アニメ『葬送のフリーレン』が「アニメ オブ ザ イヤー」“二冠” 作曲家・Evan Call、日本のアニメ業界に感謝「夢のようなこと」

2025.3.12 18:45
福士裕一郎の写真

今年で開催12回目を迎える国際アニメーション映画祭『東京アニメアワードフェスティバル2025(TAAF2025)』の授賞式が3月10日(月)、東京・池袋にて開催。『葬送のフリーレン』や『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』『ルックバック』など、名だたる作品を手がけたクリエイターたちが登壇したほか、73の国と地域=1031作品の中から選ばれたグランプリ作品などが発表。約2時間にも及んだ本イベントは、多くの拍手と笑顔で包まれた。

東京アニメアワードフェスティバル実行委員会及び一般社団法人日本動画協会によって、3月7日(金)〜10日(月)まで開催された『東京アニメアワードフェスティバル2025(TAAF2025)』。“東京が、アニメーションのハブになる。”を合言葉に、高いクオリティとオリジナリティに富む世界中の作品を東京で上映することで、世界中のアニメーションを愛する人々との交流を図り、クリエイターや観客に刺激と感動を提供。アニメーションの新たな波を東京から世界へ発信している。

池袋・としま区民センターにて行われた授賞式の前半は、アニメーション業界に貢献した人々に贈る『アニメ功労部門』の顕彰と、日本国内で発表されたアニメーション作品を対象とした『アニメ オブ ザ イヤー部門』個人賞、作品賞、アニメファン賞の表彰を実施。

『アニメ功労部門』では、『NARUTO』の二代目火影・千手扉間や、『ポケットモンスター』オーキド博士(2代目)、『キングダム』王翦(おうせん)などの声で知られる声優・堀内賢雄(ほりうちけんゆう)ら7名が表彰された。

堀内賢雄らの写真
堀内賢雄(右)

かつて虫プロに所属したアニメーターで、後にサンライズを創業した同賞受賞者の一人・岩崎正美氏は、「あと4〜5年で90を迎える年になり、このような会に呼ばれるとは夢にも思っていませんでした。本当にありがとうございます」と感謝を述べるとともに、「僕はスケジュールが遅れていても絶対元に戻して見せるぞという自信は一番あったと思います。そのような中で、“巻き者の岩崎”と呼ばれるような状況になり、いろんな作品を作ってきました」と振り返った。

岩崎正美の写真
岩崎正美氏

「アニメ オブ ザ イヤー部門」では、アニメ『葬送のフリーレン』や『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の音楽を担当したEvan Call氏が【個人賞(音響・パフォーマンス部門)】を獲得したほか、【アニメファン賞】に『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が、【作品賞】に『葬送のフリーレン』(TVシリーズ部門)、『ルックバック』(劇場映画部門)が選出。同作監督の押山清高氏も【個人賞(監督・演出部門)】を受賞したが、この日は代理登壇となった。

Evan Call(エバン・コール)の写真
Evan Call氏

「皆さん、初めまして。作曲家のEvan Callと申します」と流暢(りゅうちょう)な日本語で挨拶したEvan氏は、幼少時代から“アニメが好き以上に好き”で、13年前に来日。当時、うまく日本語がしゃべれない自分を日本のアニメ業界の人々が優しく迎えてくれたおかげでここまで来られたと話し、「これからも、日本のアニメ業界で頑張りたいと思っています」と思いを語った。

また「こうして賞をいただくのは初めてなんですけど、『フリーレン』のスタッフの皆さんへの感謝の気持ちですごくいっぱい。こんなに情熱を持った方々と仕事ができるのは夢のようなことだとずっと思っている。『フリーレン』の現場でたくさんの方々の温もりと優しさを感じて、そのいい環境で私のベストを尽くせたことを本当にうれしく思っています」と笑顔を見せた。

古賀豪監督の写真
『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』古賀豪 監督
福士裕一郎の写真
『葬送のフリーレン』作品賞では、株式会社マッドハウス アニメーションプロデューサー 福士裕一郎 氏が登壇
大山良の写真
『ルックバック』作品賞では、株式会社エイベックス・アニメーションレーベルズ 代表取締役社長 企画・プロデュース 大山良 氏が登壇

