぞき込む。中には、笑顔で肩を組む若かりし頃のザインと親友の写真。この世界の写真は、魔法を使って被写体を宙で切り抜くようにして撮影する。ザインのそれも昔、故郷の村にやってきた魔法使いに撮ってもらったものだった。これまでの聞き込みでも、ザインはこの写真を使い、いくつかの目撃情報を得ることができていた。

だがここで、シュタルクにある疑問が浮かぶ。「10年前だろ?よく目撃情報が残っているな」。確かに写真があるとはいえ、人間にとって10年はかなりの長さだ。しかしザインは、さも当然のように答える。「名前が特徴的だからな。インパクトが強い」。聞くと、親友の名前はなんと「戦士ゴリラ」だった。ザインいわく、本名は覚えていない。昔から村のみんなもそう呼んでいたし、そもそも本人がそう呼ばせていたという。

「ちなみに俺は、僧侶アゴヒゲ」。ザインはゴリラの名前に加え、自身のあだ名も誇らしげに名乗ってみせる。「アゴヒゲ生える前からそう呼ばれてたの?」。フリーレンがちょっと楽しそうに聞いた。不毛な会話に、フェルンは1人うんざり顔だ。「どちらにせよ、戦士ゴリラって名前だけ分かれば十分だ。あいつはどうせ、必ずそう名乗る」。親友の考えを熟知していたザインは「変なやつなんだ」と、穏やかな笑みを浮かべながら街道を進むのだった。

若かりしザイン(左)と親友の写真 僧侶アゴヒゲと戦士ゴリラだ

◆意外な“再会”

「この大峡谷を越えて1週間も歩けば、いよいよ魔法都市オイサーストだね」。先頭を歩くフリーレンが淡々と告げる。一方のフェルンは大魔族アウラとの激戦からこれまでの旅路を思い返し、「本当に長い道のりでしたね……」と眉をひそめる。すると峡谷にかかる石造りの橋までやってきたところで、ザインが“寄り道”を申し出た。「その前に集落に寄っていいか?ここで街道がいくつかに分岐するからな」。親友がどちらの方向へ進んだのか、その情報を手に入れるためだった。

峡谷を見下ろすように作られたその集落では、女性が染め物をし、子どもたちが戦士ごっこに興じていた。「10年前に『ゴリラ』って名乗る人、来なかった?」。ここでも同じように“ゴリラ”をヒントに尋ねて回るザイン。その名前のインパクトはやはり強かったようで、目撃情報はすぐに出てきた。どうやらゴリラは、村の近くに出た魔物を退治したようだ。さらに、戦士ゴリラと仲が良かったという『頑固婆さん』なら、彼のその後の足取りも知っているかもしれないとのこと。一行はさっそく、彼女が住む高台の家を訪ねたのだが……。

「ワシは頑固者でのう……。そう簡単に教えられん」。髪を後ろで束ねた小柄の老婆が険しい表情で4人を一蹴した。自分で名乗るとは、ウワサ以上の頑固者だ……。困り果てるザインたちを一瞥(いちべつ)して、頑固婆さんは続ける。「ワシの依頼をいくつかこなしてもらおう」。戦士ゴリラの情報を教えてもらう代わりに、一行は仕方なく彼女の条件を飲むことにした。

4人を一蹴さする頑固婆さん 小柄だが、その迫力は凄まじい

隣町の鍛冶屋に手紙を届け、果物を収穫し、巨大な“ニワトリ魔物”から卵を回収する……。頑固婆さんの依頼はなんとも多岐にわたった。「まるでお使いだな」。肩を落とすザインの傍らで、フリーレンはなぜか楽しげだった。「ヒンメルとの旅を思い出すね」。勇者一行の旅路では、こんなお使いみたいな人助けが日常茶飯事だったという。「頑張っておばあさんの心を開こうか」。珍しく前のめりなフリーレンにつられながら、3人は“お使い”をこなしていった。

……しかし、頑固婆さんはなかなか心を開かなかった。「ごめんね。ヒンメルやハイターだったら半日くらいで打ち解けているはずなのに」。勇者ヒンメルのパーティと比べ、フリーレン一行には不器用者しかいなかったのだ。それでも4人は、なんとか“最後の依頼”にたどり着く。それは峡谷にある英雄の像を磨くこと。勇者ヒンメルとは違う像のようだった。はるか昔に世界を救ったとされるが名前は分からない、忘れられた英雄の石像だという。「忘れられた英雄か……」。ザインには何か、思うところがあった。

頑固婆さんに案内された場所には、2人の像が互いに背中を預けあってたたずんでいた。1人は書物を抱えた僧侶、もう1人は剣を携えた戦士。「なんだかザイン様とゴリラ様に似ていますね」。像の風体からフェルンが率直な感想を漏らす。しかし、隣にいたフリーレンは別の印象を受けていた。よく見ると、確かに僧侶の像はザインのようにアゴヒゲをたくわえていたが、筋骨隆々な戦士の像は長い耳を持つエルフだった。「あっ」と、フリーレンが思わず声を上げる。「……クラフトだ」

大魔族アウラを倒し、グラナト領を出た一行が吹雪の中で出会った武道僧(モンク)クラフト。山小屋でひとり、半裸でスクワットをしていたところに遭遇したのが今では少し懐かしい。「ほんとだ」「瓜(うり)二つです」。フリーレンの言葉に、シュタルクとフェルンもクラフトの姿を思い出す。意外な形での再会に3人が呆気(あっけ)に取られていると、ザインがゆっくりと像に近づき、つぶやくように言った。「……なるほど。この人はクラフトって名前なんだな」。どうやらザインも、このクラフトの像に縁があるようだった。

