アニメ『範馬刃牙』OPを歌うSKY-HI「刃牙って勇次郎のことをこんなに好きなんだな」

2023.8.25 20:00

秋田書店『週刊少年チャンピオン』連載中の『刃牙』シリーズは、主人公・範馬刃牙(はんま バキ)と“地上最強の生物”と呼ばれる父・範馬勇次郎(はんま ゆうじろう)との壮絶な死闘を軸に様々な格闘士たちの闘いを描く大人気格闘漫画。

アニメ『範馬刃牙』1期と2期<外伝ピクル+野人戦争編>はNetflixにて世界全話独占配信中。そして8月24日より<地上最強の親子喧嘩編>の世界全話独占配信が開始されている。さらに2023年10月1日(日)よりTOKYO MXほかにてTV放送も開始される。

©板垣恵介(秋田書店)/範馬刃牙製作委員会

そこで今回は<地上最強の親子喧嘩編>で主題歌を歌うSKY-HIと原作者の板垣恵介先生のオフィシャル対談リポートをお届けする。

■“喰らう”ということをどう書くか考えた

——まずは、楽曲制作の経緯を伺えますか。

SKY-HI:お話をいただいた段階で、親目線と子目線での1曲ずつを制作させてもらえるということでした。刃牙シリーズの話題って、主人公の刃牙以上に父親である範馬勇次郎の話で盛り上がることが多いと思うんですよね。勇次郎の曲を書かせてもらうことに対するプレッシャーはもちろんありましたが、彼の気持ちにシンクロする作業はとても楽しかったです。あとは自分の人格と乖離(かいり)しないように……、自分の人格を保ちながらちゃんと勇次郎の歌になるようにと強く意識したことは覚えています。なんというか、コスプレにしたくなかったんですよね。自分の歌として自立していないと、勇次郎の歌として不適格なのでは、という思いはすごくありました。

©板垣恵介(秋田書店)/範馬刃牙製作委員会

——タイトル『Sarracenia』は食虫植物のことですが、ここに込めた意味は?

SKY-HI:サラセニア(食虫植物)は花言葉が“風変わり”“変わり者”なんです。世の中から変わり者と見られるか、それとも自分が正しくて世の中のほうが変わっていると捉えるか。そういう考え方を、勇次郎から教わりました。そして“喰う”ということをどう書くかは、楽曲を作る上で1番気にしたところかもしれません。強い人を表現する歌で、“強い”と言ってもしょうがない。勇次郎を表現する上で“喰らう”ということをどう書くかと考えたときに、サラセニアはしっくりきましたね。他の生き物を喰らって生きることは、人間は当たり前にやっているんですけど、一人称が植物になると一気に怖く見える気がするんです。食虫植物が怖く見えるのって、すごく不思議で。人間のほうがどちらかというといろんなものを食べているのに、一人称を植物に置き換えると急に恐怖が湧いてくる。勇次郎も漫画の登場人物だからみんな楽しんでいるけど、リアルにいたら本当に怖いと思うんです。

©板垣恵介(秋田書店)/範馬刃牙製作委員会

板垣:今、「強いから、強いと言ってもしょうがない」と言っていたけど、確かニーチェだったかな、「オリジナルとは何なのか」ということに関する定義を言っていて。人がやらないことをやったとしても、それはただの変わり者。とっくにみんなが気づいてたものをまるっきり違う価値観で見せることができたときに、オリジナルと称えられるんだ、と。SKY-HIくんの話を聞いて、そのことを思い出しました。

■父親が1番聞きたいのは「お見それしました」

——板垣先生は、楽曲を聴いていかがでしたか?

板垣:いやぁ、カッコイイね!本人と声のイメージが、全然違っていて驚いたよ。

SKY-HI:よかったです。存外に、高い声を出しております(笑)。

——エンディングの『Salvia』には、どのような思いを込めたのでしょうか?

SKY-HI:刃牙目線で勇次郎のことを歌っているんですが、改めて「刃牙って勇次郎のことをこんなに好きなんだな」と感じました。“愛憎入り混じる”とは言うけど、愛の部分はシンプルに書きやすかったですね。刃牙って、連載開始からあんなに勇次郎のこと好きだったんですか?

©板垣恵介(秋田書店)/範馬刃牙製作委員会

板垣:多分、本人も気づいていなかったんじゃないかな。原点は、母親が勇次郎に殺されたというところから始まって。

SKY-HI:そうですよね。

板垣:でも描いているうちに、“どんどんリスペクトが入ってきているな”と。“自分の父親がこうあってほしい”という姿を、俺が投影しているんでしょうね。こんなふうにやりこめられたい。“やっぱり父親にはかなわないんだ”と感じるのは、快感もあるんだろうと思えて。師匠や先輩や父親など、“かつて見上げた存在を追い抜くことが恩返しになる”と言うけど、俺はウソだと思ってるから。一番聞きたいのは、“お見それしました”なんだよ。100歳になろうが、かないません、お見それしましたと言われせることが1番の孝行だと思うし、“とうとう俺を抜く奴は現れなかったな”と最期に言えるのは快感だと思う。

©板垣恵介(秋田書店)/範馬刃牙製作委員会

SKY-HI:うちの父は、そういうタイプです(笑)。

■娯楽として楽しんでもらえるのが1番

——『地上最強の親子喧嘩編』を心待ちにしているファンにメッセージを!

©板垣恵介(秋田書店)/範馬刃牙製作委員会

SKY-HI:普通に生きていると歯がゆい足りないみたいな枯渇した感情はある程度付き物ですけど、その枯渇を埋めようとする作業は人間として1番美しい瞬間のようにも思います。『範馬刃牙』は、その尊さを与えてくれる気がするんです。いささか刺激が強いかもしれないですが(笑)、この作品を見る前の人生とは全然違うものになる。『地上最強の親子喧嘩編』に携わらせてもらえることは、音楽の仕事を20年やってきた自分も“こんな瞬間が来るんだ”と感激していますし、みなさんと一緒に感激できたらなと思います。

板垣:作品の影響を受けたという人の話を聞くのは好きなんだけど、そこを目標に描いてるわけじゃなくて、娯楽として楽しんでもらえるのが1番かな。僕自身もアニメは自分の描いたものとはまた別だと思っているので、娯楽に徹して楽しみたいと思っています。

※インタビュー全文はアニメ公式サイトにて掲載

©板垣恵介(秋田書店)/範馬刃牙製作委員会

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