授賞式後半、日本国内で未興行の世界のアニメーション作品を対象にした『コンペティション部門』では、短編・長編それぞれの『グランプリ』、『優秀賞』、『豊島区長賞』、『学生賞』を発表。グランプリ作品には小池 百合子都知事自ら登壇し、『東京都知事賞』を授与。「このフェスティバルをきっかけに、数多くのアニメーターが世界で活躍していることをとてもうれしく思います。アニメ・マンガは、世界各国で子供から大人まで愛されている、日本が育てているキラーコンテンツです。これからも、国内外に向けて、日本のアニメの奥深い魅力を、発信していきたいと思います」と語った。

小池百合子都知事らの写真
小池都知事と受賞者
堀内賢雄らの写真
受賞者による集合写真

<アニメ功労部門> 概要
アニメーション産業・文化の発展に大きく寄与した人を顕彰。制作現場における技術、表現、人材育成などの長年の功績をたたえるだけでなく、教育活動・国際交流など広くアニメーション産業の社会的地位の向上に貢献された人に対しても贈られる。

●岩崎 正美(プロデューサー) 代表作:『世界名作童話 アンデルセン物語』
●吉井 孝幸(プロデューサー) 代表作:『クラッシャージョウ』
●友永 和秀(アニメーター) 代表作:『ルパン三世 カリオストロの城』
●野中 幸子(色彩設計) 代表作:映画『ドラえもん のび太の恐竜』
●掛須 秀一(編集) 代表作:『人狼 JIN-ROH』
●鈴木 清司(音楽監督) 代表作:『それいけ!アンパンマン』
●堀内 賢雄(声優) 代表作:『機動戦士ガンダムZZ』(マシュマー・セロ役)

<アニメ オブ ザ イヤー部門> 概要
各年度の国内全上映・放送・配信作品から最も優れた作品・個人に、『作品賞』『個人賞』『アニメファン賞』を授与する。アニメファンの投票で、各年度の全上映・放送・配信作品より、ベスト100作品を選出し、『みんなが選ぶベスト100』を決定。その100作品の中より、アニメ業界の第一線で活躍しているプロデューサー、クリエイター、その他メディアやアニメグッズを扱う店舗など、幅広いアニメ業界のプロフェッショナルによる投票により『作品賞』『個人賞』を選出。また、一般ユーザーによるX(旧:Twitter)を通してのファン投票により、『アニメファン賞』を選出する。

●作品賞
・劇場映画部門:『ルックバック』
・TVシリーズ部門:『葬送のフリーレン』
●個人賞
・原作・脚本部門:吉野 弘幸
・監督・演出部門:押山 清高
・アニメーター部門:谷田部 透湖
・美術・色彩・映像部門:市岡 茉衣
・音響・パフォーマンス部門:Evan Call
●アニメファン賞
・『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

<コンペティション部門> 概要
国内外から、プロ・アマを問わず募集し、60分以上の長編アニメーション、30分未満の短編アニメーションのそれぞれから『グランプリ』『優秀賞』他各賞を選出。独創性、先進性、共感性、技術力を選考の柱とする。TAAF2021から短編部門内に創設された『学生賞』は、日本でアニメーションを学ぶ学生のための賞となる。

●長編アニメーション グランプリ

©Urban Sales. All Rights Reserved.

『ボートインザガーデン(A Boat in the Garden)』
監督:ジャン=フランソワ・ラギオニ
製作国:ルクセンブルク、フランス
作品の詳細

●短編アニメーション グランプリ

©Chicken Fruit Ltd. All Rights Reserved

『一人ぼっちの洗濯(Loneliness & Laundry)』
監督:ジョニー・イブソン
製作国:イギリス
作品の詳細

●長編アニメーション 優秀賞

『クラリスの夢(Clarice’s Dream)』
監督:グト・ビカルホ、フェルナンド・グティエレス
製作国:ブラジル
作品の詳細

●短編アニメーション 優秀賞

『クマと鳥(The Bear and the Bird)』
監督:マリー・コドリー
製作国:フランス
作品の詳細

●豊島区長賞

『ピエトラ(Pietra)』 
監督:シンシア・レヴィタン
製作国:スペイン、ポルトガル、ポーランド、ブラジル、リトアニア
作品の詳細

●学生賞

©️2024 Miou Hiruma/Mh-artworks

『ヨビとアマリ(Yobi and Amari: Story of Spares)』
監督:比留間 未桜
製作国:日本
作品の詳細

写真:©︎entax

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