武道僧(モンク)クラフト その鍛え上げられた肉体を見たシュタルクは「いい体してるな」と見惚れていた(画像は第11話より引用)

◆忘れられないために

クラフトとおぼしき像を見上げながら、ザインは幼き日の光景を思い返していた。これと同じ像を前にも見たことがある。聖都からやってきた僧侶ハイター、そして親友のゴリラとともにその像を見上げていた。ゴリラは村長から、その像が「大昔の英雄だ」と聞かされていたが、誰も名前すら覚えていないことに憤りのようなものを感じていた。だからこそ、彼は誓った。「俺たちはこうはならねえ。忘れ去られるだなんてごめんだ。勇者ヒンメルみたいな、忘れられない英雄になる」

ハイターはふふっと笑うと「どんな英雄でもいつかは忘れ去られます。きっと魔王を倒した勇者ヒンメルも例外ではないでしょう」と、ゴリラを優しく諭す。ザインはその言葉に納得せざるを得なかったが、ゴリラは違った。筋骨隆々な像の前に立ち「俺も鍛えればこれくらいいくかな?」と、自身の体と比べ始めたのだ。そして自信満々に宣言する。「戦士ゴリラ。俺は今日から、そう名乗る!忘れられない英雄を目指すなら名前のインパクトは大事だろ?」。どこまでも前向きなゴリラにハイターは、今度はあっはっはと大きく笑ってうなずいた。ゴリラが戦士になるのなら、ザインは……。ハイターはアゴヒゲをたくわえた僧侶の像にならって、「では、あなたは『僧侶アゴヒゲ』ですね」と、ザインにもあだ名をつけたのだった。

ーー気付けば、辺りは一面夕焼け色に染まっていた。「やっと終わった……」。腰を押さえてぼやくザイン。すっかりきれいに磨かれた英雄たちの石像を見て、頑固婆さんは10年前を振り返る。実は戦士ゴリラにも同じ依頼を頼んだのだが、ここまで上手くは仕上げられなかったという。「あいつは戦いしか取り柄がない」。淡々と親友のことを語るザインに、頑固婆さんはニヤリと笑みを浮かべて言った。「でも名前のインパクトはバッチリだったよ。ゴリラはあんたのこと、よく話してたよ。一緒にずっと歴史に名を残すような英雄になるってね」

ザインはハッとした。頑固婆さんは戦士ゴリラだけでなく、『僧侶アゴヒゲ』の名前も知っていた。それは『忘れられない英雄になる』と誓った親友のゴリラが、自分の名前だけでなく、アゴヒゲの名も残してくれていたことにほかならない。そして10年経った今、まさにそれが証明されているのだ……。

その後、ザインは頑固婆さんからゴリラの足取りを聞くと、一足先に出発の準備をしていたフリーレンたちの元へやってくる。だが、足取りはつかめなかったのだろうか?彼はなぜか複雑な表情を浮かべていた。不思議に思ったフリーレンが「ゴリラの行き先、分かった?」と尋ねると、ザインはためらいがちに「……テューア」と答えた。それは北側諸国中部に位置する交易都市の名前。フリーレンたちが目指す魔法都市オイサーストとはなんと反対方向だった。「どうしたもんかね」。ため息をつくように、ザインはただ寂しそうに笑った……。

若いフェルンたちにアドバイスを送るなど、ザインはパーティの“お兄さん”的な役割も担っていた(画像は第14話より引用)
眠りの呪いを操る魔物との戦いでは、単騎で強敵に挑む場面も(画像は第15話より引用)

◆“クラフトの再登場”、“戦士ゴリラの由来”…… インパクトのあるエピソードに反響多数

第11話『北側諸国の冬』(11月17日)の放送以来、約1か月ぶりに“再登場”した武道僧(モンク)クラフト。SNS上では「あのモンクのクラフト……?」「再登場するとは思わなかったよ」など、喜びながらも突然の展開に困惑する声が上がった。

だがクラフトは自身の謎多き過去を明かさないままフリーレンたちと別れたこともあり、今話の中で“大昔の英雄”であることが明かされると「まさか“英雄”クラフトだったのか」「実際にすごいやつだったんだな」「当時は戦士だったんだ」など、その素性を知って感動するファンが多かった。

また、今話で語られた“戦士ゴリラの名前の由来”も注目を浴びた。まるでとってつけたようなその名前は、当初こそ視聴者から「笑える」などとコミカルな印象を持たれていた。しかしその由来が「決して忘れ去られないように」という少年の願いから来ていたことが明かされると、「納得!」「確かにインパクトあって名前忘れんね」「子ども故の期待が大きい感じがして好き」など、称賛の声が飛び交った。

そして、すでにフリーレン一行との冒険も板に付き、ときに“シュタフェル”を見守る良きお兄さんとして今後も活躍が期待されていたザインに選択の時が迫る……。親友の手がかりを追うためにはフリーレンたちと別れなければならないこの状況で、果たして彼はどの道を選ぶのか。

『葬送のフリーレン』第17話『じゃあ元気で』は、2024年1月5日(金)『FRIDAY ANIMENIGHT(フラアニ)』(全国 30 局ネット)にて放送予定だ。

画像提供:©山田鐘人・アベツカサ/小学館/『葬送のフリーレン』製作委員会

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