植草克秀ライブ・インタビュー「去年は俺が感動して泣いてしまった、今年はファンのみんなに感動してもらいたい」
2023.5.17 18:005月2日、植草克秀のソロコンサートツアー『KATSUHIDE UEKUSA 2023 MOVING ON 〜Second Season〜』がスタートした。少年隊のヒットナンバーや自身のオリジナル楽曲をひっさげ、1カ月間をかけて東京・名古屋・大阪を巡る。10代の植草をほうふつとさせる歌声やキレのあるダンスを披露するこのコンサートの模様は、今秋、CS放送「映画・チャンネルNECO」で放映予定だ。57歳を目前に、植草が歌い、踊り続けるのはなぜか。そのパワーはどこにあるのか。entax取材班は東京公演最終日、3時間超のライブを終えたばかりの植草に、直撃インタビューを敢行した。
――お疲れのところ、ありがとうございます。本日は、3日間にわたる東京公演の最終日。会場は最初からオールスタンディングで大いに盛り上がっていましたが、手応えはいかがでしたか?
昨日の2日目は2公演あって、「乗り切らなきゃいけない。乗り切らなきゃいけない」って念じる感じだったんですが、乗り切れたのはファンの皆さんのおかげですよね。
始まる前から「カッちゃん。カッちゃん」ってみんながコールしてくれるのが聞こえて。やっぱり、応援されるとアドレナリンがバーッと出てきて、やらなきゃいかんよねって(笑)。お客さんがいなきゃ乗り切れなかった。しかも、盛り上がってくれたから、すごく良かったな。
――結果、3時間超のロングステージでした。
そう。俺、いかれてるね(笑)。
落ち着こうって思ったんだけど、しゃべり出しちゃうと止まんなくなっちゃうんですよ。で、長くなっちゃった。
お客さんが喜んでくれたのならいいけど、自分的には全然面白くないんですよね。「また面白くないこと言っているな」って自分でつっこんでたりする。ジャニーさんに「YOUたちさ、ほんとうにMC面白くないよね」って言われてた。だからMC張り切っちゃうんだけど、でもよく怒られてたね(笑)。
――1曲目から連続で激しいダンスナンバーでしたが、息が上がる様子もなくキレッキレのダンスがすごかったです。ツアーに向けてどんなトレーニングをされましたか?
何もしていないですよ(笑)。でもそれって、ずっとやってきたことが今役に立っている。そのおかげだなと思うんですよ。
僕たち3人は、『ザ・ベストテン』(音楽番組、1978年から約10年間放送)とかに出たりする時は、毎回毎回違う踊りにチャレンジしていたし、生放送だから息が上がっても歌い続けないとダメっていうステージをずっと続けていたんですよね。昔からずっとやって来られたから、今できる。“今何かをやった”って言うんじゃないんですよね。これまでやってきたことってすごくありがたいって、今になって思うよね。
■ライブは自分を試す場 2シーズン目の本ツアーでは「皆さん、つっこんでね」
――昨年のツアーと比べて今年のツアーはここが違う! という点はありますか。
15年くらい皆さんの前で歌うことがなかった中、前の事務所を退所して初めてのソロライブが昨年。ファンの皆さんが見に来てくれるのかなってすごく心配だったし、昔の曲を歌って喜んでくれるのかなとか、いろいろ心配なことが頭をよぎってました。
それが、幕が上がるとみんながワーッと来てくれていて、最後まで盛り上がってくれて。その上、今日も最後に歌ったけど、最後の歌をみんなが一緒に歌ってくれた。俺、何も言ってないんですよ。なのに一緒に歌ってくれて。
「みんな、歌詞を覚えてくれているんだ」って、それだけで俺、感動しちゃって、泣いちゃったりしたんですが(笑)、今年は2年目なんで、俺が感動していたらしょうがない。ファンの人に感動してもらわないといけない。自分ががんばらなきゃ。いや、がんばったように見せなきゃって思っています(笑)。
――「がんばったように“見せる”」んですね(笑)。
そう。
俺、みんなを楽しませたり、喜ばせたりするのが大好きなんですよ。だから、例えば今回、スペシャルゲストで元光GENJIの佐藤(寛之)と山本(淳一)が参加してくれているけど、2人に何かしかけたり、ふざけたりしてね。そういうところをみんなが面白いって楽しんでくれることが大好き。
そのために周囲を気にするし、いろいろ考えるけど、それが“努力”なのかは分からないし、努力って言葉は嫌いだし、努力は人に見せるもんじゃないって思うから。“頑張ったようにみせる”って感じかな。
――この後、名古屋、大阪とツアーは続きますね。もうすぐ57歳の植草さんにとってライブとは何ですか?
皆さんとの交流の場であって、自分を試す場所であって、楽しみながら、みんなにつっこんでもらいたい場所ですね。
――自分を試す?
例えばね、ボールを蹴ろうと思った時に、自分の感覚よりボールが一歩先にあったってことがあったんですよ。一瞬「あれ?」って思ったけど、自分さえがんばればボールがある場所に行けるわけで、ボールを蹴られる場所に居れれば、それが多少、ためて前に出ても蹴られればいい。そんな感じですね。蹴られなくなったら辞めますよ。
57歳っていう年齢を見ちゃうと「あれ?」って思うけど、気にしなければいいんです。
――ボールを蹴られる場所に行く“がんばり”ができるか、自分を試す場なのですね。そして、お客さんからのつっこみを待っている?
そうそう、待っている!
待っているのに俺、「しゃべりかけるの止めて」とか言っちゃう(笑)。でもそう言いながら、またつっこんでくれることが楽しかったりするんですけど、俺のファンはみんな優しいんで言うことを聞いてくれるんですよね。
皆さん、ぜひ、つっこんでくださいね(笑)
■近藤さんから言われた「“みんなを、おまえがまとめるようにしろよ”って、このことかも」
――今回のライブは秋に「映画・チャンネルNECO」で放映されますね。今日は密着取材が付いていました。
昨日撮ってほしかったな(笑)。千秋楽って、必ずなんかやっちゃうんだよな。俺。
でもね。前の事務所の時って、ハプニングがあるとジャニーさんが喜ぶんですよ。「今の、ドキドキしたけど面白かった」って。ハプニングをどうやって面白く対処して、お客さんを楽しませるかっていうのもプロでしょって。そういうのが受け継がれてはいますよね。
――entaxでは、近藤真彦さんのディナーショーの取材やインタビューをよくさせていただくんですが、その際に近藤さんから植草さんの話がよく出てきます。今回のツアーについて、近藤さんからアドバイスなどはありましたか?
そういう意味では、以前近藤さんに会った時に「みんなを、おまえがまとめるようにしろよ」って言われたことがあったんですが、今回、山本と佐藤と一緒にやることになって、それって多分、こういうことだったのかなって思いますよね。
それに、近藤さんのコンサートを見ると「ここまでやられちゃうと、やらなきゃいけないじゃん」ってすごく思う。近藤さんがいるおかげでがんばれる。「よーしっ!」って思いますよ。
――2021年に独立されましたが、これからどんな植草さんを見せてくださるのでしょうか。
よく、ゴールってどこですか? って聞かれるけれど、絶対にゴールなんてあるわけないって思っています。
だって、進んでいるうちに右に行っちゃったり、左に行っちゃったりするでしょ。右に行っても左に行ってもいいけど、大事なのは先に進まなきゃいけないってことで、先に進むためにはかじをとる人間がしっかりしていなきゃいけない。
右を見るのも、左を見るのも勉強だし、右の方向で先に進むこともあれば、左の方向で先に進むこともある。また真ん中に戻ってくるかもしれないけれど、どっちに行ったかが答えじゃなくて、どっちに行っても、それが自分たちにとっていいことだったりとか、進む道であったりとか、間違ったことを引き戻してくれて「戻れ」って言ってくれる人がいることが1番大事だと思いますよ。
【植草克秀 Profile】
1966年生まれ。1985年、アイドルグループ『少年隊』としてデビュー。以降、35年以上にわたり人気ドラマやミュージカルなどの舞台で俳優や歌手として活動。「カッちゃん」の愛称で親しまれ、TBS系ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』では第2シリーズから約15年間出演していた。2020年末の前事務所退所後、新会社「2steps」を設立。ディナーショーやコンサートなどの音楽活動を積極的に続ける。
【『KATSUHIDE UEKUSA 2023 MOVING ON 〜Second Season〜』ツアー情報】
■東京 日本橋三井ホール
5月2日(火)18:00~
5月3日(水・祝)14:00~、18:00~
5月4日(木・祝)14:00~
■名古屋 DIAMOND HALL(ダイヤモンドホール)
5月18日(木)14:00~、18:00~
5月19日(金)14:00~
■大阪 なんばHatch
5月29日(月)18:00~
5月30日(火)18:00~
■「【2ヶ月連続】植草克秀 特集」番組情報
放送局:CS放送「映画・チャンネルNECO」(運営:日活株式会社)
●第1弾:2023年9月放映
自身2度目となるソロコンサートツアー『KATSUHIDE UEKUSA 2023 MOVING ON 〜Second Season〜』から、5月4日(木・祝)に日本橋三井ホールで開催された東京公演最終日の模様を収録。
●第2弾:2023年10月放映
『Backstage~植草克秀~』と題して、『KATSUHIDE UEKUSA 2023 MOVING ON 〜Second Season〜』のリハーサルから本番の舞台裏までを密着取材。